Signal Hillのアルバムについて。澄み渡る叙情性と、穏やかな音景

こんにちは。

Signal HillはLA、ロンドン、ニューヨークを活動拠点とするインストゥルメンタル・ロックバンドです。

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カテゴリーとしてはポストロックとしておくのが適切でしょう。

Mogwai以降の轟音ロックと系統を同じくしていますが、そもそも轟音を用いていないのが特徴です。
常に穏やかさを湛えたサウンドが特徴で、繊細な表現によって緊張感や安らぎを巧みに表現しています。


20201年7月現在、Signal Hillは3作のフルアルバムをリリースしています。
本記事ではその全てを紹介しています。

Signal Hillのアルバム一覧

リリース順にアルバムを見ていきますが、文字だけでは分かりにくいと思って相関図を作成しました。

では、本題に入りましょう。

(1st)More After We’re Gone

Signal Hillらしいジェントルな優美さがもっとも感じられるアルバムです。

凛として、ゆったりと、エモーショナルに。
適度なディレイを帯びたギターサウンドがふわりと広がりながら、微妙に色合いを変えていきます。


時に緊張感を帯びて、
時に滑らかに響き、
時には激しいディストーションを帯び、
ゆったりと波紋を描くように美しい響きを創り出し、ゆったりと盛り上がり、ゆったりと静寂に戻っていきます。

叙情的ではありますが、過度に現実逃避的な感じはせず、地に足がついた透明感が印象的です。
ギター、ベース、ドラムス等のバンドサウンドを中心に楽曲が構成されており、質実剛健としたエモさを湛えています。


感情を揺さぶるような不自然な緩急がないのは、やはり本作の魅力でしょう。
ゆったりと車窓を眺めているような、優しい時間を感じることができます。


刺激的ではないかもしれません、
誰も見たことがない景色ではないかもしれません、
でも、本当に大切なものはここにあるものではないのかなあ、なんてぼんやり考えてしまうアルバムです。

(2nd)Chase the Ghost

キリっとしていた前作に比べ、ややウェットな叙情性を増しているのが本作Chase the Ghostです。
もっともポストロックらしい質感を帯びているとも言い換えられるかもしれません。

しっとりとして、それでいて優しい雰囲気を湛えているアルバムです。
本作もまた轟音は基本的には含まれておらず、ゆったりと盛り上がりゆったりと元の場所に戻っていくスタンスになっています。


伸びやかに広がるギターの響きは凛として、
透明感だけでなくずしりとした叙情性も微かに秘めて、
ゆったりと波紋を描くように広がるエモーショナルさは、じわりと聴き手を引き込む美しさを描き出しています。

前作同様に基本的にはギター、ベース、ドラムス等の楽器をベースにしていますが、ローズピアノ等の存在感がやや強くなっています。

過度な緩急がないのは前作と同じですが、やや幻想的な雰囲気を帯びているようにも感じられます。
ただ、やはり現実逃避的な匂いがしないことは変わりません。
幻想世界の風景を、あくまでも現実側である電車の内側から眺めているような感覚に近いのでしょうか。


架空の世界に踏み入ることはなく、しかしそれを眺めることによってメランコリックな気分になるような。
そして、また現実の世界で戦う勇気を少しだけ手にすることができるような。

本作もまた奇抜さや過剰なオリジナリティを売りにしているわけではありません。
しかし、柔らかで美しい色彩には、それを目にする者に小さな勇気を与える力があるように思います。

(3rd)Alturas

前作までの穏やかな雰囲気を保ちつつ、シンセやローズピアノの音色を強く打ち出しているのが本作Alturasの特徴でしょう。

柔らかで優しい叙情性の濃度が高まっており、胸を打つようなじんわりとしたメランコリーをそっと描き出しています。

優美で清らか、エモーショナルで感傷的。
鍵盤楽器の存在感が強まったことで、幻想的な匂いは強まっています。

しかし、どこかその幻想性に対して距離感を置いているような冷静さもまた変わらず存在しています。
まるで、車窓の外の営みをたった一人で眺めているようなささやかな孤独のような。


鍵盤楽器の紡ぐメランコリックでしとやかな響き、
ギターの凛として芯のある響き、
ベースのたおやかで優しいうねり、
ドラムスによる淡くジェントルなビート、
今作も大きな緩急は存在せず、情景的なサウンドをそっと描いています。ただ、今までの作品よりも一段と穏やかな雰囲気になっているのは重要な点かもしれません。

また、メランコリー以外にも優雅・気品という言葉で表せられる要素も付け加えられているように感じます。
今まででもっともなだらかな響きのうねりが絶えず揺蕩っています。
微睡むような心地よい安らぎを、感じ取ることができるように思います。

ある意味、もっとも慈愛と感傷的を帯びたアルバムなのかもしれません。
なんにせよ、本作もまた奇抜さではなく現実を生きる糧としての感傷を秘めたアルバムだと思います。

結びに代えて:Singal Hillの魅力

Signal Hillの魅力は真摯に、真っすぐに、良い音楽を奏でていることでしょう。
派手さはありませんが、日々を生きぬくための堅実な一歩にも似た生きるために必要な力が込められているように思います。

主要参考サイト:Signal Hillのアルバムについて

https://signalhill.bandcamp.com/

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