こんにちは。
Poppy Ackroydはイギリス出身のコンポーザー/ピアニスト/バイオリニストです。

カテゴリーはポスト・クラシカルとして捉えるのが適切でしょう。
重厚さではなく繊細な響きで魅せるタイプで、電子音を多用しながらソフトなテクスチャーを創り出すのを得意としています。
2021年7月現在、Poppy Ackroydは3作のフルアルバムをリリースしています。
本記事ではその全てを見ていきます。
Poppy Ackroydのアルバム一覧
これからリリース順にアルバムを見ていきますが、文字だけでは分かりにくいと思って相関図を作成してみました。

では、本題に入りましょう。
(1st)Escapement
クラシカルな楽器を用いつつ、
優美な響きを奏でつつ、
英国の田園風景を眺めているような感覚にさせてくれるサウンドです。
高貴でありながらも飾らない素朴さもあって、深い叙情性を湛えています。
時折躍動することはあれど、基本的には気品漂うサウンドスケープを描いているのが特徴と言えるでしょう。
また、探求の在り方が電子音楽的というか、エレクトロニカを想起させるところが多々あります。
軽やかに深い感情を紡ぐピアノ、
メランコリーと共に広がっていくバイオリン、
手などによって生み出されたデリケートなビート、
箱庭的で繊細な響きが、息をするような密やかさと艶やかさを生み出しています。
穏やかに、繊細に、優美さを乱すことなく、しかしその内側では聡明な感情が力強く波打っています。
素朴でデリケートな揺らめきを持った、ポスト・クラシカルサウンドと言えるでしょう。
(2nd)Feathers
優美でありながら田園風景的な長閑さを感じさせてくれた前作に対し、本作Feathersは軽やかな旋律によって胸を打つようなメランコリーを響かせています。
情景喚起的、というか胸の奥に秘めた感情を呼び起こす感じでしょうか。
軽やかに飛び回るメランコリックなピアノを軸にして、叙情性と透明感を帯びたサウンドを奏でています。
また、少し引いたところからバイオリンの高貴な音色も美しい背景を構成しています。
デリケートなビートも時折姿を見せ、エレクトロニカ的な瑞々しさを本作に与えています。
気品や儚さを丁寧に描き出し、澄んだサウンドスケープを緻密に創り出しています。
ポスト・クラシカル的な重厚さは感じられず、どちらかという瑞々しい浮遊感やリラックスした飛翔感が本作の重要な要素と言えるでしょう。
エモーショナルな的な要素はぎっしり詰まっているのですが、繊細ながらも毅然とした芯の強さも併せ持っているように感じられるアルバムです。
(3rd)Resolve
前作の軽やかなで胸を打つ旋律を、基本的には継承したサウンドになっています。
深い透明感と、優美なテクスチャー。
軽やかながらも叙情的なピアノ、様々な感情を豊かに表現するバイオリン、可憐なハープ。
繊細なシンセやデリケートなビートも相まって、パーソナルな感情を優雅な音色で表現しています。
儚くも毅然とした響きが滲むように溶けていく様は、緻密な絵画のような美しさを感じさせます。
美しく澄んだサウンドスケープには広がりがあり、瑞々しくも壮大さを感じさせる仕上がりになっています。
浮遊感や飛翔感の内側でエモーショナルな感情が力強く対流しているのも特徴でしょう。
ただ、静謐なだけでない、ただ美しいテクスチャーで魅せているわけではない、勇壮さを秘めているようにも感じられます。
繊細であるからこそ、緻密であるからこそ、そこに芯の強さが宿っているのかもしれません。
決して折れぬ闘志のような、心の奥底で揺れる灯のような、そんな強さを感じるアルバムです。
コメントを残す