Last Days / Sea 逃避の旅を描き出すアンビエント・エレクトロニカ 



こんにちは。

Last DaysはUK出身Graham Richardsonによるソロプロジェクトです。

エレクトロニカの名門n5MDに長く所属しており、同レーベルにおけるアンビエント寄りアーティストの代表格と言えるでしょう。

そして、本作Seaは2006年リリースにリリースされた彼のデビュー作になります。

Last daysのデビュ―作 Seaの魅力

Seaの物語

Last Daysの特徴はアンビエントでありながら強いストーリ―性があるということです。

それは本作Seaにおいても顕著な特徴であり、「現代的な生活とそれについて回る全ての責任からの逃避」という物語に基づいてアルバムが制作されています。

アルバムタイトルのSeaはもちろんのこと、そのストーリー性は曲名にも現れています。

  • Leaving home(オープニング曲)
  • The Safest Place
  • Arriving At Jan Mayen
  • Mountains
  • Nightlight

等々、旅を意識させる曲名が並びます。

さらには…

  • Snowing
  • The Norwegian Sea
  • Dying Minutes
  • Fear
  • All The Lighthouses

なども印象的です。

たった一人で極寒の地域を目指して無謀な冒険を行い、死の淵をさ迷った挙句、辛うじて救出されたような物語の流れを感じます。

Seaを構成する音

そして、物語の語り手となるのは、ビート皆無のアンビエント寄りエレクトロニカです。

ドローンなシンセと囁きのようなグリッチが織り成す柔らかなレイヤー。
その上で叙情的な旋律を奏でるアコースティックギターとピアノ。
叙情的に、揺らめくように、静かに櫂を漕ぐように物語は進みます。

全体的にメランコリックですが聴き手の感情を揺さぶるような壮大さはありません。
楽曲全体に余計な虚飾がなくシンプルで、『独りぼっちの逃避の旅』という軸がずれることもありません。
そこにあるのは美しくも厳しい大自然の中を孤独に旅しているような、美しくも荒涼とした世界です。

Seaとはどんなアルバムなのか。

n5MDの公式サイトに素晴らしい文章があったので引用したいと思います。

Seaは美しく、感動的に嘘偽りがなく、貴方が失った感情を思い出させてくれるアルバムだ。さらにはその感情から目を背ける手段でさえある。ほんの一瞬だけど。

https://n5md.com/discography/141/Last-Days-Sea

誰だって現実から逃避をしたいと思ったことはあるでしょう。
程度の差こそあれ、実際にした人も少なくはないはずです。

本作は、そんな逃避が孕む甘美さと自傷性、そしてその奥に広がる美しさを描いたアルバムと言えるでしょう。




それでは。

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