こんにちは。
Manualはデンマーク出身のJonas Munkによるソロ・プロジェクトです。
ディレイをかけたギターやシンセ、ダウンビートなビートが生み出すドリーミーな雰囲気が特徴です。
また、北欧生まれのせいか南国リゾートへの空想的な憧憬が楽曲に投影されており、独特のシネマティックなエレクトロニカを創り上げています。
何にせよ、2000年代エレクトロニカの代表格と言えるでしょう。

Drowned In Lightは2010年にリリースされたアルバムです。
きらびやかでゆったりとしたシューゲイズ感とおだやかなさざ波のようなエレクトロニカ感が溶け合うように混ざり合っている、味わい深い名作です。
Drowned In Lightの魅力 砂浜のシューゲイズ/波間のエレクトロニカ
本作には、Manualの他作品と比べて際立っている点が2つあります。
1点目は陽光のように大らかな開放感で、2点目は引いては押し寄せる波のようなリラックスしたムードです。
陶酔的で耳触りの良いビート。
緩やかにうねるディレイがかったエレキギター。
降り注ぐようにそっと鳴らされるシンセ達。
アコースティックギターによるフォーキーなムード。
誰もいない砂浜に降り注ぐ陽光のような、優しげなシューゲイズサウンド。
本作はuntil tomorrowのようなフェアリーテイル・エレクトロニカでもなく、azure vistaのような陶酔シューゲイズサウンドでもなく、confluenceのような白昼夢アンビエントでもありません。
時に美しく。時に高揚感を。時に陶酔感を。時に静けさを。
絶妙に振るわれたタクトが生み出す夢幻のハーモニー。
老成したバランス感覚が描き出す変幻自在の光の揺蕩が、本作の魅力の根幹を成しています。
もっともManual特有の空想的なリゾート感は健在です。
架空のリゾートで心地良い日差しを浴びながら波の音に耳を傾けているような気持ちにさせてくれます。
ただし、肩に力の入った過度な逃避感や悲壮感はありません。
自然に、慣れた足取りで、世界中のどこにも存在しない白い砂浜へと連れて行ってくれる。
本作はそんなアルバムです。
というわけで、それでは。
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