Same Waves / Algorithm of Desire  エレガントに、憂鬱に。静謐な電子音響はスロウコアの夢を見るか。



こんにちは。

Same Wavesは、L’altraのLindsay AndersonとTelefon Tel Avivなどが在籍するHeftyのオーナーJohn Hughesによる2人組ユニットです。

彼等の音楽はカテゴライズするのが難しいです。
Slow Core/Sad Coreエレクトロニカの特徴を併せ持っており、気品に満ちた物憂さが印象的です。

そして、本作Algorithm of Desireは彼等のデビューアルバムです。

Algorithm of Desireの魅力 豊かなキャリアがもたらす馥郁たる薫り

ファースト・インプレッション Slow Core/Sad Core+エレクトロニカ

彼等の音楽を一言で表現するならば、「エレクトロニカ的サウンドでSlow Core/Sad Coreの空気感を表わしている」が適切でしょう。

通常、Slow Core/Sad Coreサウンドはバンドサウンドをベースにします。
また、エレクトロニカ界隈において陰鬱で平坦なサウンドを奏でる音楽家は、少なくとも多数派ではありません。
両者の混合は非常に珍しいのです。

また、一般的にはSlow Core/Sad Coreか否かを判断するのは、その音楽がSlow Core/Sad Coreっぽい空気感を持っているかで決まります。
つまり、エレクトロニカ的手法を持ち込んだらその繊細な空気感が崩れてしまう可能性が高いと言えましょう。
しかし、Same Wavesはそんな難問を鮮やかに解決し、エレガントな成果物を我々に差し出しています。

エレクトロニカとしての側面 見事なサウンド・プロダクション

楽曲を構成する部品はエレクトロニカ的なものが主になっています。
電子音+生音を組み合わせた、柔らかくて温かみのあるタイプを繊細に組み合わせています。


優美なエレクトロニカ的ビート、
儚くも艶やかな電子音、
様々な響きが鳥の鳴き声のように現れては消えていくアンビエント的サウンドレイヤー、
また、シンセ、ピアノ、ストリングスなどの生楽器は繊細ながらも楽曲の芯を担っています。
そして、これらの基盤を成しているのがSlow Core/Sad Core的なスロウさです。
それらを丁寧に組み合わされ、ため息が出るほど美しい音響世界を創りだしています。

Slow Core/Sad Coreとしての側面 精悍な女王 Lindsay

そんな電子音響的なサウンドレイヤーが生み出しているのは、Slow Core/Sad Core的で物憂げな空気感です。
その空気感は、陰鬱な静謐美を極めたLindsayのバンドL’altraにとても似ています。

陰鬱でありながらも美しいボーカルの旋律、
多くの経験を経てきたことを感じさせる、やや曇りつつも甘美な声。
そんなLindasayの声から、L’altra的な抑制された静謐さから滲む迫力を感じます。
彼女の存在感が圧倒的なのです。

あまりにもエレガントかつ精悍な存在感が、優雅なサウンドレイヤーの上に君臨しています。
電子音も、楽器も、優美なビートも、アンビエントも、彼女の色に染まり跪いているかのようです。
アルバムの静謐な空気の奥底で、悲しい熱がゆらめいています。

Lindsayの声は、あたかも女王のように空気を支配しています。
でも、優雅なお城の女王様のそれとは違います。
傷つき、打ちのめされ、それでも立ち上がる女王のような力強さ。
ボロボロでも力強く世界を睨みつけるような、不屈の精悍さ。

決然とした静謐さを、ぶれない逞しさを、その美しさの奥に感じ取ることができます。

結論:むき出しで、貫禄があって、大人のインディーポップ。

様々な経験をしてきた人間が生み出せるエレガントさ。
その奥に隠し持つ傷や痛みが生み出す複雑な色合い。
「Slow Core/Sad Coreとエレクトロニカの組み合わせ」なんて、表層的な部分にしか過ぎないのかもしれません。

美しく、優雅で、大人びた深みのあるおとぎ話のような、極上のインディーポップと言えるでしょう。

まとめ Algorithm of Desireの美しさ

いかがでしたか。

Slow Core/Sad Core的でありながらエレクトロニカ的でもあり、
非常に美しいと同時に大人の苦い深みもあるアルバムです。

色々な意味で様々な色彩が混じり合っている音楽とも言えるかもしれません。


それでは。

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