もっと知りたいはにわの世界~古代社会からのメッセージ~/若狭徹

こんにちは。

『もっと知りたいはにわの世界』ははにわの誕生から終焉までをまとめた一冊です。
写真や図をふんだんに盛り込んで、古代日本の象徴の一つとも言えるはにわについて分かりやすく解説しています。

はにわは古墳時代の日本で作られていた、素焼きの土器のうち主に古墳周辺に飾られていたものを指します。
一般的には人型のものが有名でしょうか。

個人的に面白かった箇所について、まとめてみました。

『もっと知りたいはにわの世界』 のあらすじ

本著『もっと知りたいはにわの世界』 は三世紀後半にはにわが現れ、六世紀後半に衰退するまでを時系列で追っています。

主に下記の三区分に分けることができるでしょう。

  1. 人型はにわ登場以前
  2. 人型はにわ登場期
  3. 人型はにわ衰退期

では、それぞれ順番に見ていきましょう。

1.人型はにわ登場以前

3世紀後半、瀬戸内海の豪族は各地から集めたお供え物をお墓に捧げていました。

壺に入っているだけよりも筒状の高い台に乗せたほうが儀礼の際に見栄えが良くなるとあるときに彼等は思ったようです。
そして、古捧げものを乗せる、円筒状のはにわが普及していきます。


この円筒状はにわは古墳の外辺部を覆うようにして配置されていました。
しかし、徐々に供え物を入れるはずの壺には最初から穴が開いているなど、「死者への供え物と魔除け」という意味から「古墳という場の神聖化」へと意味合いが変わっていきます。

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さらには4世紀以降に家形のはにわが作られるようになります。

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家形のはにわは通常、古墳の頂上に置かれており、埋葬者の家としての側面を表象/象徴するものであったようです。

この表象性は徐々に古墳全体に広がっていくことになります。
船やや水に関する家形のはにわも含め、古墳全体で表彰的な意味を込められるようにして古墳が配置されるようになりました。

例えば、古墳側は水鳥が浮かぶ神聖な理想世界として演出されていたそうです。

2.人型はにわ登場期

5世紀になると人型のはにわが登場します。
巫女、王、兵士、奏者など様々で実に個性豊かです。

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それぞれ細かく見ていると服装や髪形、刀など当時の人々の暮らしを垣間見ることができます。

さらには馬やイノシシ、鳥、犬の動物も存在します。

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人も動物も何かの儀式をしている場面を再現するように配置しています。


また地域によって服装に違いがあることなども分かっています。
特に巫女は関東が派手な服装をしていて関西が質素な服装をしているなど、明確な違いがあるそうです。

3.人型はにわ衰退期

はにわが広く作られるようになると、徐々に儀式的な意味が失われていきます。
そして、躍動感もなく画一的なはにわが作られるようになっていきます。


しかし、例外もあります。
6世紀後半、古墳づくりの関西では下火になっていく一方で関東では最盛期を迎えます。
6世紀後半の東国のはにわは、都とは離れた自由度も高く、多様性もありました。

『もっと知りたいはにわの世界』 の楽しさ

『もっと知りたいはにわの世界』の魅力は、はにわの写真がたくさんあることです!

大事なことなのでもう一度繰り返します。

『もっと知りたいはにわの世界』の魅力は、はにわの写真がたくさんあることです!

シュールなあいつの、可愛いあの娘の、かっこいい兵士の、どこか緩い雰囲気を漂わせつつも個性的な姿を余すことなく堪能できるのです。
しかも、プロの分かりやすく解説付きで!

その文章も素晴らしいんです!
何がって!? マニアックな知識を自然に教えてくれるんですよ!

だって、ほら。正直なところ、はにわが時系列的に進化していくと知っている人は少なかったのではないでしょう?
それを、さらりと、あっさりと脳内にインストールしてくれます!
当たり前の常識を自然と身に着けているかの如く! 流れる水に身を委ねるがごとく!?
この著者、天才か!?

いや、もちろん一番重要なのははにわの何とも言えないシュールなデザインなんですけれどもね。

仏教が入る前の日本には、こんな不思議な美的観点が存在していたのです。
プリミティブで可愛らしくて、どこか歪んで。まさにあるがままの人間の心そのもの。


抱きしめたくなるような、愛おしさがあります。

はにわに興味がある人はもちろん興味がない人も読み終わった後には、はにわへの好奇心を心のなかに植え付けられていることでしょう。




それでは。

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