Parlourのアルバムについて。不揃いで自然体、いぶし銀で原初的なポストロック

こんにちは。

Parlourはケンタッキー州で結成されたインストゥルメンタル・ロックバンドです。

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Parlourはポストハードコア・バンドCrainの元メンバーたちを中心にして結成されています。

ポストハードコア・バンドのざらついた質感とシカゴ音響派のポストロック・バンドの不可思議な音響を混ぜ合わせたようなサウンドを特徴としています。

ParlourはExplosions in the SkyMONOを擁するTemporary Residenceからアルバムをリリースしています。

2021年6月現在、Parlourは4作のフルアルバムをリリースしています。
本記事では、その全てを見ていきます。

Parlourのアルバム一覧

これからリリース順にアルバムを見ていきますが、文字だけでは分かりにくいと思って相関図を作成してみました。

個人的には3rd以降から聴くことをお勧めしたいです。

では、本題に入りましょう。

(1st)Octopus Off-Broadway

ゆったりと波がうねるようなグルーヴとシンセや管楽器を織り込んだウォーミングな質感を特徴としています。

もたっとしたグルーヴ感は原初的なポストロックを思わせ、アンバランスながらも心地よい音響を存分に含んでいます。
また、ハードコアをたおやかに変質させたようなサウンドが徹頭徹尾続いていきます。


ゆったりとしたウェイビーさを湛えたシンセとギター、
ミニマルでおだやかに響くクラリネットなどの管楽器、
生々しい質感で低音部を泳ぐようにゆらめくベース、
もたっとして、人間味を帯びたミドルテンポのドラムス、
自然体ながらも求心力のあるグルーヴが、素朴ながらも夢幻の世界へと聴き手を誘います。

あまり格好をつけていないところが、本作の味わいに繋がっているように思います。

不揃いの弧をゆっくり描くようなグルーヴが絶えることなく続いていき、大きな起伏もなくふわりと盛り上がり、ふわりと静まっていきます。

分かりやすく尖った魅力があるわけではありませんが、心地よい煙がゆったりと充満していくような優しさに満ちています。


灰色にくすんだ叙情性を忍ばせるような、
かすれてほとんど見えない古びた写真のような、
微かなメランコリーを感じさせるアルバムです。

(2nd)Googler

優しくてもたっとしたグルーヴが続いていた前作と比べると、やや緩急がついているのが本作Googlerです。

平坦ながらも不穏さ・煙たさ・クールさを秘めた音響がざらりと響いています。
ポストハードコア的な粗さも滲ませていますが、煮詰まったような/思い詰めているような雰囲気は感じさせません。

その一方でシンセによるドローンサウンドの存在感もかなり強まっており、アンダーグラウンド的で灰色な静けさを演出しています。
また、時にはインダストリアル・ディストピアSF的な雰囲気を生み出すこともあり、表現の幅を押し広げているのも重要な点でしょう。

粗野な粗さを滲ませつつも素朴で優しいエレクトリックギター、
影を帯びた叙情性を演出するシンセやサイロフォン、
人間味を帯びた自然なベース、
自然体の緩急を演出するドラムス。
「静」と「動」の両者に極端な差があるわけではありません。両者の間をスペクトラム的に行き来しており、原初的ポストロックのような粗さ・不穏さをおおらかな自然体で描き出しています。

余裕があると言えば良いのでしょうか。こういった類のアンダーグラウンド・ミュージックでは稀少なタイプの属性を帯びたサウンドであるように思います。

前作同様、分かりやすい魅力があるわけではありませんが、じわじわと魅力を醸し出すアルバムと言えるでしょう。

(3rd)Simulacrenfield

いままでのもたっとしたグルーヴから一転し、タイトでダークなビート感を演出している作品です。

ポスト・ハードコア直系の、Shipping Newsのような粗く刺々しいポストロックにだいぶ接近している印象を受けます。

ゴリゴリとして、殺伐として、不穏なソリッドさがあって。
「良い意味で洗練されていない」という表現がぴったりとハマるサウンドが展開されています。


ただ、シンセや管楽器の存在感が匂い立っていることもあり、Parlourらしい歪なマイルドさも残っています。
そのブレンド具合が、本作に絶妙にアンバランスで独特の味加減を与えています。


剥き出しの感情を抉り出すようなダークでエッジの効いたギター、
不可思議な浮遊感やテクスチャーを醸し出すシンセや管楽器等、
ゴリゴリとした音塊を生み出すようなベース、
ハードコアな不穏さを存分に吐き出すドラムス、
生々しくざらついたサウンドが淡々と奏でられ、いぶし銀の輝きが絶えず滾々とあふれ出ています。

切れ味・激しさを増した分、キャッチーさも比例して上昇しているように思います。

また、前作までの余裕は本作にも漂っており、肩の力が抜けた自然体のスタンスは変わらぬ魅力となっているのも重要な点でしょう。

好きな人にはたまらないタイプのアルバムではないでしょうか。

個人的にはParlourで最も好きなアルバムです。

(4th)Parlour

前作よりもヘヴィさとタイトさを増している作品です。

とはいえ咆哮するようなハードコアではなく、じわじわ煮詰めてくるような老獪なアンダーグラウンド性を感じさせます。


洗練されていないざらついた質感は変わらず魅力的で、ダークで殺伐とした粗い響きが時にゆったりと、時に激しくうねっています。

もちろん良い意味でもたっとしたビート感も残っており、それが不可思議な広がりを持つシンセの音色と上手くマッチしています。


分かりやすい激しさやビート感が強まったことにより、キャッチーさもまた増しています。

「良い意味で洗練されていない」という前作の魅力を、さらに上手に魅せている印象を受けます。

落ち着いた響きと不穏なざらつきを兼ね備えたギター、
楽曲全体に独特の奥行きやゆったりとしたウェーブ感を与えるシンセ・グロッケンシュビーゲル等、
生の空気感を存分に帯びたベースライン、
重たさと粗さを抱えたドラムス、
ポストロック・ポストハードコア的でごりっとした音塊が蠢くようにして結びついています。
ぶっきらぼうで暗鬱なサウンドが軸になっていますが、仄かに紳士的な優美さも漂っているのが印象的です。


激しくなった分、シンセ等の中毒的なポップさが持つインパクトが際立っているのかもしれません。

何にせよ、ただの懐古的なサウンドというわけではない、複雑な味わいを秘めたアルバムと言えるでしょう。

主要参考サイト:Parlourのアルバムについて

https://parlour.bandcamp.com/

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