Liteというバンドについて。 理性的でアグレッシブな先鋭的マスロック

こんにちは。

Liteは2003年に結成された日本の4人組インストゥルメンタル・ロックバンドです。

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その音楽性はポストロックやマスロック(複雑で鋭角的なリズムを特徴としたギターロック)にカテゴライズされることが多く、日本における同カテゴリーを牽引しているバンドでもあります。
また、激しさの中にも常に聡明さがあるのも、全アルバムを通したLiteの特徴と言えます。

今回は彼等がリリースしている全アルバムを語ります。

名盤しかないLiteのアルバムについて バンドのダイナミズムと聡明さ

Liteのアルバムはリリース時期ごとにサウンドに特徴があり、主に下記の3つに分けることができます。

  • 激情マスロック期(1st~2nd)
  • 聡明マスロック期(3rd~4th)
  • 自然体インストロック期(5th~6th)

また、バンドがリリースした各アルバムの相関図は下記のとおりです。

では、リリース順にバンドの全アルバムを見ていきましょう。

激情マスロック期

(1st)filmlets

2006年にリリースされた1stアルバムです。

Liteの原点と呼ぶにふさわしい、まだ形を得ていない高熱のエネルギーが煮えたぎっているようなロックバンドらしいアルバムです。

不穏な攻撃感を漂わせたマスロック的なリフを刻むツインギターも、
激しく蠢くようなベースラインも、
アグレッシブでスリリングなドラムスも、
その全てがぶつかり合って火花を散らすような緊張感を放っています。

熱量全開の時もじわじわと弱火で盛り上げるときもそれは変わりません。
常に理知的でもあり、タイトな鋭さを常に孕んでいるのが魅力的です。
そしていかなる時も胸を打つ叙情性が微かに漂っているのも、日本のバンド特有の特徴かもしれません。

衝動的で、情熱的で、ロマンティック。
そんな何でもアリ!なごった煮マスロックと言えるアルバムでしょう。

(2nd)Phantasia

2008年リリースの2ndアルバムです。

Liteというバンドの名を一躍知らしめたのがPhantasiaと言って良いでしょう。

前作filmletsを踏襲しつつも完成度を強烈に高めているのが鮮烈な印象を放ちます。

熱量全開で絡み合うツインギター、
煮え立つマグマのように低音部でうねるベース、
前作以上にスリリングでテクニカルなドラムス、
緻密に構築された緊張感とそれを内側から燃やし尽くすような激情。

魅力的なマスロック的要素はそのままに、前作を凌ぐ計算されたロジカルさを強く感じます。
グルーヴや叙情性はいかなる時も極めてタイトさを伴い、紡がれる旋律には一切の無駄がありません。
最短距離で最大の成果を出しているかのようです。


クールに、冷静に。
曲が熱く燃え上がる時も落ち着いて、完成された世界を構築しています。

熱い情熱と、一部の隙も無い完成度。
その2つを兼ね備えた傑作です。

聡明マスロック期

(3rd)For All the Innocence

For All the Innocenceはエレクトリックミュージックの要素を取り入れたアルバムです。
その結果、Liteの聡明な側面が今までよりも効果的に現れています。


ジョン・マッケンタイアをプロデューサーとして迎えたEP『Illuminate』から派生した作品であるせいか、今まで通りの攻撃的でマスロックが基礎にあるものの、 Tortoiseをはじめとする音響派ポストロックバンドに似たアプローチを感じます。

ざっくり言ってしまうと、
一つ一つの音の響きを深く聴かせるような感じ、
になるかと思います。

ただ、何も音響派っぽいというわけではなく、時にサイケだったり時にトロピカルだったりと、様々に姿かたちを変えているのも印象に残ります。
様々な色彩の緻密なサウンドが描き出すのは、切れ味鋭くサイケでポップな世界で、息つく暇もなく、色を変え、形を変え、刺激的な爆発が繰り出されます。


つまり、filmletsやPhantasiaのような燃え上がる様な熱量だけではなく、シンセサイザーの導入によって劇的に多彩になった表現手法を武器にしているのです。
テクニカルに、ロジカルに。甘く切ない旋律も、切り裂く様な鋭さも。

人間的というよりも、もっと高度で抽象的な音楽性を感じさせられます。
Liteの天才肌的な側面が良く現れているアルバムです。

(4th)Installation

前作For All the Innnocenceの知性的な雰囲気とシンセなどの多彩なサウンドはそのままに、肉体的なグルーヴへ回帰したアルバムです。

じゃあ、filmletsやPhantasiaのようなバッキバキの高カロリーマスロックに戻ったかというとそんなことはなく、叙情的で人間の感情が感じられるようなバンドサウンドになっています。

もちろん派手に行くときはあります。
トロピカルでサイケな匂いがする複雑怪奇なギターリフも、凄まじくテクニカルなリズムセクションが圧巻のグルーヴを見せてくれます。

ただ、全体的にはややテンポと躍動感を落とし、人間の体温が感じられるようなメロウさが前面に出ています。
スロウさの中に熱量を感じるグルーヴ、
アコースティックギター、シンセ、エレクトリックギター等を交えたサウンドレイヤー。
それらが混ざり合って醸し出す、センチメンタルな雰囲気も素敵です。

For All the Innocenceほどの奇想天外さはありませんが、体に馴染むような心地よいグルーヴとメロディに満ちています。

自然体インストロック期

(5th)Cubic

Lite初のボーカルトラックに目を奪われがちですが、非常にポップになっていることが要注目ポイントです。

バンドサウンドが基礎になっていますがfilmletsやPhantasiaと違い、熱量高めで切れ味鋭めな感じはしません。
For All the InnocenceやInstallationのように高い知性を存分に生かした切れ味鋭いバッキバッキさもありません。

代わりにあるのは、かっこいいフレーズ/胸を打つフレーズをシンプルに繰り出し、真正面から聴き手の心に飛び込むような威風堂々とした佇まいです。
全体的に音数が少なく、個々のメンバーが奏でる音色のかっこよさをストレートに魅せています。

マスロック、ポストロック、というカテゴライズは本作Cubicには不要かもしれません。
Liteというかっこいいロックバンドがいて、その曲のほとんどがたまたまインストだった。

そんな印象を受けます。

CubicはLiteらしい自然体のかっこよさに満ちているアルバムです。

(6th)Multiple

Multipleは前作Cubicの延長線上にある人間味を感じさせるアルバムです。

シンプルで、虚飾なく、かっこいいフレーズを少ない音数で際立たせています。
ただ、前作と違うのはややエッジが効いているという点でしょうか。

あくまでも『やや』ですが、攻撃性が高まっていて刺々しいかっこよさを燻らせています。
シカゴ音響派の不穏な部分にも似た聴き手を引きずりこむ様な展開もあれば、聞きなれないアフリカンなリズムもあり。
カッティングを魅せたり、力強く炸裂するような曲もあります。
バンド編成の可能性を追求したようなアルバムと言えます。

サウンドレイヤー的に様々なカラーの音色を折り重ねていくスタイルの楽曲が多いのが特徴でしょう。

本作においてLiteは肩肘張らずにエッジの効いたインディーロックサウンドを紡いでいます。

まとめ Liteというバンドの魅力とは ~おすすめしたい理由はその聡明さ~

ポストロック/マスロックとカテゴライズされるだけのことはあり、Liteには上記ジャンルのバンドと似ている側面もあります。

ただし、Liteのアルバムから匂い立つ透明感のある聡明さはなかなか替えの効かない魅力だと思います。

エッジの効いた鋭いロックサウンドの奥に漂う知性、とても魅力的です。

それでは。

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