こんにちは。
Those Who Ride With Giantsはオーストラリア出身のMJ Callaghanによるソロ・プロジェクトです。

カテゴリーとしてはポストロックやアートロックになるのでしょう。
あまり緩急をつけない、静かな叙情性を帯びたインストゥルメンタル・サウンドを特徴としています。
2021年10月現在、Those Who Ride With Giantsは2作のフルアルバムをリリースしています。
本記事では、その全てを見ていきます。
Those Who Ride With Giantsのアルバム一覧
これからリリース順にアルバムを見ていきますが、文字だけでは分かりにくいと思って相関図を作成してみました。

では、本題に入りましょう。
(1st)Numinous
優美な物語のBGMを思わせる、しっとりとしたエモーショナルさを湛えた響きが続いていきます。
ピアノとギターの影を帯びた旋律が淡々と続き、じわじわとメランコリックな空気感を醸成しています。
分かりやすいフックや急な展開・緩急があるわけではありませんが、濃密なメランコリーを丹念に描いているのが特徴と言えるでしょう。
物憂く叙情的なピアノ、
胸を打つ旋律をゆったり爪弾くエレクトリックギター、
平坦に続き、時に力強くうねるリズムセクション、
前作のようなやや暗さは薄まり、シンプルな造りでなだらかに続く箱庭的な叙情性を奏でています。
また、時折ではありますがディストーションギターが鮮烈に炸裂し、感情の奔流を見せてくれることもあるのも本作の魅力でしょう。
前半部はやや明るい雰囲気があり、
後半部は少しずつ重たさを含んでいきます。
優しくて静かな物語は同じ旋律を繰り返しながら、坂道を下るようにそっと続いていきます。
繊細で、儚くて、メランコリックなサウンドのアルバムです。
(2nd)Forlorn
前作と変わらず、なだらかなサウンドがゆったり展開されていきます。
前作よりもビートが控えめになり、穏やかさが増しているのが本作の特徴でしょう。
ただ、優しい雰囲気はそのままであるにも関わらず、ギターの旋律がより目立っているのが印象的です。
感傷的ながらも甘さ控えめなエレクトリックギター、
時に軽やかに、時に柔らかに響くシンセ、
淡々と儚いビートを刻むリズムセクション、
箱庭的・内省的ではありますが活き活きとした想像力が力強く芽吹いており、壮大な物語性も感じさせてくれます。
時にヘヴィなディストーションギターが濁流のようにうねることも印象的です。
メランコリックなサウンドは孤独な冒険を思わせます。雄大な大地を一人歩き続けるような儚さを、花開かせながら。
時に峻厳に、時に優しく、時に勇壮で。
繰り返される旋律は平坦ながらも、実に豊富な感情のバリエーションを描いています。
繊細で、メランコリックで、エモーショナルで。だけど、どこか影もあって。
一歩一歩を踏みしめて歩くような、心細さと芯の強さを感じさせるアルバムです。
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