こんにちは。ツリーズ鮭舞です。
今日も僕にとって大切な一枚について語りたいと思います。
Serphのacccidental turistです。
当時20代の日本人が放ったデビュー作。エレクトロニカ名作といえるでしょう。
白昼夢のような純粋無垢な童話を再現したような音世界です。
奏でられる音は隅から隅までとにかく色鮮やか。ジャズっぽかったり前衛的だったり電子音楽だったりめまぐるしく展開が変わりますが、その根底にあるのは幻想的できらびやかな旅をしているかのような心躍るポップネスです。
2nd以降のアルバムの方が評価されているようですが、僕はこのaccidental touristが一番好きです。何故なら、きらびやかさの裏に切迫した初期衝動が渦巻いているからです。
当時のインタビューでSerphは「職がなく社会に居場所がない」と語っていました。 どうしようもない現実から飛翔したいという、生えてすらいない翼で懸命に羽ばたこうとするかのようなエネルギーが、このアルバムには満ちています。ひっくりかえされたおもちゃ箱から飛び出す人形たちが子供の手から逃げだそうとしているかのような、楽しくも切実で、ファンタジックな音色を創り上げています。
acccidental turist は、後の作品ほど洗練されているわけではありません。ただ、ここではない美しいどこかへと羽ばたこうとするその美しい願いに、ただただ心奪われます。

それでは、また。
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