こんにちは。
Polaは日本のレーベルから作品をリリースしているソロ・アーティストです。

ジャンルとしてはマイクロハウス・クリックハウスの影響を受けた静謐なエレクトロニカ、といったところになるのでしょうか。
アニメ的感性を土台としつつ、無垢な透明感と幻想的・現実逃避的な甘美さを兼ね備えた繊細な作品を世に送り出しています。
2021年6月現在、Polaは2枚のフルアルバムをリリースしています。
本記事ではその全てを見ていきます。
Polaのアルバム一覧
これからリリース順にアルバムを見ていきますが、文字だけでは分かりにくいと思って相関図を作成しました。

では、本題に入りましょう。
余談ですが、個人的には2ndのPola Meets Lyricaが大好きです。
(1st)Meme
マイクロハウス・クリックハウスの影響を強く感じさせつつも、幻想的な音響や透き通る水滴を思わせる透明感さを含んだ叙情的な作品に仕上がっています。
優しく揺らめく透明度の高いサウンド・ヴェール、
泡沫のように浮かんでは消えゆくクリック音、
澄んだ響きが溶けるように折り重なり、幻想的・逃避的な文学性を帯びたサウンド・スケープを構築していきます。
優しく、静謐で、水中で揺蕩っているような柔らかさがあって。
それでいて淡い物語性を帯びており、アルバム全体を通して穏やかな起承転結を紡いでいます。
また、心のひだの奥底まですっと入り込んでくるような包容力を帯びているのも本作の魅力でしょう。
ただ、あまり現実的な雰囲気はせず、ヴァーチャルなサウンドスケープに仕上がっています。
丁寧に作りこまれたゲームの世界に入り込み、濃霧に覆われた森の中で妖精たちが戯れる要素を眺めているかのような非現実的繊細さが丁寧に醸成されています。
細やかな音の揺れ、愛おしむような残響音。
流れる水のような清澄で、
逃避行の果てに浮かび上がる蜃気楼のような蠱惑的で。
澄水と濃霧が混ざり合ったようなサウンドスケープを楽しめるアルバムです。
(2nd)Pola Meets Lyrica
ライトノベル・エレクトロニカというコンセプトで制作された本作は、前作memeよりも幻想性と物語性が深く立ち込めています。
本作はPolaとLyricaという少女についてのストーリーを元に制作されています。
リリースは2005年、オタクたちの間では百合が大きな存在感を放っていたころでしょうか。
本作Pola Metts Lyricaは当時のオタク的感性をエレクトロニカに昇華した作品なのかもしれません。
オタク的現実逃避の美麗・流麗な一面とマイクロハウス・クリックハウスの繊細なテクスチャーが化学反応を起こしているような作品とも言い換えられるかもしれません。
マイクロハウス・クリックハウス的で静謐な透明感が、本作の基底音として絶えずゆったりと響いています。
そして、その妙なる透明感を落とさぬまま蠱惑的・現実逃避的な陶酔感が、優しくも深い霧のように立ち込めています。
川のせせらぎのようなシンプルさを保ちつつもアルバム全体の起承転結がしっかりと形作られているのも特徴でしょう。
また、さらに包容力を感じさせる柔和な揺蕩いがそっと続いているのも本作の魅力です。
少女たちの出会い、何気ないコミュニケーション、ざわめく感情、美しいカタルシス。
優しく響き、そっと溶けていく音の粒子の全てから繊細な物語を感じ取ることが出来ます。
あまりにも美しい「ここではない何処か」と、その「ここではない何処か」を希求する作り手の熱意が込められた、無垢な叙情性を深く帯びたアルバムと言えるでしょう。
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