美味しそうなカバーアートを鑑賞する記事

前書き:美味しそうなカバーアートは私を惹きつける

カバーアートは、良い。

良いと言っても、色々な「良い」がある。
お洒落だったり、
かっこよかったり、
エロかったり。

つまり、色々ある。

私個人の趣味嗜好に関して言えば、美味しそうなヤツが一番好きだ。

何故か?
理由はいくつかある。

まず、レアリティが高い。
汎用性がそんなに高くないのか、意外と数が少ない。
オタク心をくすぐる。

それから実用性がある。
ダイエット中、Youtubeなどの視聴のみならず、美味しそうなカバーアートを眺めながら気を紛らわせた。
結果、10キロ落とした。

そして、最後に。
美味しそうである。
美味しそうなモノは良い。何故なら美味しそうだからだ。

メビウスの環の如き理屈であるが、美味しそうなモノはそれだけで良い。

食べ物は素晴らしい。生きがいである。

ウダウダと書いたが、本題に入る。
本記事では特にお気に入りの美味しそうな記事を選んでみた。


※基準は、私が「旨そうだな」と思ったヤツである。
良いものを見つけたら追加するかもしれない。

本編:美味しそうなカバーアート特集

1.朝食(?)編

From Monday to Sunday / Nick Heyward(1993)

カバーアートはイギリスの伝統的な朝食らしい。
お上品だけど牧歌的で、美味しそう。


うだつの上がらぬ独り暮らしの身としては、朝からフォークとナイフを使ってるところに憧れる。

サウンドの話を。
いわゆるブリティッシュロック/ポップ的なキラキラっとした知性と等身大の飾らなさを感じる。
ポップに輝くメロディは、確かに素晴らしい一日の始まりを予期させるかも。


時代的なことも関係あるのか、ブリットポップに似た雰囲気を感じる。
それ以前のニューウェーブ的なニュアンスも感じる。

でも、そんなことはどうでもいいだろう。
朝の新鮮な空気にも似た爽快感は、とても良い。

Beer for Breakfast / JB and the Moonshine Band(2012)

朝食のためのビール。
朝からビールを飲めるとは、おめでたい日に違いない。
それとも最悪の日か。

何にせよ、ソーセージ/トースト/フライドエッグにビールという組み合わせには心をくすぐられる。

念のため補足しておくと、本作を作ったJBはJames BrownでもなければJames Blakeでもない。2009年に結成されたカントリー風ロックバンドのリーダーJB Pattersonのことである。

アメリカンなポップ、
アメリカンなカントリー、
朝からのビール。

それが最高な始まりでも最悪な始まりでも、きっと良い一日になると思う。

Stone Soul / Mongo Santamaria(1969)

キューバ出身のコンガ奏者による、いわゆるラテンジャズ。
とにかく情熱的なジャズが繰り広げられている。


軽やかで優雅、ブルージィでブライト、それでいながら汗を振りまくような艶やかさも感じさせる。

これは朝食かはハッキリ分からないのだが、献立がNick HeywardやJB and the Moonshine Bandにも共通する部分がある。おそらくは朝食だろう。

個々の食材はシンプルだが、組み合わさると結構美味しそう。
ハムを食べた後、豆を喰ってみたい。それからぐびっとジュースを。


意外に健康的。

French Cookin’ / Serge Delaite Trio(2006)

フランス出身の面々によるトリオジャズ。

爽やかでラウンジーなジャズ。澤野公房全般に言えることだが、玄人筋からは「もはやジャズではない」と言われそうな軽やかさが魅力でもありその裏返しの欠点ともなる。

本作はもう爽やかな朝にひったりな、それでいて欧州的な気品も漂う作品だ。

カバーアートはジャム。
サウンド的な面から推測するに、朝食に使うジャムだろう。


どんな味なんだろう。

2.昼食(?)編

B.L.T. / Robin Trower, Jack Bruce & Bill Lordan(1981)

ジミヘン・フォロワーの一人として世に出たRobin Trowerが元CreamのJack Bruce、元Sly & The Family StoneのBill Lordanと共に世へ送り出したアルバム。

80年代に片足を突っ込んでいることもあって時代の空気を感じるが、根っこにあるのは昔気質のブルースロックだ。
骨太で、不器用で、テクニカルで。
歪んだギターからセブンスコードが響き渡る、剥き身の迫力が心地よい。

さて、肝心のジャケットアート。
これはハンバーガーのように見えるがB.L.T.という名称から察するにサンドイッチなのだろう。
ベーコンとレタスのボリューム感が半端じゃない。絶対にこぼれるだろ。


お上品じゃなくなるくらい、目いっぱいに頬張ってみたい。

あと、これは余談なのだけど。
このカバーアート、Jinmenusagiのself ghostもサンプリングネタなんだろうか。

3.ティータイム(?)編

Tea Time Favourites / Betty and the Werewolves(2010)

この記事で一番好きなアーティスト。

これぞロンドン出身!これぞガールズインディーポップ!といった趣の、とっても素敵なバンド。

蒼くて甘酸っぱいメロディとガチャガチャとした疾走感、キュートでパンキッシュ、夢見がちで残酷。そして、とってもガレージ的。
ヨーロッパと青春の空気をたっぷり含んだ、洒脱な文学性がたまらない。

そして、そんな空気感をたっぷり含んでいるのが、お洒落なスイーツを乱雑に散らかしているカバーアートが。
眩暈がするような鮮やかさと、若々しい粗野さ。


ガレージパンク的お茶会の金字塔。

4.夕食(?)編

ここで取り上げるカバーアートが夕食ということになるかはよく分からないのだが、

  1. サラダ
  2. 主菜
  3. デザート

へと向かっていく。

Sofrito / Mongo Santamaria(1976)

再度の登場となるMongo Santamaria。

ラテンジャズの身体的な熱量とメインストリームのジャズが持つ探究心的な熱量と正面衝突し、艶やかかつ洒脱なエネルギーを放射し続けている。

時にハイカルチャーに、時にプリミティブに、そのパワーは姿を変えていく。

さて、ここで一つ大きな問題が浮上する。
どうして、カバーアートがサラダなのだろうか。


というか、フライパンにかけられているようにも見えるが、果たしてこれはサラダではないのか?
若干炒めているのであろうか。というか、これから野菜炒めへと変貌を遂げていくのであろうか。


文化資本が乏しいので分からぬ。
お詳しい方がいらっしゃいましたら、何卒ご教授いただけますと……。

Down Home Style / Brother Jack McDuff(1969)

オルガン奏者ジャズBrother Jack Mcduffが世に送り出した数多のソウルジャズ作品の一つ。

ジャジーな即興性とソウルフルな懐の太さを併せ持つ、自由奔放なグルーヴを放射し続けている。


それから、この手のジャンル共通の個性ではあるけど、キャッチーさとディープさを兼ね備えているのは魅力的。
いわゆる才色兼備というやつだ。
Brother Jack McDuffは才色兼備軍団の一角を担っているというわけだ。

カバーアートは、個人的には一番美味しそうだと思ってるやつ。
上手そうな肉(スペアリブ?)、バターが乗ったコーン、味が濃そうなコーヒー。
全く持って非の打ち所がない。

あんまり身体には良くなさそうだが、旨いものはだいたいそうやね。

Out of the Flying Pan / Wynder K.Frog(1968)

UK出身のオルガンの名手、Mick Weaverが指揮を執った作品。

こちらもインストゥルメンタルのアルバムだが、冒頭をTHe Rolling Stonesのカバーが飾っていることからも明らかなようにややロックに比重が置かれている。
ただ、縦横無尽に暴れまわるオルガンや作品全体を覆うモッズな雰囲気も相まって、ソウル/R&Bのニュアンスも強い。


そして、何よりも良い意味でのB級感がたまらない。
個人的には最強のB級グルーヴほど、性に合うものはない。

そして、肝心なカバーアートも素晴らしい。
これはどこから手を付けても美味しいだろう。
ソーセージも、フライドエッグも、トマトも、ピーマンも。
全部味が濃そう、ていうか全部アツアツそう。もう超最高。


出来れば場末のレストランでコカ・コーラと一緒に流し込みたい。

Sweet Buns & Barbeque / Houston Person(1972)

https://img.discogs.com/-Ppd_qjN-6RZyyhAY4UgtwIjbEg=/fit-in/300×300/filters:strip_icc():format(jpeg):mode_rgb():quality(40)/discogs-images/R-1480490-1454848918-6951.jpeg.jpg

こちらも主にソウルジャズとして名を馳せたHouston Personの作品。

ただ、本作に関して言えば色気があって楽しげな雰囲気が強い。
ソウルジャズ的なグルーヴとサックスの太く艶やかな音色の組み合わせが良くマッチしている。



さて、カバーアートである。
これに文句をつける人間とは、同じ食卓に付くことはできぬ。
ケチャップまみれの山盛りのハンバーガー。これに勝るモノが他にあるだろうか。いや、ない。


いつの日にか、これでフードファイトを出来るほどの胃袋を手にしたい。
来世に期待しよう。

Dinner / Gucci Mane(2015)

タイトルがディナーである。
そのサウンドは2010年代のメインストリーム・ヒップホップ。
ゴージャズでトラップでバイオレンス。本格派。

さて、肝心のカバーアートは、大変良い肉を+っぽいステーキ。
我々がイメージするアメリカンで巨大な肉塊ステーキ! ではなく上流階級の匂いがムンムンする。


実は本作シリーズもの、BreakfastとLunchがハンバーガーメインのアメリカンなアートスタイルだった。
しかし、ディナーで急に方向転換をしている。

確かに、お高いディナーには憧れるわ。

Berry is on Top / Chuck Berry(1959)

ロックンロールの生ける伝説、Chuck Berryのアルバムの一つ。
Chuck Berry Is on Topは3作目のアルバムだ。

正直、この頃のロックについてはあまり聞いたことがないのだが、こと本作に関して言えばプリミティブなロックンロール・エネルギーと程よくレイドバックしたアメリカンな空気が充満している。個人的には好き。

さて、カバーアート。パフェである。
1950年代のアメリカン・パフェ。
どんな味がするのだろうか。考えただけでもワクワクする。


こういうワクワク感は、時代と地域が離れたカバーアートからしか感じられない。
異文化への、あるいは見知らぬものへのロマンがそこにはある。

Shades of Green / Grant Green(1972)

様々なスタイルのジャズで活躍したギタリストGrant Greenのソウルジャズ期の作品。

ブルージィでスムース、クールでホット。
じっくり煮込んでいるかのような熱量や多様な展開からは経験の豊富さを感じる。
ジャズ的ではあるが、それ以上にもっと幅広い音楽的多様性を帯びている。
何と言うか、演者の熱量がかなり高めな劇を見ているような気分になる。


カバーアートは飲み物だ。
甘いカクテルではないかと想定し、ここに配置してみた。
しかし、緑色で半透明のカクテルってあんまり思いつかないな。
たぶん、ミントか薬草系のリキュールを使うと思うんだけど。


己の文化資本の少なさを恥じる限り。

4.おまけ:没作品

ここでは、没にした作品の一部を紹介する。その理由も一言だけ。

The Spaghetti Incident? / Guns N’ Roses(1993)



ここまでアップにされると食欲が失せる。

Hot Cakes / The Darkness(2012)



パンケーキに寝そべってはいけない。

Instant Coffey / Dennis Coffey(1973)



インスタント・コーヒーは好きじゃない。

10 / Tricot(2020)



もう残っていない。

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