The Seven Mile Journeyのアルバムについて。幻想や浪漫を投げ捨て、ありのまま人間性を響かせる叙情系ハードコア

こんにちは。

The Seven Mile Journeyは1999年に結成されたデンマーク出身のインストゥルメンタル・ロックバンドです。

https://images.wannabes.be/S=W1200,H1200,PD2/hires-2015-05-23-the-seven-mile-journey-dunkfestival-dunkfestival-2014-x4PbmEABDHCuEpKWJ.jpg

カテゴリーとしてはいわゆるポストロックになるかと思います。
そのサウンドは硬派でオーセンティック、Mogwaiのような深い叙情性とGYBE!のような硬派さにも通じる叙情系サウンドを鳴らしています。

2021年12月現在、The Seven Mile Journeyは4作のフルアルバムをリリースしています。
本記事では、その全てを見ていきます。

The Seven Mile Journeyのアルバム一覧

これからリリース順にアルバムを見ていきますが、文字だけでは分かりにくいと思って相関図を作成してみました。

では、本題に入りましょう。

(1st)The Journey Studies

デビュー作ということもあり、一番シンプルなサウンドになっています。

軸になるのは物憂い叙情性、丁寧な文体で物語を綴る小説のように複雑な味わいを持たせながら、少しずつ楽曲は展開しています。ただし、過剰に浪漫的/感情的/自意識過剰気味になることはなく、静謐な旋律の奥には毅然とした響きが感じられます。

絡み合う2本のギターアルペジオが生み出す影を帯びた色彩、丁寧に弾かれるベースが楽曲全体に与える安定感、感情の起伏を力強く生み出すドラムス。シンプルな編成が奏でる複雑長尺な曲展開は生々しく濃密なアンサンブルを生み出し、深い叙情性を描き出しています。

いわゆる轟音系ポストロックのように分かりやすく轟音を爆発させることはありません。かといって、穏やかでソフトなサウンドというわけではありません。ソリッドな質感と緻密に練り上げられた楽曲展開を武器に、二項対立的な緩急に頼ることなく聴き手を惹きこもうとしています。

Mogwai的でありGYBE!でもありますが、もっと質実剛健としたサウンドになっています。

分かりやすい派手さはありませんが、 物憂く、生々しく、そして澄んだ叙情性を感じられるアルバムと言えるでしょう。

(2nd)The Metamorphosis Project

ナイーブな叙情性を維持しつつも、ダークさ/硬質さ/勇壮さが増している作品です。

楽曲展開の緩急・起伏もついており、時には轟音までは到達する瞬間もあるのは前作との大きな違いでしょう。

ただ、叙情性と硬派でソリッドな印象を兼ね備えているのは変わりません。剥き出しの生々しさも息づいており、「彼等の根底にはハードコアがあるのかも」などと想像をしたくなります。

緊張感と叙情性を紡ぎ出すギターアルペジオ、毅然とした芯の強さを創り出すベース、緩急を巧みに使い分ける力強いドラムス。物憂い響きを漂わせながらも、気弱さはなく、過剰な怒りを発するわけでもなく。地に足の着いた力強さからは、余計な虚飾がないからこそ真摯な透明感を感じられます。

長尺な曲展開によって丁寧な場面描写のような緻密さと息遣いのような静けさ/胎動を創り出し、それはやがて覚悟や勇敢さを感じさせる凛々しさへと転じてきます。

影を帯びたエモーショナルさが絶えず続き、かといって大仰な演出はなく。等身大の物語を豊かな感性で描いたようなアルバムと言えるでしょう。

(3rd)Notes For The Synthesis

The Seven Mile Journeyの特徴である陰鬱さと質実剛健さは本作でも変わりません。

ただ、静謐さを聴かせる場面と硬質で生々しさで引き込む場面がはっきり分かれている傾向が見受けられます。轟音というよりもソリッドなサウンドが放つ迫力とメロディアスさでカタルシスを創り上げているのも特徴でしょう。

緩急を上手につけることで、長尺複雑な曲展開に聴き手を自然と引き込むことに奏功しています。

また、奥行きが深くピアノの存在感が増していることもあり、虚飾の無さ・生々しさ・等身大と言った魅力を失わぬままに「壮大さ」を感じられるようにもなっています。

迫力あるストロークやストリングス風の演出など幅広い顔を見せるエレクトリックギター、繊細な各パートを支えながら時に歪みによって存在感を放つベース、うごめきや躍動感を生み出すドラムス。ソリッドな響きが生み出すエモーショナルは変わらぬ魅力を放ち、それでいてスケール感は大きくなっています。

全体的に力強さが増していることもあり、ハードコアとゴシックが入り混じったような粗くも複雑な色合いを感じさせるサウンドになっています。

分かりやすいキャッチーさを見せる場面は少ないのですが、繊細で緊迫した空気感の中と毅然とした力強さには、 The Seven Mile Journeyの素晴らしさが凝縮されています。

生々しい壮麗さが描き出す、物憂くも芯の強さを感じさせるアルバムです。

(4th)Templates for Mimesis

虚飾の無さ・質実剛健さをそのままに、ピアノの存在感が増したことによって壮麗さが強まっています。

もちろん過剰さは皆無、「生」を感じられる等身大の響きはそのままに聴き手の心に響き渡るようなエモーショナルさが際立つようになっています。


本作においても轟音的な爆発ではなく、ソリッドな躍動やピアノやギターの胸を打つ旋律で盛り上げどころを作っているのがオリジナリティと言えるでしょう。

ダークさも残っていますが、光を感じられる瞬間があるのも印象的。長尺な曲展開によって、心の機微を描くような緻密な響きを創り出しています。

エモーショナルな響きを奏でるエレクトリックギター、シンプルに胎動感/躍動感を生み出すベース、気持ちの高鳴りを迫力を持って生み出すドラムス。余計な要素はなく、必要最低限のアンサンブルで人間の心が持つ複雑さや繊細な物語を壮大なスケール感で描き出しています。

メロディアスで美しく、しかし過剰や華美なんかとは縁がなく、夢や幻想さえ存在せず。ありのままの美しさや、ありのままの苦悩が、命を謳歌するように活き活きと響きわたっています。

The Seven Mile Journeyの一つの到達点とも言えるアルバムだと思います。

主要参考サイト

https://en.wikipedia.org/wiki/The_Seven_Mile_Journey

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です