Psappのアルバムについて。キュートな微熱を奏でる、トイトロニカのレジェンド

こんにちは。

Psappは2002年から活動を開始している音楽デュオです。

公式サイトより

ジャンルとしてはエレクトロニカになるでしょう。
オモチャ(の楽器)や自作楽器を使った無垢な響きと大人びた叙情性を併せ持つ、柔らかなサウンドが特長。

トイトロニカの創始者と呼ばれることもあります。

2022年7月現在、Psappは5作のスタジオアルバムをリリースしています。
本記事では、その全てを紹介します。

Psappのアルバム一覧

これからリリース順にアルバムを見ていきますが、文字だけでは分かりにくいと思って相関図を作成しました。

あくまで個人的なイメージです。ご容赦ください。

(1st)Tiger,My Friend

オモチャの楽器によるキュートな響きが、ほんのり気だるい楽曲を奏でています。

無垢な音色の楽器たちが織りなす軽やかなハーモニーと、エレクトロニカ的で細やかなビート。そして、アンニュイな色彩を帯びた女性ボーカル。ゆったりと溶け合うように、微熱を帯びたようなサウンドが続いていきます。

ピアノ、ギター、オモチャ、ストリングス、シンセ、ベル。様々な音色が登場しますが、いずれも儚いセピア色の色彩を帯びているように感じます。仄かに物憂く、だけど優しい響き。戯れるな旋律の木繰り返し。可愛らしさと大人びた雰囲気が、違和感なく混ざり合っています。

気だるくはありますが、サウンドは一貫して軽快。アンニュイさに沈み込むようなこともありません。

シンプルだからこその魅力は、初期衝動と言えるのでしょう。Psappの人間味を強く感じられる作品です。

(2nd)The Only Thing I Ever Wanted

前作の路線を踏襲しつつ、完成度を高めている作品です。

大人の苦みを仄かに湛えるキュートなサウンドが、気だるげに続いています。

(おもちゃの)楽器や素朴なシンセが織りなす可愛らしいな響き、エレクトロニカ的で軽快なビート、気だるい雰囲気が独特の存在感を放つ女性ボーカル。心地よい緩やかさを湛えながらも、その奥では作り手の芯の強さを感じられる気迫が息づいています。

おもちゃの楽器を使っていることもあり、可愛らしいサウンドになっているのですが、物憂さと聡明さが強く感じられることも本作の特徴。音の揺らぎが優しく続き、童心を思わせる無垢さだけでなく、成熟した人間の強さも感じられます。

可愛らしくて、儚くて。物憂くて、でも弱々しさはなくて。時に胸を打つ旋律が紡がれて。屈強なだけが強さじゃないと感じさせてくれるサウンドが続きます。

個人的にはPsappで最も好きな作品です。

(3rd)The Camel’s Back

今までよりもハッキリとした輪郭を感じさせる作品となっています。

従来のキュートな音像とエレクトリックギターのワイルドなカッティング/ソロを吹きまくるサックスが混ざりあう、冒頭曲が特に印象的です。

子どもっぽい雰囲気も気だるい雰囲気も若干後ろに下がり、軽やかな雰囲気の中に華やかさを感じさせるサウンドになっています。それも「きらびやか」というよりも、ちょっと中世的な雰囲気がします。ハーメルン的というか。

おもちゃの楽器によるキュートな一面も健在ですが、ストリングスもさりげなく情感の豊かさを添えていることもあり、インディーポップらしいキャッチーさ/朗らかさが備わっています。

過去作のPsappっぽさも残しつつ、ポップスとしての解像度を高めた作品だと思います。

(4th)What Makes Us Glow

前作のややハッキリした輪郭を残しつつ、ウォーミングな質感に変化しています。

キュートな雰囲気をそのままにやや大人っぽくなっている、といえば良いのでしょうか。ただ、微熱のような気だるさも健在で、大人の哀愁もにじませる絶妙のポップミュージックになっています。

軽やかなサウンドでヨーロッパ的場末の酒場感を演出するあたりは、さすがはPsappといったところでしょうか。良い意味での(敢えて、の)拙さを残しつつ、ジプシージャズの雰囲気を華麗に演出しています。

おもちゃのような可愛らしさと、それとなく漂う艶。大人の苦みをさりげなく湛えた、キュートな響き。魅力的な大人の在り方が、粋に現わされています。

こちらも非常に好きな作品です。

(5th)Tourists

精神的な成熟/落ち着きを感じさせる作品です。

しっとりとしたピアノを中心とした冒頭曲に象徴されるように気だるい微熱もかなり消え、王道なインディーポップとしての側面も備えています。

もちろんキュートな雰囲気も健在。軽快なシンセ/ストリングスが織りなすハーモニーや軽やかに動き回るビートが、ウィットに富んだアンサンブルを奏でています。

良い意味で肩の力が抜け、余計なことを考えず「良い曲」を作ろうとしているのかもしれません。全体的に安定感があって、泰然とした雰囲気を感じます。

また、メランコリックなピアノ/エモーショナルなシンセの旋律が響く楽曲などが、特に際立った存在感を放っているように思います。

素敵な人たちが創っているんだろうな、と想像してしまうような作品です。

主要参考サイト

https://en.wikipedia.org/wiki/Psapp

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