The Mercury Programのアルバムについて。ハードコアの魂、優美な浮遊感、精悍なビート。

こんにちは。

The Mercury Programは1997年に結成されたインスゥトルメンタルを中心にしたロックバンドです。

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その音楽はしばしばポストロックと形容をされますが、作品に応じてエモやハードコアの影響が感じられるのも特徴でしょう。

2021年4月現在、The Mercury Programは4枚のフルアルバムをリリースしています。
本記事ではその全てを見ていきます。

The Mercury Programの全アルバム

リリース順に各アルバムを見ていきますが、文字だけではわかりにくいと思って相関図を作成してみました。

では、本題に入りましょう。

(1st)The Mercury Program

くすんだ風味の粗いハードコアなサウンドを土台にしつつも、エモーショナルな感覚を響かせている作品です。

灰色の情熱を静かにたぎらせ、硬質でアンダーグラウンドな空気感を演出しています。ただ、根底には瑞々しい精神性があるため、ゴリゴリした質感とメランコリックなニュアンスが良い塩梅に混ざり合っているのが印象的です。

エッジの効いたサウンドを生み出し、時に感情を炸裂させるギター、
力強くうねるベース、
タイトで硬質なドラムス。
楽器の質感があたかも息遣いかのように感じられ、ざらついた緊張感を燻し出しています。

無駄を削ぎ落したソリッドなサウンドが火花を散らしてぶつかり合い、時に淡々と、時にエモーショナルなサウンドを構築していきます。

The Mercury Programのなかで最もプリミティブでシンプルな、ハードコアな作品だと思います。

(2nd)From the Vapor of Gasoline

前作のソリッドなハードコア路線を引き継ぎつつも、さらにエモーショナルになっている作品です。

気だるくアンダーグラウンドで煙たいサウンドを幹にしつつも、時折ヴィブラフォンの玲瓏な音色を導入するなど後の作品に通じる変化の息吹を感じとることができます。

ゴリゴリしたハードコア的な音塊やヒリヒリする緊張感が確固たる骨組みになっていますが、時に知性的な穏やかさやエモーショナルな旋律が顔を見せるのが本作のオリジナリティなのかもしれません。

「粗削りながら」というよりも「粗削りだからこそ」とも言えるようないびつで美しい音色が随所に立ち込め、ハードコア的な煙たさと混ざり合っています。

本作はポストロック的なニュアンスが前作よりも表に出ているとも言えるでしょう。また、時折差し込まれる囁くようなボーカルやヴィブラフォンの響きが不穏ながらもキャッチーなニュアンスを添えています。

未完成のサウンドで感傷を奏でているような、不安定な美しさを讃えているアルバムです。

(3rd)A Data Learn The Language

ヴィブラフォンやローズピアノなどの優美な音色を断端に導入し、たおやかなポストロックサウンドへと転換をした作品です。

彼等の根底をなすハードコアな一面も奥底で脈動していますが、心地よくもどこか不可思議な透明感を帯びた音響的な魅力が全面に出ています。

繊細でスタイリッシュなギターアルペジオ、
ふわふわとした透明感を湛えたヴィブラフォンやローズピアノ、
反復を繰り返し、クールなグルーヴを生み出すベース、
優美なサウンドの奥底でしなやかでタイトなビートを叩き出すドラムス。
精悍なビートと澄んだ余韻を響かせるウワモノが一体となって、揺蕩うような夢心地と毅然とした安定感を併せ持つサウンドを形成しています。

過去作のような粗さや激情感はなく、
かといって穏やかで静謐というわけもなく、
情熱を内に秘め、冷静さを失わぬままに音響を探求していくようなストイックさが印象的です。

クールで、浮遊感があって、ロック的な骨太さもあって。
あらゆる面でのバランス感覚が絶妙で、典型的なポストロックサウンドでありながらそれと同時に個性的な立ち位置になっている作品です。

本作A Data Learn The Languageは、ポストロックという潮流が生み出した金字塔といっても過言ではないように思います。

(4th)Chez Viking

前作で開眼した独自路線から、インディーロック的なグルーヴ感を強めているのが本作Chez Vikingです。

力強く、しなやかで、優美。
流麗でエモーショナルなポストロックサウンドを響かせています。

冷冽なフレーズを爪弾くディレイがかったエレクトリックギター、
艶やかながらも凛然とした響きを効かせるローズピアノやヴィブラフォン、
抑制されたグルーヴをクールに生み出すベース、
スマートで精悍としたビートを刻むドラムス、
ロックサウンド的なストレートさが前作よりも滲み出ているのが本作の特徴で、前作のポストロック的な音響を保ちつつもキャッチーな雰囲気をまとっています。

抜けの良い爽快感が印象的で、軽やかでこざっぱりとした雰囲気には過去作にはない味わいがあります。

もちろんポストロック的(とりわけシカゴ音響派的に近いという意味合いで)な素朴ながらも複雑な音響も感じられ、ロック的なストレートさと融合しています。

前作とはまた違った意味で、バランス感覚に優れている作品だと思います。

The Mercury Programのアルバムについて:主要参考サイト

https://www.discogs.com/ja/artist/322989-The-Mercury-Program

https://en.wikipedia.org/wiki/The_Mercury_Program

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