Fentonのアルバムについて。繊細なギターが奏でる、芳醇な静けさと音景的感傷

こんにちは。

Fentonはカリフォルニア州出身のDan Abramsによるソロ・プロジェクトです。

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クリックハウス・マイクロハウスの領袖とも言うべきShuttle358名義の作品でご存じの方は多いと思います。
一方、Fentonはギターの響きを活かした環境音楽的なニュアンスを強めたエレクトロニカになっています。

2021年7月現在、Fentonは2作のフルアルバムをリリースしています。
本記事ではその全てを見ていきます。

Fentonのアルバム一覧

これからリリース順にアルバムを見ていきますが、文字だけでは分かりにくいと思って相関図を作成しました。

では、本題に入りましょう。

(1st)Pup

ポップソングの始まりと終わりだけをつなげたアルバム、というコンセプトで作られたのが本作Pupです。

作品を見る前のささやかなワクワクや見終えた後の余韻のような、ひっそりとしつつもその奥に感情を秘めているサウンドが続いていきます。

水面のように揺らめくエレクトリックギター・アコースティックギターの余韻が、美しいサウンドスケープを創り出しています。
しっとりとした感覚が印象的です。ジャケットアートには雨粒に濡れる窓ガラスと木々が描かれていますが、本作の質感を的確に表していると言えるでしょう。


細やかなノイズや電子音はまるでささやかな足音や鳥の鳴き声のような効果音にも感じられ、ゆっくりと時間が過ぎ行くような感傷的な穏やかさを醸し出しています。

その余韻に潜む芳醇さを聴かせるように、ギターの音色はそっと伸びていきます。
エレクトリックギターは凛と澄んで、
アコースティックギターは朴訥として、
泡沫のように揺らぎ、静謐に広がり、仄かに含むメランコリーをふわりと匂わせています。

独りぼっちで眺める雨景色にも似た、そこはかとなく感傷的な響きを込めた静かな音楽です。

(2nd)Mythic Failures

しっとりとしていた前作に比べ、やや乾いているのが本作Mythic Failuresです。

とはいえ砂漠のようになっているわけではなく、心地よい温度感・湿度感になった程度ではあります。
ジャケットアートはまるでハワイのようなリゾートのようですが、湿度感に関して言えば確かにその通りかもしれません。
快適で伸びやかな一面があるのも間違いないでしょう。


その結果、エモーショナルではあるものの感傷的な雰囲気は薄まっています。
アコースティックギターやエレクトリックギターの音色は、前作よりもさらにすらっと伸びているのも印象的です。
電子音を交えつつ爪弾かれるアルペジオによって、複雑で豊かな響きや揺らぎを奏でています。

ほぼアンビエントでありながらも、全編に渡って「締まっている」空気感があるのも印象的な点かもしれません。
ストイック、とは少し違うように思います。凛然とした響きと緊張感が心地よい揺らぎのなかに違和感なく同居し、きりっとしたサウンドに仕上がっています。


本作はエレキとアコギを同じ曲の中で使い分けるなど前作と比べ、若干ではありますが予想とは異なる流れを取る場面が見受けられます。

音景的なエモさを売りにしていた1stと比べると、本作は音の響きや揺らぎが持つ魅力にやや比重を置いているアルバムなのかもしれません。

主要参考サイト:Fentonのアルバムについて

https://12kmusic.bandcamp.com/album/pup

https://store15nov.jp/?pid=3333128

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