青春文学の金字塔になってもおかしくない! 崔 実 / ジニのパズル

こんにちは。ツリーズ鮭舞です。

青春小説、皆さんも一度は読んだことはあるのではないでしょうか。

冒険、恋、出会い、別れ。

夏休みの課題図書だったり、誰かからのプレゼントだったり。

そんな青春文学の金字塔に成りうるポテンシャルを秘めているのが、ジニのパズルです。

主人公は不器用な在日コリアンの女の子ジニ。日本人の学校で馴染めずに朝鮮学校に転向したものの、その独自な文化になじめません。話す言葉も違います。さらに強烈な違和感を覚えたのが教室に飾られた金正日の肖像画。

たしかに、日本の学校に通っていた十二歳にはつらいでしょうね。

なにせ、彼女は普通の女の子です。ヘッドフォンで宇多田ヒカルやレディオヘッドを聞いているような文化系よりの、思春期の少女です。

しかし、彼女を悩ませるのは在日コリアンという自らに課せられたアイデンティティです。北朝鮮と日本の関係が悪化する中、自分に浴びせられる視線や風聞にちょっと自意識過剰気味に怯え上がり、だけどひるまず全力でぶつかり、挫折し、這い上がっては何度もぶつかっていきます。

それでも、世界は残酷に彼女を否定し続け、少しずつ彼女の心はがたがたになっていきます。

そして、そんな日常に時折現れては甘酸っぱい匂いを残していく、恋。

そんな彼女の精神に多大な影響を与える事件が起きます。時は1998年。北朝鮮はテポドンを発射し、彼女の心は徐々にキャパシティの限界を超えていきます。自分を取り囲む環境を打破すべく、彼女は『革命』を起こすのですが……。

たぶん、主人公が在日コリアンの女の子であることがこの小説の個性になるのでしょう。しかし、根底にあるのは大人になる過程で多くの人が感じる『社会』との折り合いです。それを瑞々しい感性と鬼気迫る切実さで描き出した本作は、『ライ麦畑で捕まえて』に匹敵する普遍性があると思います。

『革命』の果てに流れ着いた異国の地で、彼女が見出した人生の節理。

これほど美しく、悲しく、たくましい言葉はないと、今でも思います。

完璧な一冊です。

貴方がこの本を手に取ることによって、『ジニのパズル』が少しでも多くの人々に心に届くことを願っています。


ジニのパズル

それでは、また。


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