こんにちは。
HoodはUK出身のAdams兄弟を中心としたインディーロックバンドです。
その音楽性は非常に複雑で、当時のUKロック界では特異な存在だったためポストロックとして分類されることもあります。
キャリア全体に通底しているのは、冷たい水に手を浸らせているような澄みながらも研ぎ澄まされたメランコリーです。
初期の頃は、Nick Drakeにも似たフォーキッシュな曲調でした。
しかし、後に静謐さはそのままにヒップホップ的なブレイクビーツを持ち込んだCold Houseをリリースします。
そして、その次作にあたる本作Outside Closerはそこからエレクトロニカ的な質感を持ち込んだアルバムです。
Outside Closerの魅力 / Hoodの完成形?
サウンド的な特徴
Outside Closerの注目点は、Hood特有の冷列さが最も完成されているということでしょう。
全体的な曲調は、あくまでもメランコリックにして静謐です。
分かりやすい起伏は存在しません。
決してキャッチーではないものの、温かみのあるウィスパー・ボイス。
淡々と紡がれる物憂げなアコースティックギター。
アブストラクトなストリングス。
艶やかな雰囲気を添えるエレクトロニクス。
時折立ち昇るブレイクビーツやダビーなリズムが深淵さを演出し、ドラムスは控えめながらも確実に全体を支えます。
サウンドメイキングに多様な手段が用いられていますが、そこには無駄は一切ありません。
他のアルバムより豪華なサウンドであるにも関わらず、研ぎ澄まされた質素な美しさを感じます。
詫び寂び系UKインディーロック?
Outside Closerの傑出している点は、全てが無駄なくタイトに引き締められている点です。
適切なパーツが適切に配置されたことによって、「行間の美」のようなものが生まれます。
そして、Hoodが本来持つそれらのパーツには、長い間風雪に晒された木々や石のようなフォーキッシュで自然そのもののような美しさがあります。
その結果としてOutside Closerからは荒涼としながらもメランコリックで、完成された美を感じさせます。
霧深い森から香り立つのは、石庭のような侘び寂びなのかもしれません。
というところで、それでは。
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