Shipping Newsというバンドについて。ポストロック界のまつろわぬ旧き荒魂。



こんにちは。


Shipping Newsはルイスヴィル出身の4人組ロックバンドです。


https://blowthescene.com/reviews/shipping-news-one-less-heartless-to-fear-review.htmlより



ジャンルとしてはポストロックになるでしょう。
それも原ポストロックともいうべきRodanなどのハードコア直系ゴリゴリ系です。


メンバーのうち2人が元Rodanだったり、For the CarnationやParlourの元メンバーがいたりとポスト・ロック/ハードコア界隈の実力者が集っています。

そんな彼等の全アルバムについて語ります。

Shipping Newsの全アルバムについて 荒ぶり続けたその軌跡

彼等は5枚のアルバムを世に残しています。
文字だけでは分かりにくいので各アルバムの特徴を相関図にしてみました。

では、全アルバムについて語ります。


【1st】Save Everything

1st特有の未完成であるがゆえの魅力を、上手にゴリゴリ感まで仕上げています。

もちろんハードコア的な剥き出し感全開でがんがん猛る曲もかっこよいです。
しかし、ポストロック的な音響による緊張感を含む曲も強烈です。


そして、その両方がモノトーンな荒涼感とシンプルなアレンジを兼ね備えたShipping News流フィルターで濾過をされています。
本作の刮目すべきオリジナリティでしょう。

緊迫感が煮えたぎるアルオペジオ、
荒々しくリズムを刻むドラムス、
低音域を埋めるエッジの効いたベース、
ボーカルは時折顔を出しては、沈鬱なメロディを残して去っていきます。

そして、それらがハードコア的な要素を爆発させる時の存在感は強烈です。
痩躯だけど闘志と迫力があふれ出すボクサーのような幽鬼めいた偉容が、相対する者の心を畏怖させ魅了します。

一方、音響的にアプローチするときは、不可思議な響きがするように不器用ながらも絶妙に配置します。
知識ではなく野性の勘だけで配置しているような無駄のない荒々しさに要注目です。

日常生活ではなかなか出会えないオーラと向き合える一枚です。

【2nd】Very Soon,And In Pleasant Company

前作から4年の間をおいてリリースされた2ndアルバムです。

一聴すると非常に控えめだな、という印象を受けます。

前作のような骨ばったハードコアな曲もありますが、それは少数派です
不器用ながらもしんみりとした曲、
遥か地の底を這うマグマをイメージさせるエネルギーを抑制した曲、
胸を打つハーモニーと美しいメロディを奏でようと試みている曲。
いずれも簡素、必要最低限の音色でローファイな質感です。
それと同時に如何なる時も失われない陰気な緊張感は、まさしくShipping Newsの真骨頂というところでしょう。

飾り気なく鳴らされる楽器達が織り成すのは、あたかも暗闇に身を潜ませる肉食獣達の炯炯たる瞳のような静かなる獰猛さです。
弛緩し、泰然とし、しかしながら何があろうとも絶対に逃さないような強さ。

本作には、決して大作的な魅力はありません。
しかし、ぎらついた生命力を感じさせてくれる、極めて生々しいハードコアと言えるでしょう。

【3rd】Three-Four

廃版になっていた3作のepをまとめた作品です。

前作と比べ、タイトになり音像もビビットになっています。
むろん、それは決して日和ったとかそういう意味ではありません。
荒々しさは増し、陰鬱さも深くなっています。


ひりひりとした熱量を感じさせるドラムス、
ぶっとくもタイトなベース、
ギターアルペジオから匂い立つ緊張感、
咆哮するようにかき鳴らされるコードストローク、
音響的な感性を感じさせるシンセの音色、
煮えたぎる熱量を隠しながらのびやかな旋律を紡ぐボーカル、
必要最低限のシンプルさはそのままに音の一つ一つ、旋律の一つ一つに渦巻く野性が最大限に注ぎ込まれています。

それでいてアルバム全体としては、どこか混乱しているような雰囲気があるのは、本作が3作のEPをひとまとめにしたものだからでしょう。
世界を構築しつつつも同時に崩壊が進んでいるような、どこに向かって進んでいるのか分からなくなるような、支離滅裂な刹那の魅力を感じます。

狂気さえも含む、非常に危うい作品です。

【4th】Files The Fields

個人的には彼等のアルバムで最も好きな作品です。

フロム・ハードコアなポストロックとはかくあるべきという、一切の無駄のない削ぎ落された凶暴さがあまりにも魅力的です。

音像はブライト、切れ味はソリッド、荒々しさは増大全開、煮えたぎるようにエネルギッシュな暗鬱さで突き進む推進力に圧倒されます。

地底に埋め込まれた呪詛のように蠢くベース、
タイトでありながら、木々をなぎ倒して進むような迫力があるドラムス、
金属質な熱量を叩きつけるエレクトリックギター、
沈むこむようにぼそぼそと呟いていたと思うと、何かが憑いたみたいに一気に絶叫するボーカル、
「背を向けたらやられる」的な緊張感を終始漂わせながら、えぐい切れ味と壮絶な咆哮で聴き手を魅了します。

痩躯で、ほの暗い眼光で、誰にも負けない強靭さを漂わせるファイター。
そんな彼等の特徴を最大公約数的に現わしています。


一部の隙も無い傑作です。

【5th】One Less Heartless To Fear

Jason Nobleが亡くなる前にリリースされた、Shipping News最後のアルバムです。
ルイヴィルと渋谷でのライブをレコーディングしており、さらに新曲7曲と既発曲2曲が混ざっているという変則的な構成になっています。

事実上はライブアルバムということもあり、彼等のエグいまでの生々しさが前面に押し出されています。

狂気的にタイトなドラムスと唸りを挙げるベースがぶつかり合って異様な熱量を煙りだし、
ノイジーでソリッドなギターと叫びあげるボーカルが鈍器のように叩きつけられ、破滅的な火花を散らします。

痩躯的で暗鬱としたサウンドながらも、聴き手の心に切り込んでいくような鋭い迫力と圧力を今まで以上に併せ持っています。
そして、そこにライブ録音ならではの力強さが加わるのですからたまりません。


暗澹としながらも美しい「生」の実感を感じさせてくれる、彼等のラストアルバムです。

結びに Shipping Newsというバンドは決して牙を折られなかった。どのアルバムでも戦い続けた。

彼等の最大の魅力は、荒々しい剥き出しの感情です。
そして、それは最初のアルバムから最後のアルバムまで変わることはありませんでした。

ラストアルバムはボーカルのJason Nobleが滑膜肉腫を発症した後に発表されています。
それでもなお、彼等は戦い続けました。



では、それでは。

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