Totorroのアルバムについて。軽快なマスロック/激情の轟音ポストロック

Totorroは2008年にフランスのレンヌで結成されたインストゥルメンタル・ロックバンドです。

https://pbs.twimg.com/profile_images/3639667849/6486c6895faf911b306cf3d76e243670_400x400.jpeg

ジャンルとしては、マスロック/ポストロックになるかと思います。
ハードコア系マスロックのラフな質感(イメージ的には特にTera MelosやAdebisi Shank辺りが近いかと)をポップで軽やかなサウンドに再創造した、解放感あふれるサウンドが特徴です。
また、意外にも初期の頃は轟音ポストロック系のサウンドを鳴らしていました。

ちなみにバンド名の由来は『となりのトトロ』。メンバーに宮崎駿のファンがいるそうです。

2022年3月現在、Totorroは3作のフルアルバム(2作は現在のTotorro表記,1作は以前のTotorRo表記)をリリースしています。
本記事では、その全てを紹介します。

TotorroとTotorRoの違い

彼らにはTotorro/TotorRoという2種類のバンド名の表記が存在します。その理由は音楽性の変化に求めるべきでしょう。

現在バンドが所属しているRecreation Center/日本盤をリリースしているFriend of Mine Records/大手レコード店など大部分の公式な情報源は、Home Aloneを1stアルバムとして表記されています。

ただし、All Glory To John Baltorを1stアルバムとカウントしているページも存在します。

こちらのインタビューで述べられている通り、この前後におけるメンバーの音楽的な嗜好/バンドの音楽性の変化しています。

そして、それに合わせてバンド名の表記もTotorRoからTottoroに変わっています。
おそらく、All Glory To John BaltorまではTotorRo名義、Home Alone以降がTotorro名義の作品ということなのだと思われます

そのため、本記事ではAll Glory To John BaltorをTotorRoの1st, Home AloneをTotorroの1stとして表記します。

何にせよ、国内外において情報が錯綜していることは申し添えておきます。

Totorroのアルバム一覧

Totorroのアルバムをリリース順に見てきますが、文字だけでは分かりにくいと思って相関図を作成しました。

あくまで個人的なイメージです。
ご容赦ください。

(TotorRo 1st) All Glory To John Baltor

Envyなどの激情ポスト・ハードコアやExplosions in the Sky/MONO/Caspianなどの轟音ポストロックの影響を感じさせつつも、質の高い仕上がりになっている作品です。

深淵の香りが漂う叙情的な「静」のパートからじわじわと盛り上がり、重厚なエモーショナルさを炸裂させる「動」のパートへ切り替わる様は圧巻。聴き手の心を揺さぶる轟音を教科書的な完璧さで奏でています。

高らかでエモーショナルなエレクトリックギター、スクリーモ/ポスドハードコア的な絶叫ボーカル、気迫のある低音を鳴らすベース、叫ぶような迫力で魅せるドラムス。一音一音に感情がずっしり込められており、周りを薙ぎ倒すような迫力と胸の奥に強烈に迫る激情性が、壮絶な美しさを炸裂させています。

激しく美しく「動」のパートが長めなことも魅力です。「美味しい」ところを上手に魅せる手腕は手練れそのものですが、賢しい感じは皆無。聴き手を抉るスタイルを、本能的に分かっているのかもしれません。

しかし、その一方で若々しい勢いも強烈です。当時のTotorRoが憧れていたであろうバンドへの影響が強めに出ています。しかし、それでも聴き手を引きずり込むような迫力を強烈に放っているのは、いわゆる初期衝動が強烈に渦巻いているからでしょう。

若く、蒼い。本作は、そんな未熟さを抱えているからこその完成度を誇るアルバムです。

(Totorro 1st)Home Alone

ハードコア的マスロックの雛形を用いつつも、ノスタルジックでバケーション的な解放感が漂っている。そんな印象のTotorroの1stです。

テクニカルに飛び交うギターフレーズやポップながらもヘヴィなリズムセクションが楽しげにぶつかり合う展開は心地よく、ふわりと薫る轟音ポストロック的エモーショナルさも良い塩梅の高揚感を本作に与えています。

時折見せる爆発も、聴き手をぐっと引き込む熱さがあります。

奇想天外さや自由奔放さ、全編を覆うラフさからはハードコア的なマスロックの匂いを感じますが、それはあくまでもポップな爆発力を生み出すための触媒として用いられています。

本作の本質はパワーポップにも似た、少し不安げだけど力強い疾走感にあるように思います。
青臭くて、
ノスタルジックで、
だけど、爽快な透明感を空高く響かせるような。

感傷的で、純粋無垢で、変幻自在で。
真っ直ぐで清冽な感情を、華麗で捻くれたサウンドによって奏でているアルバムと言えるでしょう。

(Totorro 2nd)Come to Mexico

基本的には前作の路線を踏襲しています。つまり、Totorroらしいハードコア系マスロックを雛形にしたパワーポップメンタリティなサウンドが鳴らされています。

ただ、トロピカル感や爽快感はやや向上しており、解放感に満ちた変幻自在なサウンド展開にも磨きがかかっています。

キメどころのリズム感も時にはタイトになっている印象を受ける一方、ポップなところはさらに緩くなり、ポップな雰囲気を強めています。

ただ、やっぱりTotorroはTotorro。ゴリゴリとした重厚感、バタバタとしたグルーヴ感、テクニカルに飛び回るエレクトリックギター。天真爛漫で小難しいことは抜き。楽しくて心地よいマスロック経由のパワーポップ的エモーションを響かせています。

若干垢抜けてはいるものの、ノスタルジックで良い意味で頼りなくて親しみやすい雰囲気は変わらず。
青空を想起させる青春的疾走感もまた然り、久しぶりに再会していたら少しだけ大人になっていた親戚のお兄ちゃんのような安心感を覚えます。


ただ、ちょっとだけ大人になっていることにも寂しさを感じるのも事実で、そんな絶妙なアンビバレンスを含んでいるとも言えるかもしれません。

完成度はやや向上していますが、まだまだ未来を感じさせる粗さは魅力的で。
だけど、今の未完成さもまたそれはそれで完成しているとも感じられるような。


華麗なんだけど、どこかスキもあって、それが憎めなくて、ついついその後ろ姿を追いかけたくなる。
そんな愛嬌を感じさせる、楽しいサウンドのアルバムです。

主要参考サイト

https://totorro.bandcamp.com/

https://www.friendofminerecords.com/artists/totorro/

https://www.recreation-center.com/

https://www.friendofminerecords.com/special/totorro/interview/jp/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。