こんにちは。
Moskitooは札幌出身のサウンド+グラフィックデザイナー/ヴォーカリストです。

その音楽は電子音響、アンビエント、エレクトロニカといったカテゴライズをされているようです。
ギター・電子音・ウィスパーボイス等を薄いレイヤーのようにそっと積み重ね、
- 静謐な環境音のような微細でありながら
- ほのかに情景的・感傷的な儚さを併せ持つ
ポップでナイーブな音響を生み出しています。
NYの12kからアルバムをリリースしているためか、国内よりも海外で評価を得ているようです。
2021年4月現在、Moskitoo名義での単独作は2枚リリースされています。
本記事ではその両作品を見ていきます。
Moskitooのアルバムについて
これからリリース順にアルバムを見ていきますが、文字だけでは分かりにくいと思って相関図を作成してみました。

では、本題に入りましょう。
(1st)Drape
静寂に溶け込むようなウィスパーサウンドが、優しく揺らめいているアルバムです。
ピアノ・ギター・電子音・環境音等を用いて、必要最低限の音数で温もりに満ちたシンプルなサウンドを形成しています。音のきめは細やかで、微睡むようなビートが心地よく揺らいでいるのも大きな魅力でしょう。
全体的にどことなくアンニュイ・感傷的であり、くすんだ透明感を漂わせています。
実験的な雰囲気も漂っていますが根っこの部分は素朴でエモーショナル、細密なサウンドスケープには日本の情緒を感じさせるポップさとナイーブな心象が宿っています。
また、心のままに音の響きを混ぜ合わせているような無垢な探求心があるのも特徴と言えるでしょう。
微睡むような初期衝動、とも言い換えることができるかもしれません。
実験精神に満ちながらも、等身大で飾り気のない感性が現れている作品だと思います。
(2nd)Mitosis
優しく揺らめくような雰囲気はそのままに、前作よりも洗練された雰囲気が漂っています。
触れたら壊れてしまいそうな儚さを漂わせながら、メランコリックでメロディアスな旋律が静謐の中へとそっと溶けていくのが魅力と言えるでしょう。
繊細な音色のアコースティックギター、
ソフトに揺れ動くグリッチ・電子音、
揺蕩うような淡いビート、
溶けるように広がっていく女性ボーカルの歌声、
細やかな音像が溶け合いながら凛と響いては、泡沫のように消えていきます。
実験精神から放たれるアーティスティックな一面も魅力的で、「普通」では捉え切れないありのままの感受性の美しさに身を委ねることができます。
そして、その上にメロディアスなウィスパーボイスが乗るときには、アンビバレントで人間味のある心象風景を構成しています。
様々な要素を絶妙のバランス感覚で詰め込んだ、様々な匂い・香りが息づく静寂を描いている音楽と言えるでしょう。
Moskitooについて:主要参考サイト
http://www.inpartmaint.com/publishing/moskitoo/
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