From Monument To Masses /The Impossible Leap in One Hundred Simple Steps  血潮をたぎらす激情ポストロック。

こんにちは。


From Monument To Massesはカリフォルニアとニューヨークというアメリカの東西両岸に住むメンバー達によって結成されたトリオ編成のバンドです。

カテゴリーとしては、インストのポストロックということになるでしょう。
ただし、映画、テレビ、ドキュメンタリーからのサンプリングやメンバーの絶叫が随所に挟まれまており、強いメッセージ性を感じさせます。


つまり、彼等の音楽性は

  • エモ的な剥き出しの荒々しさを強調した爆発寸前サウンドを土台にして、
  • サンプリングされた言葉のコラージュに思いを託す。

という、珍しいスタイルのものといえるでしょう。

そして、本作The Impossible Leap in One Hundred Simple Stepsは彼等の2nd アルバムにあたります。

The Impossible Leap in One Hundred Simple Stepsの魅力 ハードコア、エモ、ポストロックにマスロック、全て飲み込むFrom Monument To Massesの衝動

では、本作の魅力について語っていきましょう。

バンドサウンドの魅力 楽器の重たさ、熱量

本作を聴くと、有無を言わさぬその重たさに圧倒されます。
もちろん、音のキーが低いとかそういう話ではありません。
エモでハードコアなサウンドに限界まで注ぎ込まれた感情が、ヘヴィな存在感を放っているからです。

その感情から解き放たれるのは、聴き手を焼き尽くすような熱量です。
それはまるで創り手が影響を受けてきた音楽を、消化不良を起こすまで音の一粒一粒に詰め込み続けたかのようです。
カロリーオーバー気味で、ドロドロで、全てを飲み込むマグマのような熱量です。



ギター、ベース、ドラムスは互いに息をそろえながら、重量感のある疾走感と共に突き進んでいきます。
ハードコアのように全身全霊で感情を解き放ち、
ポストロックのような緊張感を含みながら進むこともあり、
変拍子を用いてマスロックのような緻密にリフを決めることもあり。

さらには打ち込みドラムスを導入し、じわじわと盛り上げることもあります。
多様な音楽から影響を受けてきたのでしょう。

(こちらはライブ映像です。かっこいい! 解散しているのが残念です)


そして、いかなる時もエモのような青臭い叙情性をまとっていることは最重要ポイントです。
枯れた泉の奥底から吹き上がるように、瑞々しい情動のマグマがサウンドを途切れることなく覆い続けているのです。
鮮烈な熱さを失わぬ、若々しい激情が。

重たく、青臭く、圧倒的な熱量。
これほどパワフルな音塊を浴びせられる経験は、なかなか出来ないのではないでしょうか。

ボイス・サンプリング その影響と主張

ボイス・サンプリング ヒップホップからの影響

そんな激熱激重サウンドの上に力強い筆さばきを思わせる力強さで書き殴られていくのが、

  • メンバー自身の咆哮と、
  • 様々な映画やニュース番組からのサンプリングされた声

の2点です。

激しいメンバーの激しい叫びも魅力的ですが、声のサンプリングはこのアルバムの要といえる重要な要素です。
その顔ぶれたるやジョージ・ブッシュ大統領、マーティン・ルーサー・キング、さらにはマトリックスのモーフィアスまで登場するという百花繚乱ぶり。

From Monument To Massesは政治的・社会的な関心をバンド活動の原動力にしており、言葉を用いない代わりにボイスサンプリングによって主張しているのです。
また、メンバーが多感な時期に最盛期を迎えていたであろうヒップホップ的サンプリング・カルチャーの影響も感じられます。

この辺りからも彼等の音楽に他する造詣の深さがうかがえますね。

バンド名やアルバム名に込められた意味 垣間見える文化資本の潤沢さ

バンド名<記念碑から大衆へ>には、『歴史は特定の資質を持った偉人・英雄(記念碑たてるような人)が作るのではない。歴史を創るべく闘争する大衆が歴史を生み出すのだ』と主張したいという思いが込められているようです。

また、本作のアルバム名<簡素な百歩による、実現不可能な跳躍>にも同様の意味が込められていそうです。

歴史は、変化は英雄ではなく人々のうねりが生み出す。
そう主張させるほどの社会への怒りが、彼等の音楽には込められているようです。

メンバーのうち2人がアジア系というのも関係があるかもしれませんね。

何にせよ、彼等の政治的・社会的な主張と言えます。

そして、重要なことは、決して簡単ではないこういった思想には自発的に勉強をする意思がなければ至ることは少ないだろうということです。

まとめ つまりFrom Monument To Massesはかっこいい。  The Impossible Leap in One Hundred Simple Stepsは特にかっこいい。

というわけで、彼等が奏でているのは超激情インストゥメンタル・サウンドなのです。

  • 様々な音楽を炉にぶちこんでどろどろに煮えたぎったままの激情サウンド。
  • その上に叩きつけられるのは、メンバー達の社会的・政治的な闘争を託された変幻自在のサンプリングボイス。

魅力的な圧倒的激情に、どうしても聴き手は耳を奪われがちです。
しかし、節々から音楽に対する造詣の深さと政治的・社会的インテリジェンスから類推するに、彼等は非常に知性的なのでしょう。
本作の魅力も膨大な知識量と上手に処理したことによって生まれたものです。
つまり、インテリ的であり、オタク的と言ってもいいでしょう。



しかし、オタク的感性によってもたらされた唯一無二の音楽性の内側から発される半端じゃない熱量がオタク性感性の全てを焼き尽くし、雲一つの陰りすらないかっこいいエモーショナルサウンドを創っているのです。

全てを凌駕し、昇華する圧倒的熱量。
これほどかっこいい音楽にはそうそう出会えないでしょう。



それでは。

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