聖書時代史(旧約編) 古代の文化・英雄達と時を超えすれ違うような。



こんにちは。

今回は古代オリエントです。

「聖書時代史」は聖書に描かれる時代について聖書の記述をそのまま受け止めるのではなく、実情としてどうだったのかを論じています。
アブラハムから古代ローマに及ぶ幅広い時代について、最新の研究成果(2003年の出版時)を踏まえつつ、聖書そのものの記述及び周辺地域の史料等による分析動向を紹介しています。

個人的に面白いと思ったところに力点を置きつつ内容をまとめてみました。

ユダヤは古代オリエントのヘソのような場所にあります。
実に様々な人物や地域が登場しますよ。

「信じられた歴史」と聖書外史料の照合 少しずつ見えてくる歴史の姿

ユダヤのアイデンティティとしての祖先

旧約聖書では、ヤコブを共通の父祖とするイスラエル十二部族がユダヤの共通の先祖ということになっています。
しかし、考古学的研究によって多種多様なバックボーンを持つ人々がゆっくりと混ざり合いながらユダヤという民族が形成されていたことが明かされています。

出エジプト(紀元前十三世紀?) ラムセスという都市

また、有名なモーセの出エジプトについても当時の先進大国だったエジプト側に何も記録がないことから、聖書に記載されているような数万規模での大移動が存在していなかったことが分かります。

ただし、モーセがエジプト系の名前であることや聖書でユダヤ人達が労働に従事したとされている町の名前ラムセス(あのラムセス2世が建設した町)がエジプトの史料においても確認できることから、一定程度の真実性は認められます。
そして、実際は一部の人々による小規模でしかなかったエジプトからの脱出が時を経るにつれて民族全体が経験した伝説へと昇華され、現在の姿である大規模な脱出に変わった可能性が高いとしています。

その後、ペリシテ人等周辺民族との関係悪化により、民族としての連帯感が醸成されていったともしています。
そして、敵対民族と一致団結して戦うため、軍事的必要性から王を頂くことを望むようになります。

ユダヤの王達(紀元前十世紀) ダビデとソロモン

最初はベニヤミン族のサワルが王となります。
しかし、外部の敵を完全に制圧することもできず、内部も統治を安定させることもできませんでした。

そんな不安定な状況で、サワルは疑心暗鬼になったのでしょう。
臣下ダビテの有能さと人望に嫉妬し、彼の命を狙います。
ダビテはなんと宿敵ペリシテ人の側につき、そこで戦果を挙げます。


そして、サワルの死後ダビデはユダの王となり、そこを足掛かりとして全ユダヤの王となります。
そして、外部の敵は卓越した戦略眼で打ち破り、内部の情勢は老獪な政治力を発揮していきます。

そして、そのあとを継いだソロモンはユダヤの文化を文化的に発展させていきます。
豪華な神殿が建築され、宮廷での文学活動も始まっています。
シェバの女王が訪れた、という伝承もこの時代を舞台として設定していますね。

しかし、ソロモンの死と共に繁栄は徐々に瓦解していきます。

王国分裂(紀元前9世紀~)サルゴン2世、ネブガドネツァル、ネコ2世

ユダヤ王国はイスラエルとユダに再び分裂し、さらにエジプトからシェショエンク1世が侵略にやってきます。
大いに略奪されたこともあり、ユダヤの情勢は混乱していきます。
そして、そのままアッシリアに占領をされます。

アッシリアのサルゴン2世は反抗をした北部のイスラエル王国を他のアッシリアに征服された民と同じように、全く彼等に関係のない場所に移住させます。
そして、本来の民がいなくなった彼等の土地にも同じように様々な民を送り込み、彼等が後のサマリヤ人になります。

一方、南部のユダ王国は属国としての地位にとどまり、反撃の機会をうかがっていました。
そして、アッシリアが衰退したタイミングを狙って事実上の独立を果たします。
しかし、今度は南の大国エジプトのネコ2世に支配されてしまいます。
のですが、ネコ2世(…可愛い名前ですね)もすぐにシリア・パレスチナ地域を新バビロニア(カルデア)に奪われてしまいます。

ちなみに統治者は空中庭園で有名なネブガドネツァルです。
そして、そんなこんなのドタバタにユダ王国は反乱を起こしますが、あえなく鎮圧されます。
そして、多くの人々がバビロンに強制連行されることになります。第一次バビロン捕囚です。

その後、残されたユダヤ人はまたしても反乱を起こし、またしても敗北。
今度は第二次バビロン捕囚が起きて、多くのユダヤ人がバビロンに連行されていきます。

しかし、アッシリアと違い、彼等は民族をばらけさせずに同じ場所に居住させました。
その結果、民族としての同一性を保つことができたのです。

ペルシア・ギリシャ・ローマの支配(紀元前6世紀後半~) アレクサンダーやカエサル、ヘロデ大王

その後、支配者はキュロス王率いるアケメネス朝ペルシアに変わります。
アッシリアや新バビロニアと違い、ペルシアは宗教的にも寛容な支配者でした。

母国への帰還を許されたユダヤの人々は、その後反乱らしい反乱を起こすこともありませんでした。

その後、アレクサンダー大王がダレイオス三世と直接対決の上でこれを退け、さらにアレクサンダーの死後はプレトレイオス朝エジプトからセレウコス朝シリアへと目まぐるしく支配者が変わります。

また、この時代のイスラエル人ヘレニズムの影響が強くギリシャ風の名前を名乗る人も多かったようです。
しかし、突如としてセレウコス朝がユダヤ教を迫害したため、彼等はそれに反旗を翻し、結果的には事実上の独立を果たします。

しかし、今度はローマに介入されて再び独立を百年と経たずに失ってしまいます。
ただし、ユダヤの人々はしたたかでした。
今度はローマにおけるカエサルとポンペイウスの対立などを利用します。
援軍を送るなどしてカセサルからユダヤ総督の地位を下賜されたアンディパトロスが、ローマの権威を利用しつつ、ユダヤの実権を握ることになります。

そして、その後にさらに政争があってヘロデ大王が、ローマの後ろ盾を得ながらユダヤ人を支配するという、新約聖書における社会背景が出来上がります。

まとめ 聖書時代史の面白さとは

いかがでしたか。

ざっと旧約聖書の歴史を辿っただけで多くの有名な歴史上の人物が登場します。
旧約聖書がどれだけ古代社会の中心にあったのか、わかって興味深いですね。

それでは。

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