こんにちは。
Yasmin Williamsはヴァージニア州出身のギタリストです。

ジャムバンドやサーフミュージックのオーガニックな雰囲気、ポストロックやエモのような切ない透明感、ポップミュージックのような滑らかさ。それから、アフリカへの憧憬とブルースの肌触り。
アコースティックギターを主軸にしたシンプルなインストゥルメンタル・サウンドは、奥深い風合いと自然体な穏やかさを湛えています。
それから、独創的な演奏スタイルも印象的です。
13:55頃からはアコースティックギターを弾きながらリンバも弾いています。珍しいスタイルだと思います。
2021年12月現在、Yasmin Williamsは2作のフルアルバムをリリースしています。
本記事では、その全てを紹介します。
目次
Yasmin Williamsのアルバム一覧
これからリリース順にアルバムを見ていきますが文字だけでは分かりにくいと思って、相関図を作成してみました。

では、本題に入りましょう。
(1st)Unwind
アコースティックギター一本で紡がれる、素朴ながらも豊かな音世界。
大地の匂いがして、瑞々しくて、叙情的。
悲壮感や絶望感など若者向け音楽にありがちな感情は込められていません。しかし、音を鳴らす喜びが無邪気にほとばしってるその響きは、まさしく初期衝動と言えるでしょう。
テクニカルに爪弾かれる旋律には肩肘張ったところがなく、自然体ながらもふくよかなアコースティックサウンドをさらさらと積み上げていきます。
柔らかに、そして大胆に音階を揺れ動くアルペジオがアーシーな解放感とエモーショナルな躍動感を創出。卓越した演奏技術とずば抜けたクリエイティビティが可能にする、完成度の高い音楽がゆったりと始まり、続き、終わっていきます。滑らかでキャッチーな響きも相まって、センチメンタルな高揚感を帯びているのも本作の魅力でしょう。
多様な色彩を帯びていた次作と比べると、本作は非常にストレート。オーガニックな透明感に満ちたサウンドが、ゆったりと流れるように続いていきます。
本作には絶えずキラキラとした喜びが漂っているように感じられます。
「怒り」や「憤り」を歌うことが是とされがちなインディーミュージックですが、本作の純粋さからは負の感情よりも多くの何かを得ることができるような気もします。もちろん、困難や理不尽に戦う勇気だって。
(2nd)Urban Driftwood
表現の深みを増している作品です。
音の表情が豊かになり、表現の幅も広がっています。オーガニックさを押し出すとき、あるいは透明感を押し出すとき。控えめに行くとき、あるいは力強く進むとき。状況に応じてサウンドを使い分けているのも素敵なところです。アコースティックギター以外の楽器の存在感がやや強まっているのも重要なポイントかもしれません。
キャッチーさ・分かりやすさを見せつけつつも、聴き手の心に迫るエモーショナルさも上昇。また、楽曲の鮮明さを高めつつもレイドバックした雰囲気も強まっているのも本作の魅力でしょう。
要するに「クオリティ」が上がっています。滑らかな旋律が生み出す素朴な旋律は、単に「心地よい」「美しい」にとどまらない、凛とした存在感を帯びています。
アーシーなアコースティックサウンドを基調にしつつも都会的な洗練も仄かに漂っており、リラックスした雰囲気の中にも凛とした気高さや力強さが感じられます。
もちろん圧倒的な演奏技術は変わりません。テクニックを誇示するようなことはなく、あくまで芳醇な響きを紡ぐ手段としてその才覚の一端を見せてくれます。
本作はブラック・ライブズ・マターに影響を受けて制作されたとのこと。「闘争」「反抗」が強烈に現れているわけではありませんが、時に力強い脈動感を感じさせる楽曲展開や作品全体から漂う芯の強さは、気高い意思に呼応した結果なのかもしれません。
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