強制終了/蜃気楼

仕事を辞めた。

使い古したガラスのコップにある日突然亀裂が走るように、俺は崩れ落ちた。
有休消化期間が残っているので、2月末までは一応給料が出るけど。

何にせよ、職場を後にしてから1週間が経とうとしている。

辞めてやる。そんな妄想を何年もして、歯を食いしばって頑張ってきた。
何か別のことやって、別の道を切り開いてやるんだ。
潰れそうな心の奥底で、闘志を燃やしてきた。

ところが、だ。

実際に辞めると、俺は抜け殻になってしまった。
何にもする気が起きない。
心の奥から何の気力も沸き上がってこない。
一日YouTube見ても、何も頭に入らない。
履歴書に顔写真を貼るのに2時間かかったりする。

あれほど輝いていた未来の青写真も今は全く。全く。

決断するのが遅すぎたのかもしれない。
もう致命的に壊れてしまっているのかもしれない。

重い荷物を必死に抱えて困難な道を歩いてきた。
ところがどっこい、袋には穴が開いていて、いつの間にか大事なものは全部落としてきてしまったんだろう。
過去という、歩いてきた道に。

とりあえず年内はのんびり過ごそうと思う。
それで闘志が戻ってくるなら良し。
戻ってこなかったら、まあ、その時は。



ああ、そうだ。良いことが一つだけある。
なんか、音楽が前よりもクリアーに聞こえるような気がする。
あと、もう何年も聞きたくなかったようなジャンルの音楽も楽しめるようになった。

それはたぶん、苛烈な重荷から解放されたということだ。
小さいながらも前進と言えるかも。
まあ、食い扶持を稼ごうと思ったら、もう一度背負い直さないといけないけど。

今日は文章を書きたい気分なのに、それでも書きたくないことが多い。
激烈な苦悩というわけじゃないんだけど、夜の湖に少しずつ沈んでいくみたいな気分。


でも、時間(というか金)はあんまりないけど、全くないわけじゃない。


色んな事を諦めて、少しずつ俺は尖っていく。
でも、そうやって自分自身を尖らせないと社会に自分の居場所を穿つことが出来ない。

夕空を眺める時間が出来たのは嬉しい。
青みを残した空に、紅く染まる雲。空は本当に綺麗。



さて。そろそろ寝なきゃ。眠れないけど、とりあえずベッドで横にならないと。

どっちかというと、夢は見たくない。
消えちゃうからね。

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