New Zion Trioのアルバムについて。レゲエ/ダブとジャズの甘美なブレンド

こんにちは。

New Zion Trioはニューヨークのアンダーグラウンド・ジャズシーンで活躍するグループです。

https://lh3.googleusercontent.com/proxy/bIIDExUzhAaXoPQJQEJM8uvWyB-Pgt7vCYAen_BPozIRDk6nf1cctw8MZ0VQMcTnO7MZxfx4YX_N25koXIbpTFoj2-F4u4Ox9FRXn311t1muQZmSfU8

レゲエ/ダブの有機的なグルーヴとピアノトリオ・ジャズ的な優美な質感を融合させた、オリジナリティの高い音楽を世に送り出しています。

2021年6月現在、New Zion Trioは3枚のアルバムをリリースしています。
本記事ではその全てを見ていきます。

New Zion Trioのアルバム一覧

これからリリース順にNew Zion Trioのアルバムを見ていきますが、文字だけでは分かりにくいと思って相関図を作成してみました。


では、本題に入りましょう。

(1st)Fight Against Babylon

優雅で、繊細で、寂しげで。
ジャジーな気品と深い叙情性を湛えたサウンドがゆったりと広がっていきます。


ダブ・レゲエの人間味があるグルーヴを優美に再構築し、そのうえでピアノとアコースティックベースの繊細な調べが揺らめいています。

ダブ・レゲエがここまでしっとりとした雰囲気になるのか、という驚きがありました。
そして、その内省的な叙情性を帯びたダブ・レゲエ的ドラムスとピアノの深く叙情的な響きが艶やかに溶け合っています。

別に深くリバーブを効かせているわけでもないのに「深さ」があり、そこからにじみ出る気品は本作の重要な魅力でしょう。

また、個人的にはローズピアノを使った楽曲が非常に魅力的です。

この果てしない優美さと万華鏡のような陶酔感は、なかなかお目にかかれないものだと思います。

艶やかで、透明感があって。
ただ、しっかりとした強い芯があって。
(アルバムのタイトルや曲名からも毅然としたスタンスが込められている、と理解して良さそうです)

凛然とした、美しい響きを楽しめるアルバムだと思います。

個人的には、New Zion Trioを初めて聴くならまず本作をおすすめしたいです。

(2nd)Chaliwa

優美な美しさに重点を置いていた前作に対し、ややレゲエ(ルーツレゲエ、それからダンスホールも?)の肉感的なグルーヴ感も強調するようになったのが本作の特徴です。

内省的なピアノジャズ・トリオがレゲエを演奏している、というのが適切な表現なのかもしれません。

全体的にややレゲエに寄っており、上品でジャジーな雰囲気がその飾りつけに回っている局面の方が多いようです。
もちろんピアノジャズ的な上品さが前に出ている局面も多くあります。
そして、波が行き交うように自然にその両極を行き来をしています。


前作の特徴だった気品のある「深さ」が後退し、ダビーでアブストラクトな「深さ」も新たに楽曲を覆っています。
「深さ」の色彩が多様化している、といったところでしょうか。


有機的・肉感的でエレガンスなピアノ、
優雅にうねるダビーなベースやドラムス、
リズムセクションが繰り返す同じフレーズが遅行性の熱量となっている間、ピアノは優雅奔放に動き回っています。

その一見ミスマッチにも思える両者の絶えないぶつかり合いが、本作の静かながらも強い熱さにつながっているように思います。


タイトル・曲名・ジャケットアートにラスタファリアン・旧約聖書に関する文言が見られるあたり、New Zion(そもそもZionですし) Trioの活動に根底には強い思想が込められているのでしょう。

そういった意味では、1stよりも毅然としたスタンスが強まっているアルバムなのかもしれません。



※ラスタファリアンに詳しい方がいらっしゃいましたらご教授くださいますと嬉しいです。

(3rd)Sunshine Seas

サンパウロ出身の打楽器奏者シロ・バチスタとの共作になっています。

全体的にレゲエに接近すると同時にがらっと洗練された、というのが率直な印象です。

深くディレイ・リバーブをかけた文字通りのダブが登場したり、
シンセ・ギター・シロによる打楽器が織り込まれたり、
ボサノバ的な洒脱さが顔を出したり(突然奇声を発したりもしますが)、
モノローグが入ったり。
とにかく垢抜けた雰囲気をまとっています。

手数が多くなって、サウンドスケープもさらに芳醇になっているという感じでしょうか。

スレンダーで、上品で、お洒落で。
そして、ジャンルとかカテゴリーという言葉が意味をなさないほど様々な要素が溶け合っており、美しくも形容しがたいサウンドに仕上がっています。

ボーカル入りのトラックなどは爽快感を帯びており、アンダーグラウンドな感じさえしません。
その一方で実験的・先鋭的なセッションを延々と繰り広げたりと、もう百面相とも言うべき多様性を備えています。

本作においてはジャンルなど意味はなく、メジャーやインディーさえ意味もなく、特定のジャンルにしばしば付されがちな神聖視さえ受け付けず、シンプルな「良い音楽」がだけがあります。

聴いていて、ただただ楽しいです。

主要参考サイト:New Zion Trioのアルバムについて

http://www.inpartmaint.com/site/20486/

https://newziontrio.bandcamp.com/album/sunshine-seas-dub

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です