Hellaのアルバムについて。縦横無尽に暴れまわるカオティック・ギーク・ハードコア



こんにちは。

Hellaはカリフォルニア州出身の2人組を中心としたインストゥルメンタル・ロックバンドです。

Hella | Spotify
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ジャンルとしてはマスロック・ポストロックあたりになるのでしょうか。
Zach Hillのバカテクドラムス(今ではDeath Gripsのメンバーとしてのほうが通りが良いかもしれません)とSpencer Seimのぶっとんだギターが火花を散らしてぶつかり合う、カオティックでハードコアなサウンドが印象的です。

2021年4月現在、Hellaは5枚のフルアルバムをリリースしています。
本作ではその全てを語ります。

Hellaのアルバムについて

これからリリース順にアルバムを見ていきますが、文字だけではわかりにくいと思って相関図を作成しました。

では、本題に入りましょう。

(1st)Hold Your Horse Is

手数が多すぎるくらいの凄まじいドラムスと頭のねじがぶっ飛んだニューウエイブ風ギターサウンドがぶつかり合い、甲高い熱量が爆発している作品です。

デビュー作らしい垢抜けない雰囲気と8bit調のゲーム風サウンドから始まるなど遊び心によって、サウンドにオタクっぽいポップさを添えられているのも印象的です。

常にハイテンションなうえに自由闊達、無軌道に駆け回るドラムスとギターを暴走エンジンにしてアルバムは展開していきます。
一歩間違えばオタクの悪ノリになっておかしくなかったところを紙一重で見事なカオスサウンドへと昇華しているのは、確かな技術力とセンスに拠るところが大きいでしょう。

ぶっ飛んだテクニカルなサウンドの奥でギークなドヤ顔が垣間見える、テンション高めの縦横無尽ハードコアです

(2nd)The Devil Isn’t Red

相変わらずのカオスっぷりですが、ほんの少しだけ洗練されているのが本作の特徴でしょう。

手数多すぎのドラムスと制御不能なギターが取っ組み合っているはいつも通りです。
ただ曲としての体裁が、(良い意味で調律がズレているものの)以前よりも真っ当になっているように感じます。
オタクっぽさも漂っていますが、アンダーグラウンド的なかっこよさの比率が増しています。

既存のフォーマットを意識しつつも、その内側で大暴れしているようなアングラお祭り騒ぎっぷりが本作の魅力なのかもしれません。

ゴリゴリの音塊がうごめく中で、
汗がほとばしるような熱量を秘めて、
ハードコア的なぶっきらぼうさもあって、
だけど、きちんと身なりを整えようとする意図が感じられる、しゃきっとした雰囲気も漂っています。

文化系的ギーク感が漂っているのに少しだけスマートさもある、不思議な魅力を秘めたアルバムです。

(3rd)Church Gone Wild/Chirpin Hard

本作は2枚組になっており、メンバーの2人がそれぞれ主導権を握った(zachによるChurch Gone Wild、SpencerによるChirpin Hard)によって構成されています。

もちろんそれぞれカラーは異なります。ただ、アルバム全体としてはHellaらしいカオスっぷりを発揮しつつもも今までになく通気性がしっかりしており、それでいて迫力のある音塊をボリュームたっぷりに楽しめる作品になっています。

Church Gone WildはZach持ち前の人間超越系ドラムスを軸にしているのが特徴です。
地響きのようなパワフルさで唸りを上げ、息もつかせぬ重量級乱打を果てることなく繰り広げています。
そして、ギター、キーボート、ボーカルなどが無軌道にぶつかり合い、ノイジーかつポップなハイカロリー・サウンドを形成しています。

SpencerによるChirpin Hardはハードコアでダウナーなギターとゲームミュージックのようなチープで浪漫漂うシンセが個性的です。
ハードコアの世界でグランジとゲームミュージックが出会ったかのようなオタクっぽさが印象的です。
時にキュートに、時に荒れ狂い、時に勇猛に、時にアンニュイに。
様々なニュアンスを含んでいますが、「陰」なポップさが強めに出ているように感じます。

どちらもメロディアスさがほのかに香り立っているのが印象的です。
Church Gone Wildのほうがアッパー、
Chirpinのほうがややダウナー、
と傾向は分かれていますが、どちらも過去作よりもカラフルでカロリー高めの濃厚さが売りと言えるでしょう。

陰気な雰囲気はもう一段階薄まっていますが「丸みを帯びた」という表現とは無縁で、ずっしりとした気迫に満ちたアルバムです。

(4th)There’s No 666 in Outer Space

全編を通してボーカルが導入されているのが、本作の個性になっています。

いつものぶっ飛んだハードコアな空気感にダウナーなグランジの雰囲気が漂い、ダーティではありますがメロディアスな作品になっています。

人間離れした超絶乱打ドラムス、
ロック・メタル的なフォーマットの匂いがするギター、
影を帯びたメロディラインを紡ぐボーカル、
ロック的な骨組みを明確に取っているからこそHellaがアイデンティティとする奇抜さが際立ち、煮え立つようなカオスが蠢動しています。

だた、やはり特筆すべきは従来の縦横無尽さを保ちながら、ダウナーなロック的なニュアンスを織り込んでいることです。
さながらタガが外れてぶっきらぼうになったサウンドガーテンといったところでしょうか。
ボーカルが入ることによってキャッチーになり、最も窓口が広い作品になっています。

クレイジーでありながらも、Hellaで最もストレートなロックアルバムです。

(5th)Tripper

再びインストに戻り、前作とは違った意味でキャッチーになっているのが本作の特徴といえるでしょう。

ギーク感漂うハードコアであることに変わりはないのですが、今までで(今までで、ですが)最も清潔感がある雰囲気になっています。

縦横無尽でカオティックなハードコアとしてのアイデンティティは堅固に持ちつつも、聡明で小綺麗なクールさを違和感なく身にまとっています。
音像もクリアになり、バッチバチにぶつかり合う変態ドラムスと頭のねじがぶっ飛んだギターの取っ組み合いを鮮明に響かせています。


人外魔境のハードコアを上手にパッケージしたまま完成度を高めている、とも言い換えられるかもしれません。

ソリッドながらも破壊力は変わらず、
変態的なテクニックも変わらず、
地下室にこもっていた過去作とは違い、白日に晒されたような抜けの良さが聴きやすい雰囲気を本作に与えています。

また、クリーンでメロディアスな展開を時折見せるのも重要な点でしょう。

前作とは違った意味で、窓口が広い作品です。

主要参考サイト

https://en.wikipedia.org/wiki/Hella_(band)

https://hella.bandcamp.com/

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