過去との決別と旅立ち Johann Johannsson / Orphee



こんにちは。

ポスト・クラシカルという音楽をご存知でしょうか。

非常に漠としているジャンルなのですが、強引に一言でまとめるなら、
「エレクトロニカやポストロックなどが持つ『繊細な音の響きへのフェティズム』な感覚に基づいて、クラシック的な楽器を用いて演奏された音楽」というところでしょうか。

要するにクラシカルな感性でクラシカルな曲を奏でるのではなく、インディーズ音楽的な感性でクラシカルな曲を奏でているというわけです。
ジャンル全体として、メランコリックで静謐な雰囲気の曲が主になっています。

そんなポスト・クラシカルのオリジネイターの一人
Johann Johannssonの遺作となったアルバムがOrpheeです。

物憂げな曲調、音色の瑞々しさ、時折顔を見せる荘厳さなど
Johann Johannsson の魅力がたっぷり詰め込まれています。


そして、 他のアルバムにはないOrpheeの特徴は重厚さです。
迫力と言い換えてもいいかもしれません。

無視できないような存在感は、ポスト・クラシカルというジャンル全体で見ても非常に稀有と言えます。

何故Orpheeは重厚なのか?Johann Johannssonの意図は?


Johann Johannssonは今までは4AD,FATCATなどのインディーレーベルでアルバムをリリースしていました。
しかし、今作は初めてクラシックな老舗レーベルからリリースしています。当然、そこには制作環境的な要因もあるでしょう。

ただ、要因を一番端的に表しているのは、公式サイトで本人が述べている「私にとって、 Orpheeは変化についてのアルバムなのです」という言葉でしょう。

アルバム制作時に、
Johann Johannssonはコペンハーゲンからベルリンに移住したそうです。

国を超えるような移住です。否応なく直面するであろう古い人間関係の死と新しい人間関係の誕生という自身を取り巻く環境の変化が投影されています。


自身を取り巻く環境の変化を表現するためにオルフェウスという選ばれたのでしょう。
死んだ妻を冥界まで追いかけ連れ戻そうとしたものの、禁忌を破り後ろを振り返ったため結局生き返らせることが出来なかった。というオルフェウスの逸話。

まさに古い人間関係の終わりを象徴しています。

極めて個人的な感情が神話的な壮大さと残酷さによって蒸留され、繊細にして薫り高い音楽が生み出されているのです。

【終わりに】Orpheeとオルフェウス Johann Johannssonの生と死

Orpheeのリリース後、 Johann Johannssonは薬物の過剰摂取によって亡くなってしまいます。
奇しくも冥界から戻ったオルフェウスが神の怒りを買い、亡くなってしまったかのように。

旅立ちの果てにたどり着いた世界で、彼は何を掴んだんでしょうか。




それでは、また。

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