こんにちは。
Steve HillageはUK出身のギタリストです。
プログレやテクノの界隈ではGongやSystem 7の一員として有名ですが、ソロ名義でも複数枚アルバムをリリースしています。
本作Rainbow Dome Musickは1979年にリリースされた5枚目のアルバムです。
それまでの作品とは大きく異なるビートレスなアンビエントなアルバムです。
目次
Rainbow Dome Musickは先駆的アンビエントテクノ? Steve Hillageの異色作
本作の特色を一言で言うのなら、心地よく無になれるアンビエントなアルバムです。
ドラムスは抜きのビートレス、シンセやフェンダーローズ、ギターなどに深いディレイをかけてドローン的に重ねていくサウンドがベースになっています。
シンセの音色が目立つのでアンビエント・テクノの嚆矢と評されることも多いようです。
その楽曲は時に桃源郷的でありつつもSF的であり、心地よい浮遊感をベースにしつつも求道的なストイックが顔を出すこともあります。
つまり、必ずしも心地よいだけではない一面があると受け取れる余地があるのです。
全体としてみると、ゼン(禅ではなく欧米人の浪漫に応えるポップなアジア感がある)的なメディテーション、と言い換えることもできるしれません。
アナログ盤時代の音源らしく二曲構成になっていて、A面B面それぞれで一曲にいなっています。せっかくなので、曲ごとにも語ってみます。
Garden of Paradise
一曲目Garden of Paradiseは水音から始まります。
そして、あたかも水辺を彩る草木や妖精のようにドローンサウンドがゆったりと重ねられていきます。
ふわりふわりとしたシンセやフェンダーローズ、
深いディレイを残しては消えていく優しい音色のエレキギター。
しかし、そんな楽園も聞き手が気付かぬほどゆっくりと様相を変え、後半では架空の宇宙を思わせる穏やかな壮大さをシンセ・ドローンが描くようになります。去りゆく彗星を思わせるギターも非常に印象的です。
何も考えずに浸りたい音色が続く曲です。
Four Ever Rainbow
ヒンドゥー・アジア的なベルの音色から始まる、穏やかな極彩色を感じさせる一曲です。
ギターとシンセが織り成す様なドローンは風に棚引くように絡まり合いながら不可思議で空間的なサウンドスケープを創り上げます。
そして、面白いのはやはりシンセが持つ近未来的な響きです。
アジア的な音色・旋律とその幻想的宇宙っぽさが混ざり合い、アジア的(欧米人に分かりやすいポップでカラフルなアジア)宗教世界から宇宙的な広がりに通じる曲展開は独創的です。
特にFour Ever Rainbowはストイックな響きもあるため、よりオリジナリティの高い瞑想世界になっています。
もちろんふわふわとしたサウンド・スケープは大変心地よいのです。
しかし、ひたすらに開放的なのではなく内面を見つめさせようとするような求道性がいかなる時も寄り添っています。
ただ、無視して良質なアンビエントとしての鑑賞にも十分耐えます。
まとめ Rainbow Dome Musickは瞑想アンビエント
ながながと語ってしまいましたが、要するに
- Garden of Paradiseで色んな雑念を払って心を無にした後、
- Four Ever Rainbowで己の内面に向かい合えるにする。
という瞑想的な側面も想定されているアルバムという印象を受けました。
でも、余計なことを考えず心地よいドローンなアンビエント作品として聴くのもとても楽しいです。
というか、そっちのほうが楽しいです。
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