こんにちは。
1990年代に世界中を席巻したグランジ・ムーブメント。
その中心地シアトルで、Nirvana達と共に研鑽を積んだScreaming Treesというバンドがいました。
そのボーカリストがMark Laneganです。

ひょっとしたら本業のScreaming Treesよりも、QOTSAへの参加やIsobel Campbellとのコラボレーションとの方が有名かもしれません。
そんな彼が1994年にSub popからリリースしたソロアルバムがWhiskey For The Holy Ghostです。
Whiskey For The Holy Ghostの魅力
ジャケットアートはこのアルバムのサウンドを上手に現わしていると思います。
煙草とウイスキー。男臭いブルース。
このアルバムの魅力は一聴瞭然でしょう。
誰もが心奪われるMark Laneganの声質です。
酒焼けのようにかすれた、低く、渋く、人生の苦悩という風雪に長年晒され続けたような声。
青春の苦悩だけでは到底たどり着けないような、円熟の渋みです。
Tom waitsにも例えられているようです。
さらに背後を固めるアコースティックギターを軸にしたブルージーなサウンドも素晴らしいです。
しかも、その旋律には数多のグランジバンドを生み出した80年代後半から90年代前半のシアトルの空気感が強く出ているのです。
強烈に歪ませたディストーションや、けたたましく吠えるシンバルやありませんが。
オルタナティブ・ブルース、という言葉が一番的確にこのアルバムの雰囲気を表しているかもしれません。
Mark Laneganの詩情 Whiskey For a Holy Ghostに描かれる荒涼たる世界観
そして、紡がれる歌詞も退廃的な詩情に満ちています。
river riseでは荒涼たる川の増水と自らの堕落を対比させ。
Borrachoでは自らの罪を悔いる男の心情が、部屋の中を飛び回る悪魔と幽霊にウイスキーを捧げるという比喩を取り。
胸をかきむしるような孤独を歌うHouse a Home。
女に裏切られた男の悲しみを雨に喩えるKingdoms of Rain。
と、まあ次から次へと重苦しい曲が続きます。
孤独と無常がしゃがれた声に乗せて、ニヒルに吐き出されています。
まとめ アウトサイダーMark Laneganの魅力の蒸留酒 Whiskey For The Holy Ghost
本作はScreaming treesのメンバーと不仲になっている時期に作られたアルバムです。
ひょっとしたら、当時の心情が投影されていると考えても不自然ではないでしょう。
焼け付くような孤独を蒸留して出来上がったのが、幽霊とウイスキーを分かち合える男が奏でる荒涼たるブルースだったのかもしれません。
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