Unwed Sailorのアルバムについて。無垢な透明感が織りなす、まっすぐな勇気

こんにちは。

Unwed SailorはJohnathon Fordによってシアトルで結成されたインストゥルメンタル・バンドです。

公式Facebookより

ジャンルとしてはポストロックとして扱われることが一般的です。ただ、時期によって作風は異なります。
澄み渡るような透明感だったり、軽快なサイケデリックだったり、各々魅力的です。

Saxon Shoreと同じくBurnt Toast Vinylからも多くの作品をリリースしています。

2022年7月現在、Unwed Sailorは7作のスタジオアルバムをリリースしています。
本記事ではその全てを紹介します。

Unwed Sailorのアルバム一覧

これからリリース順にアルバムを見ていきますが、文字だけでは分かりにくいと思って相関図を作成しました。

あくまで個人的なイメージです。ご容赦ください。

無垢な透明感が魅力的な時期

(1st)The Faithful Anchor

個人的にはポストロックの隠れた傑作だと思っています。

シンプルなバンドサウンドが生み出す透明感に満ちた響き。エモのニュアンス。まっすぐな爽快感。いずれも素晴らしいとしか言いようがありません。

儚く無垢で、仄かにセンチメンタル。優しい叙情性と、素朴なアンサンブル。等身大の感情、汚れのない喜び。一切の澱みを排したアンサンブルが、自己主張し過ぎず、しかし高らかに鳴らされています。

水面の揺らぎを思わせるエレクトリックギター、伸びやかにうねるベース、しなやかにビートを刻むドラムス。余分な要素はなく、必要最低限のサウンドで豊かな感受性を投影した瑞々しいサウンドを構築しています。

華々しい個性があるわけではありません。しかし、丁寧に音を紡ぎ合わせて創り出した楽曲の、誠実で繊細な美しさにはいつ聴いても心奪われます。

(2nd)The Marionette and the Music Box

前作の瑞々しい透明感はそのままに、ビートの存在感がほぼ霧散したことにより、優しい雰囲気が強まっています。

アコースティックな楽器も前に出ており、心地よい安らぎと遠い昔を懐かしむようなノスタルジーが入り混じっています。繊細な旋律が柔らかに移ろいながら、胸に染みるような淡い叙情性を醸成。ゆったりと紡がれる澱みのないサウンドが、のどかに広がっていきます。

純朴な響きを奏でるアコースティックギター、無垢な揺らめきを生み出すエレクトリックギター、伸びやかに広がるベース。時折エモーショナルな広がりをそっと添えるシンセ。シンプルな編成で儚く穏やかな音世界を描き上げています。

穏やかで、密やかで、純粋で。透明感のあるノスタルジーが、素朴で繊細な音の揺らぎが、聴き手の心に温かな気持ちを喚起してくれます。

本作もまた派手さがあるわけではありませんが、稀有な魅力を秘めた作品だと思っています。

(3rd)White Ox

1stと2ndの中間作(やや2nd寄り)のようなアルバムです。

2ndのようにゆったりとしつつも1stのような伸びやかさもあり、どちらも共通して持っていたセンチメンタルな透明感も魅力としている作品です。

アンビエントな局面も増えつつ、ビートを効かせる場面もありつつ。いかなるときも無垢で瑞々しい響きが素朴に連なっています。


「間」を活かしたフレーズを爪弾くアコースティックギター、透き通るような繊細さを奏でるエレクトリックギター、柔らかに低音を紡ぐベース、背景で仄かに揺蕩うシンセ、環境音的な音をそっと置いていくビート。それらが優しく溶け合いながら、ゆるやかで儚いサウンドを創り出しています。

触れたら壊れてしまいそうな繊細さや真っすぐさを基調としつつ、今までにない物憂さを滲ませることもあり、そのバランス感覚も絶妙。純粋無垢さを損なわぬまま感情の機微を丁寧に紡いでいるあたりは、まさしくUnwed Sailorという感じです。

本作もまた、優しくて素朴なアンサブルを楽しめるアルバムと言えるでしょう。

(4th)Little Wars

1stのような伸びやかな透明感はそのまま、ややエネルギッシュになっている作品です。

素朴さも、繊細さも、センチメンタルな雰囲気もそのまま。ただ、ロック的な躍動感が今までより力強く萌芽しています。

繊細で美しいフレーズを爪弾くエレクトリックギター、棚引くように淡い音色のシンセ、しなやかにうねるベース、真っすぐなビートを叩くドラムス。飾り気のないサウンドが純粋無垢な響きを優美に奏で、流れるように自然な緩急をつけながらアルバムは進みます。

美しい旋律が優しく連なり、絡まり合い、そして一体となって心の機微を描く曲となる。そんな楽曲の在り方を感じます。

若干精悍さを増しているのも特徴でしょう。少年が少しずつ精悍になっていく過程を見ているような、そんな気持ちにもなります。

純朴な開放感と、儚くも凛々しいサウンドを楽しめるアルバムです。

ほのかなサイケ感が魅力的な時期

(5th)Heavy Age

11年ぶりのリリースとなった本作は大きく方向転換し、サイケデリックな匂いを帯びている作品です。

従来のUnwed Sailor的な真っすぐさや純朴さを残しつつ、浮遊感漂う「ややサイケ」なグルーヴ/サウンドを感じさせる楽曲が並んでいます。

シューゲイズ/ネオサイケ/ギターポップっぽさをまとったエレクトリックギター、SF的な匂いを帯びたソフトなシンセ、淡々とうねるベース、軽快なビートを刻むドラムス。優しい質感はそのままですが、繊細というよりも芯の強さを感じさせる精悍さも感じます。

控えめながらもきらびやかな雰囲気を帯びることもあり、時にヘヴィな迫力を見せることもあり、そしていかなるときもメロディアスで前向きなアンサンブルがしなやかに紡がれています

シンプルなサウンドで豊かな表現力を発揮しているのですが、良い意味であまり押し付けがましくなく、さらさらと流れていくアンサンブルが魅力的です。

(6th)Look Alive

前作の雰囲気を踏襲しつつ、軽快さが増している作品です。

ふわりとサイケな匂いを漂わせつつ、哀愁の香りを微かに帯びつつ。軽やかなスピード感と共に、Unwed Sailorらしい素直で真っすぐなサウンドが魅力的に描かれています。

透明感とサイケ感を漂わせるエレクトリックギター、背景で仄かにゆらめくシンセ、控えめながらもしっかりと跳ねるベース、しなやかで精悍なドラムス。文化系的な線の細さを感じさせるのは変わりません。ただ、今までにないロック的な躍動感が、本作の基底部を成しています。


余計な虚飾がないシンプルさは本作でも変わらず、前向きな雰囲気もまた変わりません。UKロック的なポップさを帯びることもありますが、ただそれだけには終わらない意表を突く展開を見せることもあり、あらゆる局面で奥深さを感じさせてくれます。

常に変わりゆくバンドとしてのUnwed Sailorの一面を表している側面を表している作品です。

(7th)Truth or Consequences

もともといわゆる「ポストロック」味は薄かったUnwed Sailorですが、本作は特にインストロックっぽいと個人的には思います。

ゆったりとしつつもネオアコ/ネオサイケ/ギターポップに通じる軽やかさを帯びながら、優しくてまっすぐなサウンドを奏でています。素朴さを帯びつつ、軽やかでありつつ、ロマンティックな雰囲気が印象的です。

軽快なストロークを響かせるアコースティックギター、優美さを添えるピアノ、伸びやかなエレクトリックギター、滑らかに広がるベース、しっかりとビートを刻むドラムス。無駄の無いシンプルなサウンドは変わりません。ただ、仄かに大人っぽい雰囲気を感じさせるのは大きな変化だと思います。

サウンド自体には飾り気がないのに、華やかな印象を受けます。Durutti Columnにも通じるたおやかな空気感があり(こちらの方がもっとしっかりしたサウンドですが)、穏やかな気持ちで聴ける音楽に仕上がっています。

主要参考サイト

https://en.wikipedia.org/wiki/Unwed_Sailor

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