Sawakoのアルバムについて。静謐に揺らめくアンビエントと、甘さ控えめな感傷

こんにちは。

Sawakoは名古屋出身の音響作家/メディア・アーティストです。

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ジャンルに当てはめるならエレクトロニカ/アンビエント/ドローンになるのでしょうか。
ノスタルジックながらも繊細で暖かなサウンドを特徴としています。

2021年7月現在、Sawakoは5作のフルアルバムをリリースしています。
本記事では、その全てを見ていきます。

sawakoのアルバム一覧

これからリリース順にアルバムを見ていきますが、文字だけでは分かりにくいと思って相関図を作成してみました。

では、本題に入りましょう。

(1st)Yours Grey

ぼやけた情景を感じさせる静謐さに、ほんのりとメランコリックな雰囲気が加わったアンビエントサウンドになっています。

暖かくて、柔らかくて、だけど暗闇の向こうに何かが潜んでいるような違和感・異物感もあって。
無駄な音が全くなく、静寂の中にぽつりぽつりと音が浮かび上がっては消えていきます。


水の流れる音、加工された鐘の音、儚いノイズ、不穏な電子音/シンセ。
繊細な音のテクスチャーが静寂の内側で、かすかな音の揺らぎがまるで呼吸のように揺蕩っています。

緻密で実験的なニュアンスを強く帯びているのは間違いないでしょう。ただ、人間が本来持つ体温や脈拍にも通じるような温かさや違和感もほんのりと感じられ、それが本作に味わい深い雰囲気を与えています。

また、作り手の感受性が迸っているようなアーティスティックさはsawakoの魅力の一つでもありますが、本作はその面において後の作品よりも頭一つ抜けているように思います。

全編の多くを通して一貫しているのは繊細緻密であること、不穏な静寂が張り詰めていること、作り手の豊かな感性と実験精神が感じられることでしょう。

アーティスティックさの内側に僅かな感傷を秘めた、情景的でありなあがらも心情的なアルバムと言えるでしょう。

(2nd)Hum

不穏だった前作と打って変わり、柔らかな陽光を思わせるノスタルジックな魅力を秘めている作品です。

繊細でありながらエレガント、精緻でありながら伸びやか、
心地よい揺らぎを湛えたアンビエントなサウンドスケープを展開していきます。


サンプリング、アコースティックギター、微かなノイズ、美しくも時に予想を裏切る旋律のシンセやピアノ、
作り手の感性が迸っているような奔放さを静寂の中に秘めています。

かといって奇抜になりすぎることもなく、ドローン気味の漂っていくシンセの音色が微かな緊張感を帯びつつも優しく広がっていきます。

澄んだ音色は響きを探求するような実験精神も併せ持ち、相反することの多い魅力を違和感なく同時に湛えています。

時に天使的な美しさを帯びることもあり、
時にセピア的なノスタルジーを帯びることもあり、
緻密に構成されたサウンドが自由自在にその姿を変えていきます。

優しい透明感を湛えた、しかし甘すぎない響きがそっと現れては消えていきます。

感受性豊かで、だけど甘さ控えめなアンビエントアルバムと言えるでしょう。

(3rd)Madoromi

過去作よりもリラックスした雰囲気になっているのが、本作Madoromiの特徴でしょう。

淡く滲んだシンセが伸びやかに揺らめく、美しいドローンサウンドが続いていきます。
まさに『まどろみ』といったところでしょうか、台詞のサンプリング、ギター、オルゴール、ヴィブラフォン、微かなノイズなどの音色を織り交ぜ、夢見心地なサウンドスケープを構築しています。

また、生楽器を多数用いているためかアナログ的な質感を帯びているのも特徴で、繊細ながらも暖かみを帯びているのも魅力的な点と言えるでしょう。

静寂の中に浮かび上がる揺らぎは適度な緊張感を帯びつつも、優しくて心地よいテクスチャーになっています。
全編を通して大きな色彩の変化はありませんが、それがゆらゆらと揺蕩うような本作の魅力の根源を成しているのは間違いないでしょう。

実験的なニュアンスもまだ残っており、それが本作特有のノスタルジックな透明感と重なることで複雑な味わい/色彩の美しさを醸し出しています。

甘さは控えめながらも、自然な甘さが心地よいアンビエント・アルバムです。

(4th)Bitter Sweet

前作より生音を取り除いた、澄んだ透明感を特徴としたドローンサウンドになっています。
さらにシンプルに、伸びていく響き・揺らぎの美しさを魅せてくれるアンビエント・エレクトロニカと言えるでしょう。

微細なノイズと揺らめくシンセ、両者が織りなす繊細なドリーミィでアーティスティックなサウンドが本作の土台となっています。

また、ギターが導入されるトラックも非常に儚く、現代日本的なノスタルジーを個人的には感じさせられます。

揺蕩うように、メランコリックに、純度の高い響きが揺らめきながら伸びていきます。


無駄を排した結果、淡い詫び寂びのような美しさを帯びており、一音一音の繊細な響きを楽しむようなフェティッシュな魅力も本作においては一際目立っているように思います。

本作も変わらずノスタルジックながらも甘さは控えめ、大人びた風味が一貫して漂っています。

深い透明感と繊細な響きが生み出す、感傷的ながらもアーティスティックなドローンを楽しめるアルバムです。

(5th)nu.it

本作も生音少なめの、澄んだ透明感を特徴としたドローンサウンドになっています。

ただ、時折彩を添えるように挿入される生楽器がギター主軸からピアノ・シンセ主軸に切り替わっていることは重要な変化であるように思います。


しっとりと優美なシンセを背景に、音の余韻をじっくり魅せるようにその音色は伸びていきます。

また、時折挟み込まれるオルゴールも効果的にメランコリックな響きを演出しています。

もちろん、根底にある甘さ控えめのノスタルジーは変わりません。
揺らめきながら、揺蕩いながら、儚く繊細なテクスチャーを紡いでいます。

無駄を排し、ストイックなまでにアンビエント・ドローンであり、それでいてほんのりとノスタルジーが漂う。

シンプルだからこそ、その「間」から澄んだ叙情性が立ち込めているアルバムと言えるでしょう。

主要参考サイト:sawakoのアルバムについて

https://troncolon.com/

https://tinytinypress.bandcamp.com/album/yours-gray

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