Weldon Irvineのアルバムについて。レアグルーヴのクラシック

こんにちは。

Weldon Irvineはヴァージニア州出身のミュージシャン/コンポーザーです。

last.fmより

ジャズファンクを基調としつつもゴスペル/ソウル/R&B/ブルース/ラテンの影響をブレンドした、独自のスタイルを構築。後にA Tribe Called Questなどからサンプリングされ、レアグルーヴのクラシックとしての地位を確立しています。

Nina Simoneの全盛期を支えた人物としても知られています。

本記事では、Weldon Irvineが主に活動していた70年代に正式リリースされた作品を紹介します。

Weldon Irvineのアルバム一覧

個人的には5th,6th(ヒップホップが好きな方は2nd)から入るのがおすすめです。

(1st)Liberated Brother

Weldon Irvineの中では、(特に前半部は)モダンジャズ的な匂いが強い作品です。

煙たさをほんのり帯びた艶っぽい雰囲気を基調としつつギター/(エレクトリック)ピアノ/サックスが織りなす即興演奏を華麗に魅せています。徐々にジャズファンク的な側面も顔を出し、バシっと決まったグルーヴを効かせるようになります。

ただ、少しくすんだアンダーグラウンド感が漂っているのは、後のWeldonにも通じる雰囲気。やや引き気味のサウンドで「間」を生み出し、仄かに瞑想的な雰囲気を醸成しているのも印象的。

まだ、Weldon Irvineのスタイルが確固として統一されているわけではありませんが、個性は既に芽吹いています。

(2nd)Time Capsule

後のラップにも通じるようなポエトリーリーディングが印象的な作品です。

全体のトーンとしてはジャズファンクで統一されていますが、無駄を削いだラフな響きが魅力的。その上に時折ポエトリーリーディングやボーカルが時折重なるときには、ヒップホップの原形とも受け取れるようなサウンドを構築しています。

濃厚ながらも後味スッキリなグルーヴに、艶やかな響きのエレピや活き活きと音階を駆け巡るトランペットが絡み合い、クールな熱を紡ぎます。シンプルなサウンド、時折姿を見せる最高のドラムブレイク、くすんだ空気感、思うがままに展開しているような楽曲の流れ。スポットライトよりも影が似合うような質感の楽曲が次から次へと繰り出されます。

聴き手の心をくすぐる大人っぽさと、プリミティブな躍動感を兼ね備えた、粗削りの魅力を放つ作品です。

(3rd)Cosmic Vortex – Justice Divine

くすんだアンターグラウンドっぽさはやや下がり、大人っぽさが強まっている作品です。

シンプルなジャズファンクは本作でも基調。ただ、今までよりも快活な場面もかなり増えています。

クールでグルーヴィな多彩なピアノ/エレピ/オルガン、ワウを効かせたエレクトリックギター、高らかに響くホーン、微熱のようなグルーヴを決めるベース/コンガ/ドラムス。タイトなビートの上で優美にうねる即興演奏が、ジャズのダイナミズムを華麗に演出。様々な音楽がさらっと(でも濃厚に)ブレンドされた音色が、魅力的に響いています。

ジャズとラテンの匂いは2ndより強まっています。時折入るボーカルなども相まって、比較的キャッチーな作品に仕上がっています。

ラテンジャズが好きな方には本作が入りやすいと思います。

(4th)In Harmony

洗練は残しつつ、前作で弱まったアンダーグラウンド感が強まっている作品です。

くすんだ質感の、軽めのジャズファンク/モダンジャズで魅せてくれます。

ベース/ドラムス/コンガは相変わらず素晴らしく、クールさを感じさせるグルーヴ/ビートが続きます。エレピ/ピアノは軽やかで芳醇なフレーズを奏で、ホーン隊の存在感が引き、全体としてスッキリした雰囲気になっています。

即興演奏を軸としたライブ感を含みつつ(特に後半部はモダンジャズ感が強め)、全体としてはリラックス。もちろん、決めるべきところはきっちり決めており、メリハリがついています。

Weldon Irvineの特徴が、比較的バランスよく入っている作品だと思います。

(5th)Spirit Man

A Tribe Called Questにサンプリングされ、Jamiroquaiもカバーした冒頭曲から最高潮です。

クールな微熱を秘めた、タイトなグルーヴ。仄かに香る、優美な野性味。そんなWeldon Irvineの魅力が十分に表れた作品です。


タイトで気持ち良いグルーヴ/優美なエレピやストリングス/ゴキゲンなホーン隊やエレクトリックギターが織りなすジャズファンク/モダンジャズが、華麗に響いています。

ミステリアスでメジャーフィールドと距離を置いた質感ながらも、軽快な聴きやすさも魅力的。オールディーズで優しい楽曲もあれば、アフリカンなビートやダイナミックなドラムブレイクを魅せることもあり。多彩な手札を披露しています。

レアグルーヴとして再評価された、その魅力がよく分かる作品だと思います。

(6th)Sinbad

本作をWeldon Irvine屈指の名盤と考えている方は多いでしょう。

ジャズファンク/ニュー・ソウル的な魅力を上手く表している、完成度の高い作品です。


Stevie WonderやStevie Wonderといったソウルの名手たちをカバーすることで、高い求心力を獲得。Weldon Irvineらしいジャズファンク感と上手に組み込んで、独特のキャッチーさを醸成しています。

くすんだ雰囲気は健在ですが、それと同じくらい華やかな魅力もまた感じさせるアンビバレントな響きが印象的。豊かな表現力を魅せるエレピ/ピアノ/オルガン、さりげなく熱さを添えるホーン隊、グルーヴを生み出す(ギター含む)リズムセクション。気品を帯びつつもクールなグルーヴが、じわじわと聴き手の心に浸透していきます。

しっとりとしつつも、確かな存在感を放つヒリヒリする微熱。ソウルフルな響きは確かに人を惹き付ける存在感を放っていますが、影を帯びた寂しげな雰囲気も仄かに漂います。

Weldonらしさと高いポップさを兼ね備えた名作です。

主要参考サイト

https://www.discogs.com/ja/artist/20585-Weldon-Irvine

https://en.wikipedia.org/wiki/Weldon_Irvine

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