いわゆる現行ファンクと呼ばれるカテゴリーでも日本有数の人気を誇るThe Newmaster Sounds、その中心人物であるEddie Robertsのサイド・プロジェクトがEddie Roberts’ West Coast Soundsだ。

しかし、現行ファンクと言いつつブームになったのはもう20年前くらい前じゃないだろうか。
果たして、それは現行なのか?
何にせよ、だいたい同じ時期のムーブメントだったロックンロールリバイバルと似ていて、昔のサウンドを土台にしつつ現代の空気を多分に含んでいるようなサウンドだと思うのだが。
どうでもいいか。
Eddie Roberts’ West Coast Soundsの魅力
さて。
Eddie Roberts’ West Coast Soundsは名前の通りアメリカ西海岸のミュージシャン達と制作したアルバムだ。
Dirty Dozen Brass BandやStanton Moore Trio等のメンバーを従えている。
好きな人にとっては、かなり豪華な顔ぶれだ。
元々イギリス出身のEddie Robertsにとっては、本場の空気感を知っているミュージシャンたちということかもしれない。(とはいえ、長い間、Eddie Robertsはアメリカに住んでるみたいだけど)
さて。
本作のサウンドは、The Newmaster Soundsと同様、Tower of PowerやGraham Central Stationを思わせるベイエリアファンク的な軽やかなスピード感が根っこにある。
ただ、滑らかさが魅力的な本家The Newmaster soundsよりも粘っこく土っぽいグルーヴが印象的だ。
本家The Newmaster Soundsと同じく基本はインスト。
力強さとしなやかさを兼ね備えたドラムスとベース、
ハモンドオルガンやクラヴィネットのアーシーな響き、
鮮やかに飛び回るホーンの旋律、
そしてEddie Robertsによる縦横無尽に暴れまわるファンキーなギター。
The Newmaster Soundsよりも熱量が高め、スピードも速め、ダンディでグルーヴィ。
それが渋い、それに憧れる、それが胸を高鳴らせる。
オリジナル世代のファンクへのリスペクトを大いに滲ませているが、サンプリングしたら大変美味しそうなドラムブレイクが入ったり、ダビーな雰囲気を垣間見せたり、と全体的に(10年近く前の)現代の空気感を存分に吸っている。
ファンクはオリジナルな世代(というか本当の<オリジナル>はJBだけな気もするし、JBだって過去の自分をコピーし続けていたのは間違いないと思うので、オリジナル賛美論を組み立てるのが難しいジャンルではあるとは思う。
だいたいの音楽にはだいだいのオリジナリティがあるもので、その一方でだいたいの傾向パターンもある。
オリジナリティの有無を、自分に都合よく恣意的に判断してはいけないよ、というお話。
さて。
本作は良くも悪くも昔のファンクより洗練されていて、言ってしまえば育ちが良い。
育ちが良いけど、ちょっとワルぶっている感じとも受け取れる。
そのバランス感覚に貴方のフィーリングにハマるなら、本作は素晴らしい傑作になるだろう。
ハマらなかったら、ただそれだけのこと。
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