こんにちは。
Tera Melosは2004年に結成されたカリフォルニア州出身のロックバンドです。

ジャンルとしては、マスロック/ポストロック/ポスト・ハードコアあたりでしょう。
変拍子を交えた、陽気でぶっ飛んだ疾走感が魅力です。
2022年8月現在、Tera Melosは4作のオリジナルアルバムをリリースしています。
本記事では
- 全てのオリジナルアルバム
- それ以外の個人的に好きな作品
について紹介します。
目次
Tera Melosのアルバム一覧
これからリリース順にアルバムを見ていきますが、文字だけでは分かりにくいと思って相関図を作成しました。

あくまで個人的なイメージです。
ご容赦ください。
(1st)Untitled
マスロック史に燦然と輝く名盤の一つです。
カオティックで予想不可能、それでいてカラっとした解放感にあふれた天衣無縫の無軌道アンサンブルが繰り広げられています。
ハードコア系マスロックのゴリゴリ感や迫力をテクニカルに叩きつけ、変拍子によって聴き手の予想を裏切る変態的展開を連発。かと思えばエモーショナルな旋律を奏でたりと、変幻自在ながらも聴き手の心にぐいぐい迫る局面が次から次へと繰り出されます。
陽気な疾走感を奏でるエレクトリックギター、血沸き肉躍るグルーヴを生むベース、ダイナミックに緩急をつけるドラムス。バンドサウンド主体のシンプルなアンサンブルですが、それぞれの技術力や展開構築の巧みさもあり、厚みや迫力を感じます。
難しいことをしているのですが肩ひじ張ったところはなく、自然体でぶっとんだ楽曲を連発。その余裕が、本作の大きな魅力を成しています。
(2nd)Patagonian Rats
カオティックな変幻自在さを残しつつも、ほぼ全曲でボーカルが入るなど大きくキャッチーさを増した作品です。
前作の自然体でぶっとんだ変態性を、ポップな歌が従えている。といった感じでしょうか。変拍子に起因する天衣無縫な展開やパワフルな迫力はそのままに、軽快さがより際立っている印象。また、ボーカルを中心に添えることで「楽曲」としての統率がしっかり取れています。
鋭角的で粗い質感を帯びたエレクトリックギター、重たくもグルーヴイなベース、精緻でダイナミックなドラムス。切れ味鋭くも奇想天外、それでいて繊細さを帯びたポップセンスを帯びつつも、粗さや荒さも魅力的です。
あまり重たくなり過ぎない空気感や大人の余裕も変わらず魅力的。ド変態劇場を、開放的に演じています。
歌モノにシフトしたことで、泰然とした佇まいがより一層かっこよくなっている作品だと思います。
(3rd)X’ed Out
前作に引き続き、マスロック的ぶっ飛び具合をポップに昇華しています。
エネルギッシュではありますが静謐な一面も強まり、より普遍的なインディーロックに近づいている印象も受けます。衝動のままに暴れくるってるようで複雑精緻に入り組んだリズムは健在、精悍さを感じさせつつも抑制されたダイナミズムがヒリヒリと渦巻いています。
マッチョというよりも細めな力強さというんでしょうか。USインディー的なポップ感が明確な軸になっていて、無軌道なマスロックさをカラフルながらもひねくれたキャッチーさへと作り変えています。ラフなのですが、「ロック的」です。
聡明さを漂わせつつもその内では一筋縄では行かない、インディー感漂う上質ロックサウンドに仕上がっています。
(4th)Trash Generator
ぶっ飛びロック路線は変わらずも、ぶっ飛んだ解放感よりもシリアスさが感じられる瞬間が増えています(特に前半部)。
粗いサウンド、荒いダイナミズム。硬質な響き、不思議なポップ性を感じさせるメロディ。マスロック的突飛な展開も飛び交いつつ、ヒリヒリするようなストイックさを湛えながらアルバムは進んでいきます。
ひねくれたポップセンスを乱暴に叩きつけるような、精緻なはずなのに(良い意味での)投げやりが漂っているのも印象的。
自然体で歌う男性ボーカル、切れ味鋭いエレクトリックギター、生々しい音塊を炸裂させるベース、ダイナミックにビートを刻むドラムス。自由気ままにやっているようで、統率が取れているのはさすがで。ロックとしてのフォーマットを破壊する寸前でとどまっているような、ヒリヒリする奇想天外さが素敵です。
一つのスタイルとして、そこそこ完成されているように感じる作品です。
オリジナルアルバム以外で個人的に好きな作品
(EP)Drugs to the Dear Youth
2007年リリースのEPです。
インスト期の作品ですが1stほど全体を通してゴリゴリしているわけではありません(もちろんキメる時は強烈です)。引きの美学によって迫力と精緻さを兼ね備えたダイナミズムを演出。
エフェクトを多用した謎めいたギターサウンドや、馬鹿テク系リズムセクションは本作でも圧巻。奇想天外で自由奔放なサウンドはそのままに、メロディアスな一面を見せることも。かと思ったらいきなりギターが掻き鳴らされることも。
ラフながらも奥行きのある楽曲群を創り出しています。
(スプリット)Complex Full of Phantoms
By the End of Tonightとのスプリット盤。2007年作。
By the End of Tonightは瑞々しくラフで、ラウドなマスロックを鳴らしています。行き着く暇もないほど、高い熱量を維持し続け、かといって緩急もしっかりついている。力任せに疾走しつつ、エモーショナルな高まりもきちんと演出しており、その破壊力は強烈。
Tera Melosは1stか2ndにかけての変化の途上であり、なおかつEP『Drugs to the Dear Youth』よりもさらに2ndに近づいているように感じます。変態的テクニックを自然体で叩き出すドラムスを中心に、こちらもバカテクのエレクトリックギターとベースが縦横無尽に暴れまわります。
変拍子による予想外の展開や引きの美学で間を見せる手法も魅力的。歌モノも登場しひねくれポップな局面を見せる等、変化の兆しを見せています。
両者のキャラクターは似ているようで違う。そんなことに気付かせてくれる作品です。
(シングル)Treasures and Trolls
2018年にリリースされたシングルです。
Tera MelosのUSインディー的な一面が現れている作品です。軽やかで、繊細で、でも芯がしっかりあって。そして、時々奇想天外に展開して。特にPinback等で知られるRob Crowを迎えたLemon Groveが印象的。
Rob Crowの系列バンドに近い雰囲気(というかTera Melosもそんな面を持ってますが)をまといつつ、時折見せるカオティック感には「Tera Melosならでは!」と思わせる迫力があります。
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