Saxon Shoreというポストロック・バンドについて。透き通るような感性で壮麗な響きを紡ぎ出す、職人肌の叙情詩メーカー。

こんにちは。

Saxon Shoreは2001年に結成されたインストゥルメンタル・ロックバンドです。

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彼等のサウンドはポストロックにカテゴライズされることが一般的です。

デビュー当初はエモ系ポストロック(瑞々しさと透明感のある響きに若々しい感性を乗せたサウンド)でしたが、徐々に轟音ポストロック(壮大で叙情的な「静」と激しい轟音の「動」のパートを組み合わせる)へとシフトしていきました。


2020年2月現在、Saxon Shoreは4枚のフルアルバムをリリースしています。

この記事では、彼等の全アルバムについて語ります。

のですが、文字だけでは分かりにくいと思うので、相関図を作ってみました。

では、アルバムごとに見ていきましょう。

Saxon Shoreの全アルバムについて

(1st)Be a Bright Blue

彼等のデビュー作です。

素朴なサウンドメイキングの内側に潜む、瑞々しいエモーショナルさが本作の特徴です。

繊細ではありますが張り詰めた雰囲気はなく、朴訥としたポジティブさが印象的です。
不器用ながらも穏やかな響きの一対のエレクトリックギター、
寄り添うように揺蕩うベース、
温もりに満ちたビートを刻むドラムス、
真っすぐでシンプルな構成になっており、なだらかに起伏する曲展開の中で切ない響きをじわじわと醸し出しています。

穏やかさの中にも剥き出しのエモさを満ちており、若々しい感受性が激しく脈打っているのを感じます。

荒削りとも言えるかもしれません。
しかし、無垢とも言い換えることができるような純真なアルバムです。

(2nd)Four Months of Darkness

前作よりも抒情性と深みを増したアルバムです。

穏やかな繊細さと壮大なエモーショナルさを兼ね備えているのが本作の特徴です。
キーボードやピアノなどを導入し、ポストロックな叙情性に接近しています。

前作の瑞々しい素朴さはそのままに、サウンドの多様性と奥行きが大きく増しています。
ミドルテンポ~スロウテンポのドラムス、
柔らかに揺れるベースライン、
清冽な音色を爪弾くエレクトリックギター、
深みのある色彩を添えるキーボードやピアノ。
それらが一体となって奏でる、スケールの大きさを感じさせるハーモニー。

バリエーションと躍動感が増加しており、力強さも感じられるサウンドスケープになっています。

未完成がゆえのぎこちなさと純粋さは残しつつ、壮大な物語性を感じさせる旋律が奏でられています。

純真さと美しさも高い水準で有しているアルバムです。

(3rd)The Exquisite Death of Saxon Shore

大きく変貌を遂げた3rdアルバムです。

ブライトな轟音/バーストサウンドと過去作にないタイトなリズム感を特徴としています。

叙情性と緊張感を強く帯びながら光輝を放つサウンドからは、強いエネルギーを感じます。

ミドルテンポでエネルギッシュなグルーヴ感を生み出すドラムス、
解放感のあるうねりを聞かせるベース、
キーボードの玲瓏な音色、
そして、きらびやかに放射されるエレクトリックギターの旋律。
メランコリックでありながらも壮麗な旋律を力強く描きます。

一般的な轟音ポストロックに「静」と「動」をダイナミックに切り替えるのではなく、常にテンションは高めに維持されています。
流麗な躍動感が状況に応じてエネルギーを押したり引いたりしているようなイメージでしょうか。


終始、まばゆい光を巻き起こす化学反応が起きています。
生み出された推進力は美麗にして勇壮。
アルバムの最初から最後まで、息つく暇なくエモーショナルに駆け抜けていきます。

本作は光をまとって突き進んでいく彗星のような、勇壮さと華麗さを感じさせるアルバムです。

(4th)It Doesn’t Matter

現在のところSaxon Shoreの最新アルバムでもあり、集大成とも言える内容になっています。

前作のタイトさと光輝は引き継ぎながらも、1stや2ndのような穏やかさも感じさせます。
そして冒頭曲nothing changesに顕著なように、澄んだ叙情性を最も打ち出しているのが最大の特徴です。

穏やかな暴動から少しずつ盛り上がり、カタルシスのバーストヘと辿り着く。
方法論自体はいわゆる轟音ポストロックのそれです。
しかし、Saxon Shoreにとっては紆余曲折を経てたどり着いた境地であるせいか、その響きからはいぶし銀の深みを感じます。


ミドルテンポでエネルギッシュなドラムス、
堅実に全体を支えるベース、
「静」と「動」を巧みに使い分ける一対のエレクトリックギター、
大人びた落ち着きを添えるピアノやキーボード。
前作のような爆発的テンションはないものの、完成された叙情性と「静」「動」切り替えのダイナミズムがとても魅力的です。

また、過去作にはないようなスマートな落ち着きも本作の魅力です。

「胸を打つ」若々しい旋律というよりも「胸が疼く」切なさを感じる、大人びた調べが鳴らされています。

ポップで、澄んでいて、だけど苦みがある。
そんな透明さと聡明さを奏でているアルバムです。

結びに代えて Saxon Shoreというポストロックバンドが残したアルバムの魅力

Saxon Shoreはいわゆるポストロックの後発バンド扱いという立ち位置を与えられているように思います。

そういった評価自体は一つの正論ですし、事実Saxon Shore自体に先達を上回る求心力があるとは思えません。

ただ、己が美学に誠実に向き合って鳴らされた音には、少なくとも私は一定以上の魅力を感じます。

そして、何物にも代えがたい「価値」があるとも。

それでは。

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