こんにちは。
Telefon Tel Avivはシカゴを拠点に活動している電子音楽ユニットです。

ジャンルとしてはエレクトロニカに分類されることが多いでしょう。
ジャンルの黎明期から活動をしており、シーンにおいて強い存在感を持ち続けています。
2020年3月現在、Telefon Tel Avivは4枚のアルバムをリリースしています。
本記事ではその全てについて語ります。
Telefon Tel Avivのアルバム一覧
ここから各アルバムについて語っていきますが文字だけでは分かりにくいと思い、相関図を作ってみました。

では、アルバムごとに見ていきます。
(1st)Fahrenheit Fair Enough
しっとりとして艶やかで、気品に満ちたサウンドスケープを特徴としている作品です。
繊細で知性的でありながらも官能的である、とでも言えばいいのでしょうか。
カットアップやグリッチノイズをちりばめた、洗練された細やかなビート、
ローズピアノやシンセによるうっとりするほど優雅な調べ、
リバーブがかったエレクトリックギターの澄み切った響き、
電子音響的な浮遊感を存分に放ちつつ、人肌的な質感も漂わせています。
心地よく、上品で、それでいて微かに妖艶な匂いがする。
そのバランス感覚が絶妙です。
これぞエレクトロニカ、というサウンドではありますが、その言葉には収まりきらないほどの様々な要素が詰まっているアルバムです。
(2nd)Map of What Is Effortless
前作の知性的な雰囲気はそのままに、よりシネマティックで大人びた雰囲気になっています。
多くの曲にボーカルを導入しているのも大きな変化と言えるでしょう。
時にソウルフルな、時に物憂げな歌声を聞かせてくれます。
また、ストリングスが導入され、壮大さが演出しているのも特徴です。
アルバム全体としては、洗練された色香を強く感じるサウンドになっています。
小刻みに揺れ動くグリッチノイズやカットアップを交えたビート、
しっとりと響くシンセの官能的な揺らめき、
温もりを感じさせるアコースティックギターの旋律、
吐息のような温もりを秘めたサウンドたちが、叙情的でダイナミックな展開を描き出しています。
妖艶さの中で凛と際立つ透明感が特徴だった前作ですが、本作は気品に満ちた妖艶さをぐっと強めた作品と言えるでしょう。
(3rd)Immolate Yourself
気品に満ちた雰囲気はそのままに、物憂いシンセポップに接近しています。
文学的ニューウェーブとも言うべきな内省さを漂わせ、ダークで耽美な幻想性を燻し出しています。
サウンド全体の輪郭がぼやけていることも過去作にはない特徴でしょう。
シンプルにリズムを刻むビート、
ドリーミーに揺らめくシンセ、
リバーブのかかった囁くようなか細いボーカル。
溶けかかったようなサウンドがまるで濃霧のように聞き手を包み、シンプルに反復する旋律とリズムが陶酔的な感覚へといざないます。
夢幻的で影があるサウンドスケープを生み出しているのが本作の魅力と言えるでしょう。
(4th)Dreams Are Not Enough
Joshua Eustis一人体制になって初のアルバムです。
3rdのような夢幻的な物憂さは引き継ぎつつ、より複雑でダークな電子音響世界を形成しています。
知性的な雰囲気は変わらないまま、暗黒の海底を漂うような気配が醸成されています。
不規則かつ小刻みに動き回る変幻自在のビート、
淡く漂う輪郭のぼやけた音色のシンセ、
か細い声でメロディを囁くリバーブがかったボーカル。
精神性の深さだけでなく、スケールの大きさも感じさせるのが本作の特徴です。
一人体制になったことも関係しているのでしょうか。
内面世界の奥深くまで掘り下げていくようなストイックな探究性が影響しているのか、ビートが強い曲もあればアンビエント作品もあり、メロディアスな曲もあれば特殊な展開の曲もあり。
とにかく型にハマっていないのが印象的です。
様々な速度や温度の海流が漂ってぶつかりあうように、心地よい浮遊感と沈み込む様な物憂さが混ざり合い、せめぎあっているような印象を受けます。
時に見知らぬ巨大な生物が現れ、畏敬の念に打たれるような感覚も。
そんなダークな神々しさを含みつつ、オリジナリティと心地よさを失っていない素晴らしいアルバムです。
結びに代えて Telefon Tel Avivの全てのアルバムが持つ魅力
身も蓋もないようですが、言葉ではとらえることができない色彩の音色とビートを持っていることでしょう。
アルバムごとにカラーは違いますが、心地よく酔いしれたくなる美しい音響世界を構築しています。
私の語彙では、これ以上語るのは無粋かなと。重ね重ね身も蓋もありませんが。
ただ、それだけ唯一無二の魅力を持っているエレクトロニカであるとは言えるでしょう。
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