こんにちは。
ギリシャ出身のHior Chronikはいわゆるポスト・クラシカルにカテゴライズされる音楽家です。

彼のアルバムの中でも特に優美さを湛えているのが、2017年リリースのOut Of The Dustです。
目次
Out Of The Dustの特徴 シネマティックなドローン・クラシカル
「存在しない映画のサウンドトラック」を作りたかったという本作には、確かにシネマティックな叙情性が深く立ち込めています。
しかし、最も特徴的なのはドローンやアンビエントの要素が強いことでしょう。
ピアノ、トランペット、ストリングス、シンセはなだらかな波紋のように広がりながらそっと響き、楽器の音色が持つ豊潤さを存分に引き出していきます。
楽器の音色を覆う空間系のエフェクトはおぼろげな記憶のように淡く揺らめき、メランコリックなレイヤーとなって棚引いていきます。
つややかな質感の音色が幾重にも折り重なりながら揺蕩う様は、静謐にして優美です。
Out Of The Dustの魅力 サウンドスケープ・ペインターHior Chronikの本領発揮
しかし、全体としてアルバムは暗い色彩に覆われています。
それは陰鬱な雨雲に覆われているヨーロッパの古都を想像させるような、気品ある暗さです。
そして、時折差し挟まれる希望を湛えた旋律はつつましく美しく。
まるで雲間から差し込む光のように清冽です。
心洗われる柔らかなカタルシスが、あります。
Out Of The Dustは薄暗い色の最高級絹糸を思わせる、名も無き映画のエレガントなサウンドトラックといえるでしょう。
最後に Out Of The Dustに込められた意味
ところで本作のタイトルには、政治的なメッセージや生きることへの苦悩に反抗する意味も込められているそうです。
Out of the Dust。
ゴミから抜け出して。
優美にして静謐なサウンドトラックの裏側では、強い情熱がたぎっているようです。
それでは、また。
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