Yuki Murata / Piano Fantasia  現代日本が創造した空想世界を描き出す、FF的ポスト・クラシカル。


こんにちは。

Yuki Murataは日本出身のピアニスト/作曲家です。

Anoiceのメンバーとして活躍するほか、様々なプロジェクトへの参加や映画音楽の作曲なども手掛けているようです。

本作Piano Fantasiaはそんな彼女が2018年にリリースしたソロ・アルバムです。

Piano Fantasiaの魅力 Yuki Murataによる日本的ファンタジー

ジャンル分類論から見る本作の特殊性

本作Piano Fantasiaは一般的なジャンルとしてはポスト・クラシカルにカテゴライズされるものでしょう。

ピアノというクラシカルな楽器が用いられ、クラシカルな要素が曲からは感じられます。
さらにはエレクトロニカ的な感性による透明感も漂っています。
よって、本作がポスト・クラシカルにカテゴライズされることにあまり異論は出ないかと思います。(本人がどう思うかは別として)

個人的にも、その点については問題ないと思います。
ただし、本作は特異な位置に佇むポスト・クラシカルでもあるのです。

クラシカルではないポスト・クラシカル

一般的にポスト・クラシカルと呼ばれるジャンルの音楽家はクラシックを源流としています。
だからこそ、その背後にはクラシック的な匂いを強く感じます。

ポスト・クラシカル的な音楽家は、クラシックの文脈に身を置いていることが珍しくありません。
少し代表的な例を聞いてみましょうか。

たしかにクラシックを文学的インディー・ミュージックに近づけたようなサウンドです。
繊細にして気品がある、非常に美しい音楽です。


では、もう一度本作を聴いてみましょう。

いかがでしょうか。
違いがあるのは明白です。
Yuki Murataの旋律をなじみ深いと感じる方、多いのではないでしょうか。

では、この違いはどこから来たのでしょうか。
Yuki Murataによる本作が現代日本の空想世界に由来しているからです。

現代日本の空想世界

本作Piano Fantasiaのような旋律を、きっと誰もがどこかで耳にしたことがあるはずです。
それは子供の頃に熱中したゲームだったり、
有名監督によるアニメ映画だったり、
夏休みに見た昔のアニメだったり、
とても身近に存在していた異世界の旋律です。
現実の外国よりも遥かに馴染み深い、だけど存在しない世界の空気が詠う交響詩です。

そんな現代日本社会と表裏一体をなす空想世界を主題として、
本作は形作られています。

ピアノが紡ぐ音色はとても聞きなれたものに感じられます。
オーバードライブ気味なまでに叙情的な旋律も、
瑞々しい感情をいっぱいに湛えられたハーモニーも、
切ない余韻を残して響く木霊も、
クライマックスに向かって全ての呑みこむように高まるクライシスも、
果てしなく遠くて、気付けばすぐ隣にいてくれる異世界そのものです。

透明感に満ちて、静けさがあって、その奥底で燃える強い炎があって、ヒロイックな気高さが漂っています。

Final Fantasy的類似性

では、具体的には本作はどんな異世界を描いているのでしょうか。

個人的には、本作はFinal Fantasyシリーズに似ている気がします。
植松和夫が描く壮大にして透徹とした音楽を、本作はさらに研ぎ澄まされた無垢へと染め上げています。


日本的な旋律と、
遥かな異境への憧れと、
強い使命感と、
果てしなく広がる地平線。
寄り添うように我々の傍にありながら、あくまでも架空に過ぎない世界。

決して存在し得ない理想郷を音楽の力で顕現させた、渦巻く情熱の結晶のような作品です。

結び  Piano Fantasiaの寄り添ってくれるような優しさ。

いかがでしたか。

本作はポスト・クラシカル的ではありますが、出自は全く異なる音楽です。
壮大でありながら、愛おしい「あの頃」にも繋がっていて、それでいて未来を見据えるような力強さもあります。

現代日本の文化圏に触れて生きてきた人々にとっての、日々を生き抜く力の源泉になってくれる力が本作にはあるのではないでしょうか。

それでは。

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