古代エジプト文明、最初の一冊はどれがおすすめか?

こんにちは。

古代エジプトは世界四大文明の一つにも数えられています。

3000年以上に及ぶ歴史にはピラミッド、ミイラ、ヒエログリフ、さらには美貌の女王クレオパトラなどなどエキゾチックな遺物・人物が数多くあり、ミステリアスな雰囲気に興味を覚えている方も多くいるのではないでしょうか。

しかし、どこからこの世界に足を踏み入れればいいのか分かりにくいと感じる方もいるのではないでしょうか。

ここでは古代エジプト文明を知る始めの一冊としておすすめの本を紹介します。

古代エジプト文明 最初の一冊はどれが良いか? タイプ別におすすめ

1.古代エジプト入門

(最初の一冊としての)オススメ度:★★★★★


・良いところ

  • 文章が読みやすい
  • その割に情報量が豊富で先王朝時代からプトレマイオス朝の終焉まで網羅
  • 各時代の特色や有名なや史料などにもバランス良く触れている。

・惜しいところ

  • 基本的には有名な出来事をなぞっているので庶民の暮らしなどの情報は薄め
  • 手に入りにくい


これが一番おすすめです!

もともとは10代向けに発行されている岩波ジュニア新書のラインナップされた一冊であり、非常に分かりやすいです。
著者は内田杉彦先生、古代エジプトの歴史学をご専門とされています。

とにかく文章がさらりとして読みやすく、そのうえ無理なく多くの情報量を差し出してくれます。

その内容もエジプトの歴史を最初から最後までなぞりつつ、各時代のホットな話題にもバランスよく触れていきます。

特定の分野に深く立ち入ることはありませんが、古代エジプト史の全体図を分かりやすく示してくれます。

逆に言うと濃厚なマニアックさはありませんが、なんとなく古代エジプトに興味がある人にとっては、これがマスターピースではないでしょうか。


ただ、少し手に入りにくそうですね……。

2. Newtonライト 古代エジプトのきほん ファラオの王国 ピラミッドのミステリー

(最初の一冊としての)オススメ度:★★★★☆


・良いところ

  • リーズナブル(680円+税)
  • 分かりやすくて、コンパクトにまとまってる(62ページ)
  • 古代エジプトにおける星座や暦に関する情報が濃い。


・惜しいところ

  • コンパクトゆえどうしても情報量が薄い
  • 多文化との交流に関する記述がほぼ皆無
  • 文学に関する記述も神話のみ
  • 民衆の生活に関する記述もあればなおよかった。



ニュートンプレスが発行しているNewtonライトシリーズの一冊です。
62ページというコンパクトさですが侮るなかれ、図説も交えながらびっくりするほど分かりやすくまとめられています。

ピラミッドの不思議、新王国時代の神官勢力との争いや建築物、ツタンカーメン王やその発掘に関する謎などに力点を置いて書かれています。
たくさんの情報がぎっしりと、なおかつ分かりやすく詰まっています。

そのうえ「理系脳をきたえる!」という同シリーズのコンセプトによるのでしょうか、天文学や地質学に関する専門的な記述が多いのも特徴です。

文章も分かりやすいので、若い方にも向いていると言えます。

ただ、残念なのは62ページというコンパクトさゆえどうしても多くの情報量が抜け落ちてしまうことです。
多文化との交流、民衆の暮らし、文学作品などがないのです。
中王国時代の記述もまるまるないのです。
非常に面白いところなのですが……。

しかし、入門編としては優れています。
一番わかりやすいのは、間違いなくこれです。
気になったところは次の一冊で補完しましょう!

3. 古代エジプト 失われた世界の解読

(最初の一冊としての)オススメ度:★★★★☆


・良いところ

  • 文庫なので持ち運びやすい。
  • リーズナブル880円。
  • 通史から死生観までバランスの良い内容。。
  • 文学作品の全訳あり。
  • ラムセス2世だけの章立てがある。


・惜しいところ

  • 先王朝時代のまとまった記述がないこと。
  • 交易についての記述も弱いこと。



古代エジプト言語学、現代中東学を専門とする笈川博一先生による概説書です。
とにかくあらゆる分野を手広くバランス良くカバーしており、圧倒的に穴がない一冊です。

しかも、そのうえ古代エジプト文明最高傑作として名高い『シヌヘの物語』を含めた複数の文学作品の全訳やピラミッドテキストの一部訳なども載っています。
さらにはラムセス2世について一章を設けて語っているなどなどディープなところにも手が届いています。
古代エジプトのマニアックな世界ものぞき見えるようになっているのです。

強いて言うなら先王朝時代や交易などの記述がもう少し厚ければ……。
というところでした。

おすすめの一冊です。

4. 古代エジプトを学ぶ 通史と10のテーマから

(最初の一冊としての)オススメ度:★★★★★


・良いところ

  • 300ページ以上の分厚い情報量。
  • 先王朝時代から末期王朝時代まで幅広い時代をカバーしている。
  • 特に先王朝時代に関する記述が厚いのは魅力的。
  • 通史以外にも王権、ワイン、パン、ビールなど様々なテーマについて豊富な情報がある。


・惜しいところ

  • 古王国時代に関する記述がピラミッドに偏っている。


エジプト考古学を専門とする馬場 匡浩先生による概説書です。
個人的には一番好きな一冊です。

300ページを超える分厚さからも分かるようにとにかく内容が丁寧で、各時代について最新の学説を踏まえたディープな情報を知ることができます。
そのうえ先王朝時代についてのまとまった情報が日本語で手に入るのも嬉しいところです。

王権、ワイン、パン、ビールなどの個別のテーマについても死生観から食生活まで取り上げられていて、人々の姿や暮らしが浮かび上がる様な情報が書かれています。
もちろんミイラについてもありますよ。

惜しいところは、強いていうなら、古王国時代に関する情報がピラミッドに偏っていたところでしょうか。

しかし、概説書として最も丁寧な一冊と言えます。

4. 古代エジプト文明 世界史の源流

(最初の一冊としての)オススメ度:★★★★☆


・良いところ

  • ヒクソスやミノアなど異文明との交流についての情報が厚い。
  • 新王国時代、末期王朝時代などの後半期の記述が厚い。
  • アレクサンダー大王やローマに支配された後の情報が厚い。
  • エジプト文明が他の文明にどんな影響を与えたのかについて触れている。


・惜しいところ

  • 他文明との交流に比重が置かれているため、当該史料が少ない古王国時代の記述はない。



古代エジプト史を専門とする大城道則先生による一冊です。
エジプト文明と「外」との交流を主眼に置いているのが特徴です。
このテーマ設定が非常に面白いです。

ミノア文明とエジプト文明が双方に与えた影響、ヒクソスの支配にたいする定説への疑問、アマルナ時代や「海の民」の実像、絶世の美女という色眼鏡で見られがちなクレオパトラの実像、ローマ帝国の皇帝達から見たエジプトなどなど。
とにかく豊富な切り口で時系列に沿いながら、他者との交流から浮かび上がるエジプトの実像に迫ります。

ただ、裏を返すとあまり交流の史料が残っていない古い時代についてはほぼ触れられていないということになります。

しかし、「他者との交流」という人間の本質に迫る内容でエジプトを語りつくしているので、読み物として非常に面白い一冊です。

5. 古代エジプト文明社会の形成

(最初の一冊としての)オススメ度:★★★☆☆


・良いところ

  • 古代エジプト人の生活様式を丹念に描いている。
  • 古代エジプト王朝が成立するにしたがって社会が変化する様子や観念が変化していく様を様々な史料によって丹念に描いている。
  • 先王朝時代から古王国時代の人々の暮らしや観念に関する多くの情報が日本語で読める。


・惜しいところ

  • 「文明社会の形成」がテーマである以上、どうしてもエジブト文明後半期の記述は乏しくなる。
  • 史料を丹念に精査しているので不慣れだと読むのが大変かも。



考古学とエジプト学を専門にする高宮いづみ先生の一冊です。
エジプトという文明がどのようにして成り立ったかを細かな史料を時系列に沿って並べていき、丹念に解き明かしていきます。

その繊細な分析のお陰で、読み手はありありと活き活きとした変化を読み取ることができます。
特に先王朝時代から古王国時代の人々の暮らしやメンタリティに関する情報を日本語で読めるのは本当にありがたいです。

ただ、中王国時代以降については本書の叙述対象外になってしまうので情報はどうしても激減してしまいます。

しかし、それを差し置いても「エジプト文明とは何なのか?」「どうやってエジプト文明は成立したのか?」を理解するのに役立つ一冊です。

6. 古代エジプトファラオ歴代誌

(最初の一冊としての)オススメ度:★★☆☆☆


・良いところ

  • 3000年を超える歴代王朝のファラオ全員について時系列に沿って情報を整理している。
  • 王以外の主要な人物についてもコラムなどで紹介をしている。


・惜しいところ

  • 切り口がファラオなのでそれ以外のことに関する情報は断片的。
  • 歴代王について順に語っており、起承転結がないので読むのがつらくなる時も。



エジプト考古学を専門とするピーター・クレイトン先生によるエジプトのファラオ全員の記録についてまとめた一冊です。
エジプトの始まりから終わりまで3,000年分、連綿と連なるファラオの生き様は圧巻の一言です。

クフ王やラムセス2世、クレオパトラなどの華々しいファラオだけじゃなく通常の歴史書ではなかなか知ることのできないマイナーなファラオ達の人間性を知ることをできます。

ただ、あくまでもファラオ歴代誌が切り口なので、それ以外の情報については断片的になってしまいます。

あと、ひたすらにファラオの人生が延々淡々と続くので時折読んでいるのが辛くなります。

しかし、「僕、ファラオが大好きです!」という方には必読の一冊です。

まとめ 古代エジプト文明 最初の概説書。おすすめは自分自身の関心に合わせること。

いかがでしたか。

概説的な内容と言っても、本によって力点を置いている箇所は異なります。
自分が興味を持っている分野となるべく重なる本を読むと、きっと楽しい古代エジプト文明への入口となるはずです。

それでは。

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