Isobel Campbell & Mark Laneganについて。逢瀬を重ねる、グラスゴーの美女とシアトルの野獣。

こんにちは。

Isobel Campbell & Mark Laneganは、グラスゴー出身のインディーポップBelle and Sebastianとシアトル出身のグランジScreaming Treesの元メンバーによる男女デュオです。

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両者のボーカルがこのユニットのオリジナリティでしょう。
森の眠り姫のような透明感を湛えたIsobel Campbellと酒焼けしたようにしゃがれたMark Laneganの組み合わせには、『美女と野獣』というありふれた形容詞を使いたくなるような魅力を秘めています。

2021年5月現在、Isobel Campbell & Mark Laneganは3枚のフルアルバムをリリースしています。
本記事では、その全てを見ていきます。

Isobel Campbell & Mark Laneganの全アルバム

リリース順にアルバムを見ていきますが文字だけでは分かりにくいと思って、相関図を作成してみました。

では、本題に入りましょう。

(1st)Ballad of the Broken Seas

幻想的なブリティッシュフォークの世界にシアトルの野獣がひょっこり迷い込んだような、ちょっぴり不思議で童話的な物語が紡がれていきます。

ほとんどの楽曲をIsobel Campbellが書いているということもあり、土台になるのはオルタナ・グランジではなく繊細なインディーミュージックとなっているのは(本作に限ったことではありませんが)、特筆すべき点と言えるでしょう。

優しいアコースティックサウンドは、暖炉の傍で語られる昔話のような素朴な雰囲気に満ちています。
とりわけIsobel CampbellとMark Laneganの対をなす歌声が時に別々に、時に同時に穏やかなメロディを紡いで味わい深い繊細さを本作に与えています。

ただ、それと同時にそんな雰囲気を敢えて演じているような戯画的な面もあるのも重要な点です。時折見せるブルージィな曲もMark Lanegan節の渋み全開というよりも、文学的な内省性を含みつつもディズニー的と言える演技的なニュアンスを打ち出しています。

また、グラスゴーサウンドになっているためMark Laneganの存在感には良い意味で違和感・ズレがあり、Screaming Treesやソロ作品、QOTSAと比べると角が取れています。その分、親しみやすさを感じることが出来るとも言えるでしょう。

二人で組んで初めての作品ですが、既にサウンドは完成されています。
ただ、本作は後の作品に比べて僅かですが互いの距離感を探っているような良い意味での固さがあり、それが非現実的・物語的なニュアンスをやや強めているように感じます。

(2nd)Sunday at Devil Dirt

基本的には前作のフォーマットを踏襲していますが、親密な空気感が漂っているのが印象的です。

今作もIsobel Campbellがほぼ全ての楽曲を担当しており、内省的なインディーフォークを創り出しています。
アコースティックなサウンドに童話的な世界観を築き、霧深い森を彷徨うような魅惑的な静謐さに奏でています。

前作よりも固さが取れており、自然な雰囲気が立ち込めているのは微かな変化ではありますが見逃せない点でしょう。前作では闖入者のようなMark Laneganの存在感も本作では上手に馴染んでおり、持ち前のブルース的な渋さを童話の世界に違和感なく溶け込ませています。

前作では対をなしていた両者のボーカルも、本作では上手く協調させようとしているような印象を受けます。

暖炉の前での雑談のような素朴で親しい雰囲気が魅力的です。そういった意味では敢えて演じていたような要素が強かった前作と比べると、ややナチュナルな作品になっています。
人間っぽさが出ている分、少し艶っぽい印象も受けます。


前作と同じく完成されている作品ですが、本作のほうが体温を感じさせる傾向があるように思います。

(3rd)Hawk

ゲストシンガーを含めて数多くのミュージシャンをフィーチャーしたこともあってか、今までよりも多様な空気か入り混じっています。

過去作は二人だけの閉じた世界観でしたが、開放的なニュアンスを帯びる瞬間が頻繁に見られるのは見逃せない変化と言わざるを得ません。

もちろん本作も変わらずIsobel Campbellが担当しており、基本的には森のインディー・フォーク的なスタンスが根底にはあります。

ただ、バンドサウンドを強めに押し出した楽曲も数多く存在しています。
オルタナ・カントリー・ブルース・ゴスペルなどサウンド的な多様性は大きく上がっており、Mark Laneganの存在感が強まっている印象を受けます。

また、そういったMark Laneganが主役になるときのIsobel Campbellの囁くような歌声が、本作では魅力的な透明感を放っていると個人的には感じています。

1stと2ndが持っていた童話的な雰囲気は薄まりましたが、演じているような戯画的なニュアンスは2ndよりも強めに漂っています。

過去の作品のような曲もあればそうじゃない曲もあり。バリエーションは豊かになったけど、根底のところにはナイーブさがあり。
過去作の完成されたフォーマットを打ち破ろうとしている意欲作と言えるでしょう。

主要参考サイト:Isobel Campbell & Mark Laneganについて

https://en.wikipedia.org/wiki/Ballad_of_the_Broken_Seas

https://en.wikipedia.org/wiki/Sunday_at_Devil_Dirt

https://en.wikipedia.org/wiki/Hawk_(Isobel_Campbell_and_Mark_Lanegan_album)

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