The Appleseed Cast / Sagarmatha  暴発寸前の初期衝動を封じ込めた音響探究エモ・ポストロック



こんにちは。


The Appleseed Castは1996年にカリフォルニアで結成されたエモバンドです。
Sunny Day Real EstateやMineralなどと同じようにエモ黎明期から活動をしていたバンドです。

しかし、The Applesees Castは1stアルバムThe End Of The Ring Warsこそゴリゴリのエモですが、それ以降徐々にポストロック的な方向性にシフトしていくことになります。

そんな中でもエモ的な激情感とポストロック的な音響感が絶妙にマッチしているのが7thアルバムにあたるSagarmathaです。

Sagarmathaの魅力 The Appleseed Cast随一のマニアック感

魅力1 エモの初期衝動とポストロックの探求心の衝突

本作の特徴は、エモバンドが本来持っていた青臭い初期衝動を削ぐことがないままに、内向的な音響探究に傾けていることです。

初期エモ的な胸をかきむしる焦燥的バンドサウンドから、ふわふわとした浮遊感や難解な曲展開を精製するオリジナリティは大変傑出しています。
ボーカルも感情を叩きつけるように歌うのではなく、あくまでも楽曲全体の調和が第一に考えられ、非常に引いた立ち位置にいます。
というか、一切ボーカルが入っていない曲も多数あります。

何も考えずにひたすらに発散させていた感情を、どうにか楽曲として調和させようとする試みは個性的なものでしょう。
不安定な情緒が生み出す不調和的な疾走感が、複雑に入り組んで心地よい音響を創り上げているのです。
今にも壊れそうで壊れない、そんな危うすぎるバランス感覚が麻薬的なまでに甘美です。

魅力2 不滅の初期エモ・メロディ


そして、重要なことは初期エモ特有の胸を打つ旋律が決して失われていないことです。
青臭い疾走感と瑞々しい焦燥感を、剥き出しのまま美しいメロディに叩きつける。
その暴発寸前なエネルギーはポストロック的要素という触媒によって終始音響マニアクス的な変化を引き起こされながら、唸りをあげて世界へと解き放たれていくのです。

打ち込みのリズムを使おうとも、ギターにディレイを深くかけようとも、その魅力は決して失われていません。
むろん、歪んだギターをかき鳴らすときの爆発力はまさにエモいです。

総括  Sagarmathaの魅力とは

エモが本来持つ内向的側面が徐々に強くなっていった結果、ポストロック的な複雑性という特性を獲得していった。
The Appleseed CastやJoan of Arc、The Player Pianoはそのようなアルバムを発表しています。

それらの中での本作の位置づけとしては、ポストロック寄りなサウンドアプローチとエモ的衝動によるエネルギッシュのどちらも前面に出しつつも、ぎりぎりバランスがとれていること。
重ねて、ばっちり決まりすぎていない人間らしさが良い塩梅なのも良いところでしょう。


要するに非常にマニアックな雰囲気の名作ということですね。


それでは、また。

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