Pedro the Lionのアルバムについて。素朴で繊細、優しい旋律

こんにちは。

Pedro the Lionは1995年にシアトルで結成されたDavid Bazanを中心とするロックバンドです。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d3/Pedro-The-Lion-2017.jpg

ジャンルとしてはスロウコア/インディーロック/エモといったタグ付けととも紹介されることが多いように感じます。
物憂くもじんわりとした、素朴で優しいサウンドが印象的です。

2022年6月現在、Pedro The Lionは6作のアルバムをリリースしています。
本記事では、その全てを紹介します。

Pedro The Lionのアルバム一覧

リリース順にアルバムを見ていきますが、文字だけでは分かりにくいと思って相関図を作成しました。

あくまで個人的イメージです。
ご容赦ください。

(1st)It’s Hard to Find a Friend

素朴で味わい深い、インディーロック寄りのスロウコアサウンドが展開されています。

極端にスロウであったり陰鬱だったりするわけではないのですが、にじんだニュアンスを秘めたサウンドと薄蒼い物憂さが、スロウコアっぽさを感じさせます。

飾り気がなくて、メランコリックで、優しくて。エモにも似た蒼い焦燥感を、ゆったりとしたサウンドの中にゆらりと浮かべているのも特徴です。染みる、という言葉もハマる音楽ではあるのですが繊細さを感じさせます。それから、良い意味での粗さも。色々がそっと混ざり合って、人間っぽい感情の移ろいが描いています。

朴訥としつつも感傷を滲ませる男性ボーカル、素朴ながらも影を帯びたアルペジオを紡ぐエレクトリックギター、感情の動きをストロークするアコースティックギター、控えめに低音を埋めていくベース、シンプルなビートを刻むドラムス。一切の無駄を排し、しかし良い意味で洗練されてないない。繊細で物憂い叙情性は深みを帯びつつ時にメランコリックでエモーショナルな響きを強く打ち出すのも、鮮烈な印象を聴き手に与えます。

牧歌的ながらもその内では蒼い焦燥を渦を巻いているような二律背反を感じさせるサウンドを構築しているのが本作の特長でしょう。

どこまでも素朴で、どこまでも儚くて、どこまでもアンニュイ。
絶妙なバランス感覚の上に成り立った、スロウコア界における少し変わった立ち位置の作品です。

(2nd)Winners Never Quit

前作の素朴で味わい深いテイストの延長線上にある、アコースティック・インディーロック/スロウコアな作品です。

牧歌的ながら蒼く物憂いサウンドを響かせる、繊細でロウファイな質感が魅力的です。

素朴な歌声の男性ボーカル、シンプルなギターストロークや悲しげな単音フレーズを効果的に鳴らすエレクトリックギター、直線的で硬質なビート感を形成するリズムセクション。時に静かに、時に激しく、そしていかなる時も良い意味で洗練されていないエモさを湛えながら、アルバムは展開していきます。

じんわり染み入る系の無垢な響きが本作の要とも言えるでしょう。少ない音数で「間」で活かしながら淡くぼやけたメランコリーを描いていくサウンドは、時に胸の深くまで突き刺さるエモーショナルさを魅せることもあり、鮮やかな感情を聴き手に突きつけます。

朴訥としつつ、純粋無垢な文学性を帯びつつ、儚くも美しく。
蒼い感情が優しく、しかし時に渦を巻く、作り手の繊細な精神性を感じさせるアルバムです。

(3rd)Control

アコースティックな質感がやや引っ込んだことにより、エモ/インディーロック寄りのサウンドへと接近しているアルバムです。

蒼く物憂いサウンドはそのまま、胸に染み入るような素朴ながらも儚い旋律をラフに紡いでいます。

繊細な響きとエモ的/文化系ロックな躍動感が入り混じり、時にアップテンポな曲を交えながらアルバムは展開していきます。

実直なメロディを歌う男性ボーカル、シンプルにストロークするエレクトリックギター、硬いビートを刻むリズムセクション。洗練されていない粗さ・蒼さ・スキを存分に残しながらも、じわじわと聴き手を包む暖かみを湛えたサウンドが本作でも変わらぬ魅力を放っています。

「間」を活かしたシンプルなサウンドと、素朴ながらもエモーショナルな響き。青春の甘酸っぱさを漂わせつつも、どこか大人っぽいニュアンスも感じられたり。

様々なフレーバーが混ざり合った、絶妙のバランス感覚の上に成立しているアルバムです。

(4th)Achilles Heel

リリースを重ねるにつれ薄れつつあったスロウコア感ですが、個人的には本作からスロウコアのタグ付けをするのは難しいと感じています。

スロウコア/エモ/インディーロック(ポップ)の影響を受けた、素朴で純粋無垢なロックサウンドが胸に染み入る作品です。

良い意味で未熟な蒼さはそのままに成熟した暖かみがさらに強まっており、Pedro The Lionにしか出せないアットホームな優しさを感じられます。

じんわりとしたメロディを歌う男性ボーカル、シンプルにプレイするエレクトリック/アコースティックギター、真っすぐなビートを叩くリズム・セクション。切なさや温もりを丁寧に紡ぎながら、真っすぐな人柄を思わせる表裏のないサウンドを響かせています。

分かりやすい盛り上がりや分かりやすいダウナーさがあるわけではありません。しかし、優しい温度感を常に保ちながら、柔らかな叙情性を高らかに歌い上げる本作には、音楽が持つ普遍的な魅力が詰まっていると思います。

Pedro The Lionとしての個性が、魅力の根幹を成しているアルバムです。

(5th)Phoenix

非常に長いスパンを経てリリースされたせいか、かなり雰囲気が変わった作品です。

スロウコア感は完全になく、エモの匂いを残した素朴なUSインディーロックという趣になっています。温かくて、純朴で、無垢です。

蒼さを残しつつも成熟の度合いはさらに高まり、味わい深いアンサンブルが紡がれていきます。
繰り返しになりますが、味わい深いという言葉が本当にハマる作品です。

酸いも甘いも噛み締めて、それでも純粋で優しい雰囲気を保っているような、真っすぐな人となりと成熟を感じられるアルバムです。

(6th)Havasu

スロウコアっぽさは引き続き皆無ですが、Pedro The Lionらしい素朴なUSインディーロック感は健在です。

やや躍動的だった前作に比べると落ち着いた雰囲気になっていますが、大人っぽいいぶし銀さが佇まいが感じられます。ただ、無垢さや素朴さは変わりませんが、変わらないまま色味が大人っぽくなったような経年を感じます。

温かみがあって、深みがあって、年を重ねた優しさがあって。派手さは全くないものの、というかないからこそのポップさがあるような気がします。

ほとんどの人は気づかない、だけど毅然と存在している温もり。それに偶然出会ったような温かな嬉しさが、本作には詰まっています。

主要参考サイト:Pedro The Lionのアルバムについて

https://en.wikipedia.org/wiki/Pedro_the_Lion

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。