古代ギリシア文明、最初の一冊はどれがおすすめか?


こんにちは。

古代ギリシア文明、興味のある方も多いかと思います。


素晴らしい文学や芸術、民主政治の原点、数多の英雄。
現代に最も影響を与えた古代文明と言えるでしょう。


そんな古代ギリシア文明への入門にお勧めの本をいくつか紹介いたします。

古代ギリシア文明、最初の一冊はどれがおすすめか?

1.世界の歴史(5)ギリシアとローマ(中公文庫)

(最初の一冊としての)オススメ度:★★★★★


・良いところ

  • 文章が読みやすい
  • ミノア、ミケーネ時代からヘレニズム時代まで網羅
  • しかも各時代の情報量(234ページ)が豊富
  • 女性の暮らしなどの記述あり


・惜しいところ

  • 情報量(ページ数)が多いので、少し疲れるかも
  • ちょっと高い(税別1905円)

これが一番おすすめです!

中公文庫<世界の歴史>シリーズの5巻目が、ギリシア・ローマです。

鋭く無駄のない文章で、必要な情報を自然に詰め込んでいます。
内容も線文字ABの話から始まり、ポリス社会の生誕、アテネやスパルタの政治、ホメロスやギリシア悲劇、ペルシアとの戦争にアレクサンダー大王と偏りなく網羅しています。

概説書ですので入門編ですが、情報量が圧倒的なのでディープな知識欲も満たしてくれます。

また、著者が女性ということもあってか、差別される側への共感的な眼差しが印象的です。


あと、ローマの歴史についてもバッチリ学べるものお得です。

惜しいところは……あまりないのですが、情報量が多すぎるので消化不良を起こすかもしれないというあたりと、あとちょっとお高いくらいでしょうか。

でも、値段分の価値はありますよ!

2.集中講義! ギリシア・ローマ

(最初の一冊としての)オススメ度:★★★★☆


・良いところ

  • 短くて、とにかく読みやすい
  • ローマと比較しているので、古代ギリシア文明のオリジナリティが良く分かる
  • 2017年発行なので、最新の研究動向が分かる


・惜しいところ

  • 短いので情報量がやはり少ない
  • ギリシア執筆担当者とローマ執筆担当者の対談が、かみ合っていない。

一番読みやすいのはこれです。

『世界の歴史(5)ギリシアとローマ』の著者二人が朝日カルチャーセンター新宿校で行った講演/対談に加筆・修正を加えたのが本書です。

聞き手のイメージを喚起する分かりやすい比喩や話し言葉的な語感の良さもあり、非常にわかりやすく頭に入ってきます。

また、大国になったローマとなれなかったギリシアという対比も、ギリシアの独自性を明らかにしてくれる素晴らしい試みと言えるでしょう。

ただ、その反面情報量が非常に少なく、アレクサンダー大王が活躍するヘレニズム時代はまるまるカットされてしまいます。

でも、とにかくそんな惜しいところを補って余りある読みやすさは魅力的です。

ちょっとだけ興味がある方やあまり時間のない方、あるいはお若い方にはぴったりだと思います。

3.ギリシア文明とはなにか

(最初の一冊としての)オススメ度:★★★★★


・良いところ

  • ヨーロッパが生み出した理想化された古代ギリシア文明像に疑問を呈するような視点
  • ギリシアとペルシアの勝敗をサッカーの試合に例える素晴らしい比喩力
  • 各時代の「戦い」を軸にギリシア文明の本質に切り込む構成

・惜しいところ

  • クレタ・ミケーネ時代への言及が非常に少ない
  • 「戦い」が軸になるので人々の生活に関する言及もない

個人的には一番好きな一冊です。

欧米から自分たちの文化の源流としてみなされているギリシア文明は地中海の「西側」に位置づけられることが多いのですが、実はペルシアやエジプトといった地中海の「東側」との交流が多い文明でした。

そして、ペルシアに対する大勝も、実は猛攻をしのぎ切った引き分けであるという状況だったことを指摘しています。

さらにはアレクサンダーとアリストテレスの不和からギリシア文明の内向性や差別意識を抉出していきます。

今まであまり意識されてこなかった古代ギリシア人の内向きな考え方や差別意識を浮かび上がらせることにより、既存の史料について新たな解釈を加えているのが特徴でしょう。

さらにそれを表現する文章力も素晴らしいものがあります。
ペルシアとギリシアの戦いをサッカーの試合に例えた表現は目からうろこでした。

ただ、クレタ・ミケーネ文明好きとしてはそこにも触れてほしかったです。
それから、あくまでも軸は「戦い」なので関心がない場合は向かないかもしれません。
あとエジプト文明についての解釈には個人的には腑に落ちない部分も……。

理想化された古代ギリシア像を揺るがすような一冊です。
とても個性的な内容です。必見です!

4.東地中海世界のなかの古代ギリシア

(最初の一冊としての)オススメ度:★★★★☆


・良いところ

  • 古代ギリシアと周辺地域との交流についての情報が多い
  • 古代ギリシア文明が形成されるにあたって周辺文明が与えた影響についての記述が多い
  • ミノア、ミケーネ時代に関する記述が多い
  • 西洋による理想化された古代ギリシア像に一石を投じるような内容

・惜しいところ

  • ページ量が少ないため(89ページ)、どうしても情報量が薄い。
  • ペルシア戦争以降についての記述がない。

「文化交流」を軸にしている素晴らしい一冊だと思います。

ギリシア文明が形成されるにあたってどれだけ古代オリエントの各文明(エジプト、シリア・パレスティナ、メソポタミア)から影響を受けてきたかを各国の史料等を用いて描いています。

また古代ギリシア人が当初はエジプトなどの周辺の大国から影響を受けてきたことを自認していたことなども明らかにしていたにも関わらず、徐々に差別意識が芽生えるまでを描いているのも非常に面白いところです。

エジプトの影響を受けた彫像、『ギルガメシュ叙事詩』など文学のオリエントからの影響などは必読です。
それに古代ギリシア人が傭兵として各地に与えた影響も面白いです。

ただし、古代ギリシア文化が確立に至るペルシア戦争以降についての記述はありません。
また、もう少し情報量があればもっと嬉しかったです。

でも、現代欧米人に都合よく理想化された古代ギリシアではなく、活き活きとした等身大の古代ギリシアを感じることができると思います。

5.古代ギリシアの歴史 ポリスの興隆と衰退

(最初の一冊としての)オススメ度:★★★☆☆


・良いところ

  • クレタ、ミケーネ時代からヘレニズム時代まで網羅している
  • ポリスに関する歴史が主軸になっている
  • ポリス以外の部分もカバーしている

・惜しいところ

  • 記述内容がやや古く、欧米目線から理想化された古代ギリシア像を感じさせる
  • 文章がやや読みにくい

古代ギリシアの特徴でもある「ポリス」の歴史を軸にした一冊です。


当然ポリスに関しては情報量が多いです。
とはいえ、クレタ・ミケーネ時代もちゃんとカバーしており、通史としても十分に読める一冊です。

記述内容としては欧米にとっての古典に相応しい、古色蒼然としたポリス像を描いています。

ギリシアとはどんな存在だったのかを肌で感じることができます。
歴史書らしい歴史書だと思います。

ただ、裏を返せば文章が非常にストイックなので、憑いてくのが大変でもあります。

また、1976年に書かれたものですので、最新の成果を踏まえた内容でないことも念頭に置く必要があるでしょう。

6.世界の歴史 4 ギリシア(河出文庫)

(最初の一冊としての)オススメ度:★★★☆☆


・良いところ

  • 412ページに渡る情報量
  • クレタ、ミケーネ時代からヘレニズム時代に渡ってカバー
  • 現代ギリシアの情景なども描いていて古代ギリシアの風景をイメージしやすい

・悪いところ

  • 最新のものとは異なる認識・内容
  • 文章がやや読みにくい

河出書房が<世界の歴史>シリーズの4巻がギリシアです。

本書のよいところは412ページに渡る情報量です。
それも無味乾燥な歴史記述にならないように現代ギリシアの風景なども描写し、過去に生きる人々の姿を浮かび上がらせています。

それに加えて、クレタ、ミケーネ時代からヘレニズム時代に渡ってカバーしており、概説書としてはバランスが良い内容になっていると思います。

ただ、書かれている内容に時代を感じさせる面もあります。
サブスクではなく古いレコードで音楽を聴くような、そういった味わいも含めて楽しむ一冊と言えるでしょう。

結びに代えて 古代ギリシア文明 自分の直観を大事にするのがおすすめ

いかがでしたか。

やはり古代ギリシアは人気のある時代・地域であるだけのことはあり、どの本も魅力的な内容になっています。

一緒に勉強してみませんか。

それでは。

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