現実脱出論 増補版/坂口恭平

こんにちは。

坂口恭平という人物が何者なのかはよく分からない。

本を出してる人。
0円ハウスの人。
僕と同じ双極性障害の人。
自分の電話番号をインターネット上に公開して希死念慮に苦しむ人たちからの相談を受けている人。

色々な活動をしているようだ。
そして、大成功をしているようだ。

僕が思うに彼が成功している理由は、

  • 抜群の行動力
  • 人が当たり前と思っていることを疑ってみる着眼点

という2点にある。

真似したいな、と思ったことは何度もある。
だけど、それと同時に僕とはポテンシャルが違い過ぎて真似は出来ないなー。と思ってもいた。

そんな折。
勤め先でのストレスと立場の悪化が限界に達して退職を決意した僕が、帰りの電車でツイッターを眺めていてふとTLに流れ込んできたのがこの「現実脱出論 増補版」だ。

『現実脱出論』の内容について。


僕がこの本を手に取った原因として、現実逃避的が全くなかったと言えばウソになる。
当たり前だ。人生最大の大綱渡りがはじめようとしているんだ。

ただ、この本の内容は現実逃避を助長するようなものではない。

現実逃避は「現実」という地面のうえで逃げ続けるだけだと坂口は言う。
全くその通りだ。分かってはいるけど、それでもぐさっとくる。

そのうえで、坂口は現実脱出を以下のように定義する。

「これまで蓋をしたり、存在を体感しているのに現実的ではないと切り捨ててきたことを直視してみる」

坂口恭平『現実脱出論 増補版』筑摩書房,P34

少し分かりにくい。と思う人もいるかもしれない。

でも、全然そんなことはない。
ポイントは、坂口は「現実」を仮想空間のようなものだと定義していることだ。

人類が集団生活をするうえで必要な要素だけを残し、それ以外のものは排除された、こざっぱりとした仮想空間。
要するに、「ま、上手くやっていきましょうよ」という空間を作り出さなければ人類は一緒にやっていけなかったわけで、だから仮想空間としての「現実」が必要だったわけだ。

そして、我々はその「現実」に入り込んでいき、集団生活を営む。
ただ、大部分の人は型にハマるということに対して多かれ少なかれストレスを感じるだろうし、とんでもなく苦労する。
それなのに、人々はそこにある「現実」以外のものをなぜか見ようとしない。

そして、「現実」以外への世界へのアクセスを、坂口は様々な観点から説明する。
小学生時代の原体験、ドロップアウト寸前のトヨちゃんとの出来事、自身の双極性障害と「現実」との折り合い、個々人の思考と匂いとの関連等々。

その比喩の巧みさや文章の奔放さに読み手は驚かされるだろう。(これについては実際に本著を読んでほしい)
たぶん、様々な比喩を用いて奔放にならなければ説明ができないほど現実脱出というのは言葉にするのが困難なのだろう。

つまり、現実脱出は非常に感覚的なのだ。

現実との接触から生まれる生々しい感覚を研ぎ澄ませ、思考する。
そして、現実から飛び出し、思考し、それでも「現実」を排除せず、自分の内なる言葉に導かれるままに新たな世界観を創造する。


そして、創造を通して誰かと繋がる。

で、現実は逃避できるものではないので、創造した後はきちんと戻りましょうね。というオチになっている。

ただ、この場合は折り合いをつけましょうね、というニュアンスだと思うんだけど。
本文にもあるように、誰も現実という仮想空間からは逃げられないのだから。

現実脱出論 増補版/坂口恭平 に対する個人的な印象。

坂口恭平という人物のこと、すっごいなーと思っている。
同じ病気持ちとしては特に。
ただ、持ってる才能が違いすぎるから、彼と同じようにはできないかなとも思う。
良くも悪くも真に受けないほうが良いタイプだとも。
いや、すっげー人だと思うけど。いのっちの電話とかとくに。

ただ、週明けには退職の話をしようと思ってる身としては。
すっごく参考になったことがある。

それは「現実」と折り合いをつけましょう、ってスタンス。
「現実」にハマる必要はない。
きちんとした月給取りになって結婚して、みたいな価値観に縛られる必要はない。

でも、それができないからって「現実」から逃げる必要もない。
極端から極端に走らず、ほどほどの距離感でやっていきましょう。

自分の思考を持って、やっていく。
前々から分かっていたことだけど、辛いタイミングで誰かの文章を通して触れることが出来たのは嬉しかったかな。


僕は無能なので、彼ほど華々しい人生は今後も歩めないだろう。
でも、それでもやっていく。



それでは。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です