ガレージロック・リバイバル。
ポストパンク・リバイバル。
ロックンロール・リバイバル。
2000年代初頭に巻き起こったロックの新たな潮流は、その多様性ゆえに様々な名前が付けられました。

本記事では、そのガレージロック・リバイバル/ロックンロール・リバイバル/ポストパンク・リバイバルを彩ったバンドたちをざっくり時系列にとって紹介しています。
なお、
- 私が個人的な好きなバンド/名盤を
- ざっくり年代別/サウンドの雰囲気で分けて
- 楽しくワクワク書く
ことを目的としています。
つまり、取捨選択に当たって個人的な趣味嗜好を排する努力は、あまりしていません。
例えば、どのバンドまでムーブメントに含めるかは人によって異なります。
そのあたり、色々悩んだ結果個人的な観点に立っています。
あくまで私の視点であること、ご容赦ください。
※明確な事実誤認がありましたら、コメントいただけると嬉しいです(不定期更新中につき、レスポンスは遅れるかもしれません)。
このジャンルを聴いてみたいな、と思っている方の一助となれたら幸いです。
目次
ブレイク前:ガレージロック・リバイバル胎動期
ガレージロックやポストパンクへの関心はガレージロック・リバイバル以前から世界各地のローカルなシーンで高まっていました。(あまり後の潮流に位置付けられないバンドも含め。本記事では触れません)
また、後にブレイクを果たすThe Hivesは1993年から活動をしていたことも見逃せないでしょう。The Coralが1996年、White Stripes/Interpol/The Libertinesも1997年、やや早めに活動を開始しているバンドも多かったようです。
では、これ以降
- 前期:ガレージロック・リバイバルのブレイク(2000~2003年頃)
- 中期:勢いを増すロックンロール(2004~2005年頃)
- 後期:ブームの成熟と終焉(2006~2010年頃)
というざっくりの時代分けと共に紹介します。
なお、時代は紹介されているアルバムを基準としています。
前期:ガレージロック・リバイバルのブレイク(2000~2003年頃)
ブームの代表格と見られることが多いバンド
ブレイクはUKから始まります。2001年から2002年に一部のバンドが商業的な成功を収め、ブームの基礎的なイメージが形づくられることになります。
この潮流に位置するバンドが新鮮だったことは、ラップメタル勢やポストグランジ勢と聴き比べれば分かるでしょう。
ここではラップメタル勢を取り上げましょう。
様々な意味でブームの極致も言うべきLimp Bizkitです。
そして、ブームの象徴的な存在して扱われるThe Strokesがこちら。
原点回帰、というべきなんでしょうか。
無駄を省いた開放感とシンプルさは従前のバンドとは異なるように思います。
敢えてこのムーブメントを一言で例えるなら、「(全体としては)ストレート/シンプルなサウンドのバンドが多い」ということになるのかもしれません。
この項目ではブームの代表格と見られることが多いバンドの代表作を紹介します。
The Strokes/Is This It
ガレージロック・リバイバルの起爆剤だったThe Strokesは、ブームの象徴を担うバンドとして必ず名前を挙げられます。
ニューヨーク出身ということも関係しているのか、育ちの良さが感じられるのも特長です。無駄を省いたシンプルなサウンドとガレージロック的な躍動感が絶妙にマッチしており、ロックンロールの妙味を洗練された響きと共に奏でています。
The Killers,Franz Ferdinand,Arctic Monkeysといった後続のバンドたちも影響を受けているそうです。
The White Stripes/White Blood Cells
デトロイト出身の男女デュオThe White Stripesは、The Storkesと双璧を成す存在です。
The White Stripesの魅力はブルースの影響を強く醸しだす、荒々しくプリミティブなサウンド。ギターボーカルとドラムスというミニマルな編成で、生々しい迫力を聴き手に叩きつけるような楽曲がアルバムに詰まっています。
当時は姉弟という設定のJack WhiteとMeg Whiteでしたが、後に夫婦ということが明かされ、そのうえ離婚もしています。
バンドのキャリアハイは次作Elephantかもしれませんが、ガレージロック・リバイバルという流れから考えて、本作をピックアップしました。
The Hives/Your New Favourite Band
The Hivesはスウェーデン出身のガレージロック・バンドです。
シンプルなアンサンブルを軸にしつつも、エネルギッシュでぐいぐい迫るロックンロールを炸裂させています。歯切れの良さと激しさを違和感なく兼ね備えた、暑苦しくもスタイリッシュなサウンドは破壊力抜群です。
「これぞロック」というキャッチーさと「これぞThe Hives」というオリジナリティが絶えず狂乱の渦を巻いているような作品です。
ちなみに「ランディ・フィッツシモンズなる人物から日時と集合場所が書かれた手紙を送られた5人がバンドを結成した」という謎の設定があります。
The Vines/Highly Evolved
The Beatles meets Nirvanaとも評されていたのが、The Vinesです。
オールディーズ/サイケデリックな匂いを漂わせつつも静/動を使い分けてダイナミズムを生み出すスタイルには、確かに上記の表現にハマると思います。終始穏やかなThe Beatlesっぽい曲も好きです。そういった意味では上記のたとえは適切なのかもしれません。
ボーカルCraig Nichollsがブチ切れてる時の鬼気迫る迫力は圧巻です。
人気があったバンド(1)ガレージロック/ロックンロールの王道寄り
ここでは代表格とは必ずしも言えないけれど、人気があったバンドを紹介します。
といってもかなり数が多いので、ある程度個人的な好みで選んでいます。ご容赦ください。
The Libertines/Up the Bracket
いわゆる「UKロック」的なニュアンスを強く感じさせつつガレージロック・リバイバルに共鳴したバンドです。
パンク的なラフさや刹那さを感じつつもガレージロック的な美学も匂い立つ、ポップながらも刹那的な雰囲気が魅力的。今を生きる疾走感をUKロック的な知性を通して掻き鳴らしているバンドで、個人的にはとても好きだったりします。
メンバーのドラッグ問題などもありバンドは空中崩壊しますが、中心人物の二人は解散後もDirty Pretty ThingsやBabyshamblesなどで活躍しました。
Jet/Get Born
Jetはガレージロック・リバイバル/ロックンロール・リバイバルの特色を分かりやすい形で体現した、オーストラリア出身のバンドです。
日本でイメージされる「現代の(20年前的な意味合いで)洋楽ロックンロール」を感じさせるサウンドと言えるでしょう。チャート仕様のキャッチーさを抜かりなく揃え、それでいてガレージ的なワイルドさやハードロック的なダイナミックさも完璧。時にはメロディアスな楽曲で緩急を挟む巧みさもあり。
ただ、世界中で360万枚を超えるセールスを記録した本作の魅力の根底にあるのは、無邪気でストレートなロックなのかもしれません。
Kings of Leon/Youth & Young Manhood
テネシー州出身のKings of Leonは、アメリカ南部感というか土っぽいロックサウンドが強烈に漂っているバンドです。
渋いです。ただ、若者っぽいさりげないおしゃれっぽさもあって、そのバランス感覚が秀逸。サザンロックっぽくて良い意味で垢抜けない雰囲気があるのにThe Strokesにも通じる育ちの良さが節々から感じられます。
3兄弟と従兄のマシューで構成され、厳格の父の下で旅しながら各地の教会で音楽を演奏して育ったそうです。
バンドとしてのキャリアハイはOnly by the Nightだと思われますが、ガレージロック・リバイバルという流れで考えたうえで本作を選んでいます。
Mando Diao/Bring ‘em In
スウェーデン出身のMando Diaoもまた、日本人がイメージする洋楽の「現代的(20年前的な意味で)なロックンロール」を体現しているバンドな気がします。
ガレージロック的な荒々しさを前面に出しつつもどこかジェントルな気品が漂っており、ビンテージなサウンドなのに心をときめかすおしゃれさがあって。均整の取れたロックンロールサウンドは、とにかくかっこよくて。その魅力の根底にあるのは、クールな男の色気が漂っている、ということになるのかもしれません。
ポップなメロディも相まって、ガレージロックリバイバル界のOasisっぽいと個人的に思っています。
本国スウェーデンやドイツ、そして日本で人気を誇っていました。
人気があったバンド(2)個性的なサウンド寄り
さきほどの項目では個人的に「ガレージロック・リバイバルの王道」と感じるバンドを紹介しましたが、ここではもう少し個性派なバンドを紹介します。
The Music/The Music
イギリス出身のThe Musicは洗練されたダンサブルな(ハード)ロック調サウンドを特徴としています。
ブリティッシュな品格を漂わせていますが、しなやかな力強さも魅力的。男性ボーカルのハイトーンボイス、クールで大胆でギターリフ、そしてグルーヴィなリズムセクションが鳴らす「踊れる楽曲」が、本作には詰まっています。
高揚感をかきたてるような、エネルギッシュな精悍さがたまりません。
The Coral/The Coral
The Coralはやさぐれ感/場末のパブ感が漂うサイケ・サウンドを特徴とする。イギリスのバンドです。
60’sロック的なラフさやガレージ的疾走感もあるのですがフォークロック的な趣もあり、場末のカントリー的な侘しさもあり。ごった煮感が強烈です。躍動感や楽しさを存分に感じさせつつも、常にどこか影を帯びています。
渋いのに若々しさもあり、なんとも形容しがたい魅力を秘めたバンドです。
Black Rebel Motorcycle Club/Take Them On, On Your Own
Black Rebel Motorcycle Clubは、ハードロックやサイケデリックロックの影響を感じさせるサンフランシスコ出身のバンドです。
ハードでラフなバンドサウンドが放つ武骨な色気は唯一無二。Sonic YouthやDinosaur Jr.などのノイジーなオルタナとの共通性も匂わせつつ、本質の部分はサイケなロックンロール。半端な覚悟じゃ近寄れない迫力を秘めています。
煙たく力強い存在感からは「本物」っぷりを感じます。
The Kills/Keep On Your Side
イギリスを拠点にしているロックデュオThe Killsは、ガレージロック/ブルース/パンクの影響を感じさせるローファイ・サウンドを特徴としています。
サウンドは、男女のツインボーカル&ギターにシンプルなドラムマシンだけ。極めてシンプル。荒々しくも色気があるロックを吐き捨てるようなラフさで奏でています。獣めいた危うさと鋭さこそ、The Killsの真骨頂と言えるでしょう。
アメリカ人メンバーがアリソンがイギリスの泊まったホテルに泊まった際、上の部屋に泊まっていたイギリス人メンバージェイミーの部屋から聞こえる音楽に興味を持って訪問したことが二人の交流の始まりだったそうです。凄い行動力ですね。
人気があったバンド(3)ポストパンク・リバイバル寄り
ポストパンク・リバイバルという切り口で語られることが多めのバンドを取り上げています。
Yeah Yeah Yeahs/Fever To Tell
ニューヨークのYeah Yeah Yeahsはガレージロックやロックンロール的なニュアンスに近い、激しさやラフさも強く感じます。
とはいえ、金属質で鋭いポストパンク感もあり。迫力のある女性ボーカルと、初期衝動的なエネルギッシュさは圧巻。アバンギャルド、とかそういう言葉でも表現できるとは思いますが、本作はもっとストレートなロックアルバムだと思います。
一風変わったバンド名は「yeah, yeah, yeah (そう、そう、そうだよね)」というニューヨークの街で交わされている適当な相槌に由来するそうです。
Interpol/Turn On the Bright Lights
ニューヨーク出身のInterpolは、ニューウェーブやポストパンクの影を帯びた雰囲気を感じさせるバンドです。
バンドサウンドらしい生々しさもあります。ただ、文学的というか内省的というか、直情的に感情を爆発させる意味のガレージロック・ロックンロールとは明確に異なる精神性を感じます。Joy Divisionをもっと(20年前的な意味合いで)現代的に洗練させて、もっと窓口を広げたサウンドという印象を受けます。
The Rapture/Echoes
ニューヨーク出身のThe Raptureは、ポストパンク・リバイバルを牽引したとも評されています。
ダンスパンク/ポストパンクとも言えるのですが、幅広いサウンドを奏でているように感じます。シンセとエレキギターのタイトなサウンド/芯の硬いビート/投げやりなボーカルなどが感性的ながらも生々しいアンサンブルを紡ぎ出しています。
実験的で無軌道な魅力を秘めたアルバムだと思います。
Liars/They Threw Us All in a Trench and Stuck a Monument on Top
ニューヨーク出身Liarsのデビュー作は、まっすぐなダンスパンクだなという印象を受けます。
迫力もあり、疾走感もあり、パンク的投げやりさもあり。現在はかなり前衛的な作品をリリースしているそうですが、このころは初期衝動全開のアンダーグラウンド・パンクという印象を受けます。激しいながらもスピード感もある、魅力的なサウンドです。
中期:勢いを増すロックンロール(2004~2005年頃)
出てくるバンドの数もバリエーションも広がっていきます。ただ、地域については、また違った流れがありました。当初は世界中から(欧米限定ですが)集まっていたバンドですが、徐々にイギリスの存在感が高まっていきます。
特に人気/存在感があったバンド
表題の通り、特に存在感があったと思われるバンドを集めました。ここ、非常に悩んだのでご意見がある方はコメントいただけると嬉しいです。
あと、入れ忘れてるバンドとかいるかもしれません。
The Killers/Hot Fuss
ラスヴェガス出身のThe Killersはロックンロール的でありながら、スター性も強く感じさせるバンドだと思います。
剥き出しのロック感と時折顔を出す物憂い響き、そしてバンド全体から醸し出されるグラマラスな雰囲気は、これぞ「ロックスター」な華やかさがあります。シンセやキーボードを多用する表情豊かなサウンドとプリミティブな疾走感・解放感が、エレガントなアンサンブルを生み出しています。
デビュー作である本作は、全世界で2,800万枚の売り上げを記録しています。
Franz Ferdinand/You Could Have It So Much Better
イギルスはグラスゴー出身のFranz Ferdinandは、ポストパンクの影響を正統的なUKギターロックへと昇華している点にあります。
色気と気品があって、切れ味鋭くダンサブル。実験的精神やロックンロール的な初期衝動を匂わせつつその本質は圧倒的なポップさと解放感。思わず踊りたくなるようなロックンロール・ビートをかっこよく魅せてくれるバンドです。
本来であれば400万枚を記録したデビュー作Franz Ferdinandを取り上げるべきなのかもしれません。でも、個人的には2nd本作が大好きです。
Razorlight/Up All Night
イギリス出身のRazorlightは、UKロック的の匂いを強く感じさせつつガレージロック/ロックンロール・リバイバルとの共鳴も感じさせます。
ウィットなポップ感覚と共に、アクセル全開で突っ込んでいく姿は正しくロックンロールの初期衝動。特に曲の盛り上げどころ、全力を振り絞ってるときの迫力が素敵です。ロック/ポップのフォーマットにスマート収まることで胸に響くキャッチーさを高め、それと同時に並みのバンドでは出せないエネルギッシュさも創り出しています。
ダニエル・ラドグリフがファンだと公言しているようです。
あと、ボーカルのJohnny Borrell、上下ともに謎の白服を着ていた時期がありました。
Bloc Party/Silent Alarm
イギリス出身のBloc Partyはポストパンク・リバイバルから出てきたバンドと言えるでしょう。
ポストパンクの影響をアップデートした結果生まれたのは、ロック的な生々しい迫力とニューウェーブ的内省感・知性。とにかく聡明さを感じさせるバンドという印象を受けます。鋭利なギターリフ、人間味のある疾走感、キャッチーなメロディ。開放感というよりもシリアスな雰囲気で魅せていくバンドです。
Kasabian/Kasabian
イギリス出身のKasabianはエレクトリックミュージックの要素とシリアス気味なUKロックの迫力を兼ね備えたバンドです。
路地裏の猥雑な空気感とロック的なグルーヴを併せ持つ、ちょっとワイルドな雰囲気が魅力的です。ビックビート勢と近しい雰囲気も漂います。正統派UKロック的な流れに連なりつつ、その流れのアウトサイダーっぽくもあり。刹那的でダンサブル、クールながらも破滅的な匂いも感じられて。個性的な存在感です。
Oasisを非常に尊敬しているそうです。
Kaiser Chiefs/Employment
イギリス出身のバンドらしい、ウィットなポップセンスがKaiser Chiefsの魅力です。
ラフなロックンロールの質感を魅せつつも、キーボードを上手に使ってキャッチーな雰囲気を作っています。パンク的な激しさもありつつ品性もあり、ニューウェーブの匂いもちらりと漂い。ただ、根っこの部分は「イギリスの正統的ロックバンド」なのかなと思います。
2012年のロンドン五輪閉会式で生演奏を披露しています。
正当派のガレージロック/ロックンロール/ポストパンク・リバイバル寄り
この時期のガレージロック/ロックンロール寄りのバンドを紹介します。引き続き、活きの良いバンドが揃っています。
22-20s/22-20s
22-20sはイギリス出身のロックバンドです。
ブルースの影響を色濃く感じさせつつ、ハードなカレージサウンドを鳴らしています。ロックンロール的な迫力が彼等の売りでしょう。ただ、古びた感じはなく、若々しい衝動がみなぎっています。
熱量高め、剥き出しのバンドアンサンブルがうなりを上げています。土っぽいグルーヴが、ただただカッコいいです。
Maximo Park/A Certain Trigger
イギリス出身のMaximo Parkは、ガレージ的なガチャガチャした疾走感とポストパンク的なひねた雰囲気を感じさせるバンドです。
とにかくシンプルで小難しさのない(レコードの中のような)バンドサウンドと、ニューウェーブ感を添えるキーボードの組み合わせが印象に残ります。2~3分のシンプルな楽曲で一直線に駆け抜ける潔さがあり、それでいてウィットな雰囲気もあったりします。
電子音楽の名門Warp Recordsがリリースした初の正統派ギターロック・バンドとしても話題になりました。
The Zutons/Who Killed the Zutons?
イギリスで結成されたThe Zutonsはガレージロック/ソウル・ファンク/ニューウェーブなどの要素を混ぜ合わせた、ごった煮ビンテージなサウンドを特徴としています。
(20年近く前の)現代的な洗練さ・清潔感を最低限備えつつ、熱い迫力でぐいぐい直進。レコードの中の匂いをさせつつ、どのレコードにもない独特の色彩を感じさせるアンサンブルをぶちまけています。ブリティッシュらしいポップ感覚も魅力です。
The Subways/Young For Eternity
The Subwaysもまた、イギリス出身のバンドです。
ガレージロック・ロックンロール的なサウンドをキャッチー/ポップな的なフィルターを通して、スマートにまとめています。その一方で若々しい初期衝動が生み出すパワフルなアンサンブルもあったりして。個性の違う両輪が上手くかみ合って威容に感じます。
The Futureheads/The Futureheads
イギリスはサンダーランド出身のThe Futureheadsもポストパンクの影響を感じさせるバンドです。
軽快かつキャッチーなバンドサウンドが印象的です。切れ味鋭いギターリフや歯切れのよいビートをポップにまとめあげ、パンキッシュながらも上品さを感じさせる雰囲気になっています。インディー感が強いのに、同じくらいキャッチーな仕上がりになっているのが本作の魅力でしょう。
個性派寄りのバンド
ここでは、ブームの中でも個性派のバンドを紹介します。
Wolfmother/Wolfmother
Wolfmotherはオーストラリア出身のバンドです。
往年のハードロックの影響を色濃く感じさせるサウンドが特色。Led ZeppelinやBlack Sabbathの影響を感じさせるパワフルで広大なサウンドをひたすら鳴らしています。存在感抜群のハイトーンボイスとラウドな演奏隊が、完成度の高いハードロック・ワールドを構築しています。
本作の邦題『狼牙生誕!』は、色々な意味で印象的です。
HARD-Fi/Stars of CCTV
HARD-Fiはイギリスで結成されたロックバンドです。
軽快なビートと骨太で力強いギターサウンドが組み合わさった、緊張感のあるロックを演奏しています。パンキッシュですが、ハードロック的な肉厚さもあります。そして、不良めいた雰囲気を常に漂わせています。
労働者階級の日常や悲哀を反骨精神と共に歌っていたため、「The Clashの再来」とも言われていました。
CSS/Cansei de Ser Sexy
CSSはブラジル出身のロックバンドです。
ジャンルとしてはダンスパンク。エレクトロニックな要素を色濃く感じさるニューウェーブという印象を受けますが、危うさ/色気/鋭さをみなぎらせたアンサンブルがぎらぎらと蠢動する様は、なかなか強烈です。
日本語のウィキペイディアには「ライヴ中には男性下着が飛び交うこともある」と書かれていましたが、いったいどういう状況なんでしょうか。
Nine Black Alps/Everything Is
Nine Black Alpsはイギリス出身のバンドです。
グランジと共通する雰囲気を感じさせる、このムーブメントにおける特異な存在と言えます。
ダークな雰囲気、シンプルな曲構成、歪んだエレキギター。まさしくNirvana的なサウンドです。ただし、比較的ロックンロール的/アップビートな曲が多く、あまり沈み込むような雰囲気にはなりません。基本的には、軽快なバンドです。
Little Barrie/We Are Little Barrie
Little Barrieはイギリスを拠点とする3人組のロックバンドです。
ビンテージなソウル/ファンク(の影響を受けたヒップホップとも)と共鳴したガレージサウンドを、非常にシンプルに奏でています。古いソウル/ファンクはアメリカ的な雰囲気を強く感じるのが常だと思うのですが、Little Barrieはその影響を強烈に受けつつも、ブリティッシュな質感へと上手に昇華しています。
個人的にはとても好きな作品です。
Editors/The Back Room
Editorsはイギリスで活動をしているバンドです。
ブームの他バンドとは一線を画した、暗く冷たい雰囲気が特色。Joy Divisionと比較されることが多い、ダウナーな質感を放っています。ただ、Joy Divisionよりもビートの骨格が太く、全体的に聴きやすくまとまっています。
後期:ブームの成熟と終焉(2006~2010年頃)
2006年にはブームを象徴するバンドの一柱とも言ってもいいArctic Monkeysが成功を収めます。
しかし、ブーム全体としては徐々に落ち着きを見せ始めました。するとブームの衰退を議論する者が現れ、ガレージロック・リバイバルはArcade FireやDeath Cab For Cutieといったインディー勢に追い抜かれたという意見も散見されるようになったそうです。
ただ、個人的には以前のような大ヒットは見られなくなったものの、良質なバンドはこれ以降も存在しているように思います。
あと、この段階になってくると著者の疲れが出ているので、抜けがある可能性が大きいです。何かあったら是非教えてください。
特に存在感のあったバンド
ここではこの時代に特に存在感があったバンドを紹介しています。
何か抜けがあったらコメントを頂けると嬉しいです。
Arctic Monkeys/Whatever People Say I Am, That’s What I’m Not
「UKロックの新世代の到来を遂げた記念碑的傑作」とまで評されている作品です。
本国でも「Oasis以来の衝撃」とまで言われていたそうですから、どれだけ衝撃的な作品であったかが分かります。
ガレージロック・リバイバルの荒々しさを強烈に感じさせつつ、ラフな質感とウィットなポップセンスを存分に発揮。そのどれもが「とにかくすごい!」と言いたくなる存在感。初期衝動の塊のような疾走感で、一気に駆け抜けていきます。
本作はイギリスの新人アルバム最短最多売上げ記録を塗り替えたそうです。
The Kooks/Inside In Inside Out
Arctic Monkeysと並ぶ存在とみなされていたイギリスのバンドです。
ゴリゴリだったArtic Monkeysよりも、(疾走感やロックンロール感を維持しつつ)UKロックのポップさが強く感じられます。胸に染みるような儚さを感じられる瞬間も多く、ロックンロール・リバイバルの面影を残しつつも、正統派なUKロックに仕上がっています。
イギリスでの売り上げが130万枚を超えるヒット作となりました。
klaxons/Myths of the Near Future
こちらもイギリス出身、Klaxonsはダンサブルでパンキッシュなバンドです。
未来的でシリアスな世界観とダンスビートが絶妙にマッチしており、強靭でありながら壮麗さを感じさせるサウンドになっています。独創的なSF小説を読んでいるときのような、底が見えない魅力を感じさせる作品です。
正統派ガレージロック/ロックンロールリバイバルなバンド
ここでは、この時期の正統派ガレージロック/ロックンロールリバイバルなバンドを紹介します。
何かおススメがあったら教えてください。
Mystery Jets/Making Dens
UKのMystery Jetsは、明るい解放感と上品さを兼ね備えたUKロックサウンドを魅力としています。
UKロックらしいウィットなポップセンスがひときわ目立っているのですが、どこかオペラめいた(良い意味で)「敢えてやってますよ感」があって、一筋縄では行かない雰囲気が立ち込めています。
当初はメンバーに実の親子がいたそうです。
blood Red Shoes/Box of Secrets
Blood Red Shoesはイングランド出身のロックデュオです。
メンバーは男女、編成はギターとドラムス。どうしてもWhite Stripesを想起してしまいますが、こちらは女性がギターを弾いています。サウンドとしても、もっとストレートなロックを演っている印象です。
シンプルな構成だからこそ滲み出る気迫を楽しめる作品です。
The Cribs/Men’s Needs, Women’s Needs, Whatever
イギリス出身のThe Cribsのヒット作が、Men’s Needs, Women’s Needs, Whateverです。
派手さがあるわけではありませんが、UKらしいひねたポップセンスとちょっと切なくて底抜けに明るいサウンドが魅力的です。軽快に、高らかに。着実に歩みを進めていくような、そんな楽曲が揃っています。
メンバーは3兄弟、うち2人は双子という兄弟バンドです。
Larrikin Love/The Freedom Spark
Larrikin Loveはイギリス出身のロックバンドです。
The Coralにも似たやさぐれ感を出しつつ、もっとポップで軽快な印象を受けます。若々しいラフさやガレージロック/ロックンロール・リバイバルらしい現代的な(20年前の、ですが)スマートさが両立しており、無軌道な疾走感や場末感の裏に、UK的ポップ感覚とほんのり凛とした雰囲気を感じます。
The Rifles/No Love Lost
イギリス出身のThe Riflesはどストレートなガレージロックリバイバル・サウンドを掻き鳴らしています。
ラフでシンプルなロックンロール、胸のすくような疾走感、UK的ポップセンス。どれをとってもスキがなく、思わず体を動かしたくなる清涼感が吹き抜けています。高い熱量で攻めるのではなく、キャッチーで軽快なサウンドで、だけど骨太なロックで魅せるタイプのロックバンドです。
Mumm-Ra/These Things Move in Threes
Mumm-Raはイギリス出身のバンドです。
エモーショナルで優しいメロディが心地よくて、等身大なのに壮大さもあって。じんわりとした温もりがあって、疾走感もある。このムーブメントの中でもかなり優等生型のバンドなのかな、という印象を受けます。全体的に希望の色がして、聴いていると胸が洗われるような気持ちがします。
やや個性派寄りのバンド
ここではこの時期の個性派寄りっぽいと個人的に感じられるバンドを紹介します。
Silversun Pickups/Swoon
Silversun PiukupsはUS出身です。
特徴は、何といってもオルタナ/グランジの影響をモロに感じさせるところ。The Smashing Pumpkinsに近しいメタリックでエモーショナルを武器にしつつグランジっぽい気だるさも醸しだしたサウンドは、明らかのあの時代です。
しかし、あの時代よりもクールにまとめているのも事実で、ラウドながらも知性的な響きを楽しめます。
Glasvegas/glasvegas
イギリスはスコットランド出身のGlasvegasはThe Jesus and Mary Chainと比較されることが多かったバンドです。
確かにジザメリ的ノイジーさやポップさはあるように思いますが、Glasvegasはもっと敷居を下げた正統的ロックに近いサウンドに仕上がっています。広大で安定感のあるボーカルの存在が、ジザメリとの大きな違いかもしれません。
!!!/Myth Takes
!!!はアメリカ出身のロックバンドです。
ディスコパンク的/ファンク的なサウンドを基調としつつ、猥雑で若干不潔な色気を振りまくダンサブルでカオティックなサウンドはただただ強烈。この手のジャンルにしばしば在りがちな文化系感や内省さは感じられず、ワイルドで熱いビートが炸裂しています。
本来はポストパンク・リバイバルの流れにとってブレイクした2004年の前作を取り上げるべきなのかもしれませんが、思い入れの強い2007年の本作を取り上げました。
Cold War Kids/Robbers & Cowards
Cold War Kidsはカリフォルニア出身のバンドです。
ブルースやカントリーの匂いをやや強めに漂わせており、土っぽくもストイックなサウンドを鳴らしています。ただ、いわゆるブルースロックとは違い、当時台頭しつつあったインディーロックバンドとも近しい雰囲気も感じさます。文学的な趣のバンドと言えます。
Two Door Cinema Club/Tourist History
Two Door Cinema Clubは北アイルランドで結成されたバンドです。
切ない疾走感が印象的です。軽やかながらもダンサブル、心地よく躍らせつつ胸に迫る旋律を随所で奏でる手法が、実に効果的。あらゆる意味で奇をてらってはいないのですが、そのストレートさをうまくまとめられる才が彼らにはあるのでしょう。
ブームの後に生きるバントの一つ、とも言えるかもしれません。
主要参考サイト
https://en.wikipedia.org/wiki/Post-punk_revival
https://www.allmusic.com/style/new-wave-post-punk-revival-ma0000012020
https://books.google.co.jp/books?id=MQ0EAAAAMBAJ&pg=RA1-PA67&dq=&redir_esc=y#v=onepage&q&f=false
各バンドの公式サイトやWikipedia
本記事を少しでも参考にしてもっと良いモノを作ってくれる方が現れたら、とても嬉しいです。
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