Kira Kiraのアルバムについて。自由奔放に飛び回る、妖精のような音響たち。

こんにちは。

Kira Kiraはアイスランド出身のKristin Bjork Kristjansdottirによるソロ・プロジェクトです。

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カテゴリーとしてはエレクトロニカ・アンビエント・フォークの要素を取り入れた抽象的/実験的音楽という感じになるのでしょうか。
アイスランド出身のミュージシャンらしい妖精的な雰囲気が、とても印象的です。

2021年現在、Kira KIra名義単独のフルアルバムは5作品リリースされています。
本記事では、その全てを見ていきます。

Kira Kiraのアルバム一覧

これからリリース順にKira Kiraのアルバムを見ていきますが、文字だけでは分かりにくいと思って相関図を作成してみました。

では、本題に入りましょう。

(1st)Skotta

幻想的な雰囲気を湛えていますが、予定調和なところはありません。
瑞々しい感性の赴くままに、無垢な音響が無軌道に飛び交っているのが本作の魅力と言えるでしょう。


グリッチ・生楽器・ボーカル等が泡沫のように浮かび上がっては消えていきます。

時にダークに、時に優美に、時にアブストラクトに、時にメロディアスに、
生々しく、美しく、優しく、残酷に、
様々な要素が巡り巡って現れては、不思議でフォークロア的な心象風景を作りあげていきます。

通常ビート的に使われるサウンドも本作ではそういった規則性を帯びることなく、研ぎ澄まされた感性のまま絵具をキャンバスに叩きつけているような高い抽象性が印象的です。

既存のフォーマットに縛られずに自分だけの美意識だけを追求するような、音響の奥底に息をひそめて潜り込んでいくような、ひたすらに己に向かい合っているような孤高さが音の節々から漂っているように感じます。

張り詰めたナイーブさを秘めているのにも関わらず「儚い」とかか「弱い」といった雰囲気はなく毅然としたストイックさを感じるのは、Kira Kiraのパーソナリティに起因しているのかもしれません。

最も粗削りであり、最も自由奔放であり、音響への探求心が力強く表れているアルバムだと思います。

(2nd)Our Map To The Monster Olympics

前作よりも表現の懐が豊かになり、情緒的になっているようのが本作の特徴でしょう。
繊細で自由奔放な感情は変わらず胸に秘めていますが、優しく囁きかけるような穏やかさに満ちています。


柔らかなノイズ、軽やかな電子音、暖かなグロッケンシュピール、ハープ、アコースティックギター、管楽器の音色等が有機的に混ざり合い、妖精的でオーガニックなアンビエントサウンドを形成しています。

探求的かつ実験的な要素が強く出ていた前作に比べるとメロディアスな一面が強く、風通しの良い軽やかさを感じます。コロコロと転がるようなエレクトロニカビートもしばしば顔を出し、ノスタルジックでキュートな雰囲気を演出しています。

穏やかで、素朴で、フォークロア的で、そよ風のように心地よくて。
それでいて感受性の強さを感じさせる、先鋭的な響きも含んでいて。
Kira kiraらしい自由奔放な感性を生かしつつも、やや叙情的に仕立て上げたのが本作と言えるでしょう。

まさしくアイスランドの風景のような荒涼としつつも雄大で、それでいて繊細な自然風景を想起させるサウンドです。

個人的にはKira Kiraを最初に聴くなら本作が最も良いように思います。

(3rd)Feathermagnetik

ややメロディアスだった前作から再び抽象的なサウンドへと回帰しています。

ただし、感性の無垢な迸りのようだった1stとも違い、ややダウナーで調性の取れた落ち着きを感じさせます。
荒涼としたオーガニックさを湛えたアイスランド流アンビエントサウンドに管楽器がもたらすジャズ的なニュアンスが含まれており、神々しさのなかに煙たさが織り込まれています。


クールな雰囲気、と言い換えることも出来るかもしれません。
特に前半はビートが顔を出す機会は少なく、引き延ばされていくドローンサウンドを軸に構成されています。

後半になるにつれて実験的ながらも大人びていて、それでいて時折盛り上がるときには魂の熱さを感じさせてくれる展開を見せてくれるようになっています。メリハリが効いているとも言えるでしょう。

1stのような無垢さはありません。
しかし、代わりにいぶし銀のかっこよさを秘めた妖精性とでもいうべき、クールな仕草と熱いハートを感じさせるアイスランド・アブストラクト・サウンドスケープを構築しています。


煙たさとオーガニックさが違和感なく同居している、Kira Kiraのアルバムのなかでも高い個性を誇るサウンドと言えるでしょう。

(4th)Alchemy & Friends

前作とはやや趣を変え、フレンドリーでリラックスした雰囲気に仕上がっています。

Dustin O’HalloranやEskmoなどのKira Kiraの友人と作りあげたという本作は深い人間味を帯びたサウンドを特徴としており、感受性に身を委ねるような奔放さも残しつつも牧歌的でメロディアスな空気感を醸し出しています。

しっとりとしたピアノ、無垢なヴィブラフォン、荘厳な弦楽器、暖かな管楽器、細やかに泡立つ電子音、儚く澄んだ女性ボーカル。
妖精的でオーガニックなサウンドと親しみやすい人間らしさを兼ね備え、情緒を帯びたアンビエントを編んでいます。

優しく揺蕩うときもあれば、不安げに沈み込むこともあり、
あまり格好をつけているようなニュアンスはなく、
心の移ろいを鮮明に写し取っているような温もりと解像度の高さを感じさせてくるのが、本作の個性なのかもしれません。

フォークロア的な幻想性/物語性はもちろん匂い立っていますが、それを語る側である人間の気配が強く出ているように思います。
音楽の輪郭がはっきりしている、という感じでしょうか。

尖っているわけではありませんが、奥行きの深さを感じさせるアルバムと言えるでしょう。

(5th)Una

妖精的/フォークロア的というよりも瞑想的な雰囲気に変わっているのが大きな特徴でしょう。

内面世界的でスピリチュアルな質感を帯びたドローン/アンビエントサウンドが展開されています。

柔らかに揺らめくシンセや温もりに満ちた管楽器の音色がゆったりと伸びていき、その上に囁きを添えるような歌声がそっと溶けていきます。

優しい響きの中に淡い光が感じられるのも印象的です。
エコーが効果的に使用されており、微睡むような心地よさを生み出しています。

アルバムのトーンは一貫してドローンの安らぎを帯びており、引いては寄せる波のような穏やかさを終始感じさせます。

マイナスの感情が生み出すいびつな波形は存在せず、物腰柔らかな心象世界に浸ることが出来ます。
静かに美しく広がる波紋のような、あるいは心の平穏に触れるような、精神世界的アルバムと言えるでしょう。

Kira Kiraについて:主要参考サイト

https://kirakira.bandcamp.com/

https://www.kirakira.is/

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