こんにちは。
Euphoriaは2001年に東京都で結成された3人組のロックバンドです。

彼等の音楽はポストロックにカテゴライズされることが多いのですが、ゆったりとした自然体のサウンドを特徴としています。
またボーカルの存在感が強いのも特徴かもしれません。
小中高一貫校(しかも寮生活)に通っていた幼馴染たちによるバンドでもありす。
Euphoriaは2020年1月現在、彼らは4枚のフルアルバムをリリースしています。
本記事ではその魅力に触れていきます。
Euphoriaというバンドの魅力について、アルバムごとに。
各アルバムを語る前に……、
文章だけでは分かりにくいので相関図を作ってみました。

いかがでしょうか。
では、アルバムごとに語っていきます。
(1st)Eternal Gift From The Moment
デビューアルバムらしい荒削りっぽさが非常に印象的です。
Euphoria特有の自然体はもちろん、彼等が影響を受けたであろうポストロック的な緊張感に満ちた轟音、さらにはシューゲイザー的な揺らぎも感じます。
それらが混ざり合うというよりも、並列して存在しているという表現のほうが近いでしょう。
また、歌入りの曲も展開がはっきりしており、いゆわる日本のインディーロックとの共通性が高いのも特徴です。
線の細いボーカル、
優しく揺蕩うギターの旋律に、時折顔をのぞかせる轟音。
ゆったりとした伸びやかなベースとドラムス。
音数は少なく、シンプルな構成になっています。
ただ、後の作品よりもポストロック的影響が強く、緊張感を感じさせる曲も少なくありません。
Euphoriaの最大の魅力である「何気ない日常であるがゆえの祝福」を感じさせる瞬間はそれほど多くありませんが、様々な要素が崩壊寸前のバランス感覚で成り立っているがゆえの危うさは魅力的です。
受けた影響を消化しきっていないがゆえの若々しさが、本作の魅力と言えるでしょう。
(2nd)White Pattern
才能を一気に開花させた傑作です。
本作は『想像力を働かせて、普段過ごしている日常をもっと彩り豊かにする』というようなテーマに基づいて作られています。
その言葉に相応しい、些細ながらも愛おしい日常の一瞬を音楽に昇華したようなアルバムです。
洗いざらしの真っ白なシーツを思わせる、素朴で虚飾のない優しさが全編を通して揺らめています。
優しげに囁くボーカル、
木漏れ日のように揺らめくエレクトリックギターのアルペジオ、
リラックスした躍動感によって楽曲を支えるベースとドラムス。
前作よりもさらにシンプルになり、自然体の心地よさを思いっきり楽しむことができます。
轟音パートも時には姿を見せますが緊張感や憂鬱さはなく、フレッシュな優しさが広がっていきます。
ポストロックやインディーロックという既存の枠組みに嵌め込めにくい、シンプルな幸福感を描いているとも言えるでしょう。
日常そのものを音楽にしたようであり、日常をさらに色彩豊かにするサウンドトラックのようでもあります。
本作は非日常に連れて行ってくれるような幻想的な作品ではありません。
今まで見えなかった些細な幸福に気づかせてくれるような、身近に感じられる愛おしいアルバムです。
(3rd)Silence In Everywhere
前作White Patternをさらに深化させたようなアルバムです。
本作Silence In Everywhereは『現代にはほとんど騒音とも呼べるほどの過剰な情報が溢れかえっている。だが、その騒音の中にも静けさは存在するのかもしれない』というテーマで作られています。
本作の特徴はジャケットアートのような郊外の夕暮れを音楽にしたような音楽、と表現すると分かりやすいでしょう。
White Patternよりも光沢のある質感で、なおかつ躍動的になっています。
ただし、Euphoria節とも言うべき素朴で日常的な質感は健在です。
優しくて素朴な旋律のボーカル、
街の灯りを思わせるキラキラとしたエレクトリックギターの音色、
時に軽やかに、時に力強くうねるベースとドラムス。
優しい光を感じさせる瞬間だけでなく、闇の部分も感じさせるエネルギッシュさも注目ポイントです。
時には艶やかな質感やダイナミックなパワーも織り交ぜ、緩急を使い分けているのです。
全体的にはしっとりとした雰囲気が強く出ています。
White Patternが昼の日常だとしたら、Silence In Everywhereは夜の日常と言えるでしょう。
いつも見ている夜の景色がなんとなく綺麗に見えるときのような、少しだけ感傷的な美しさを楽しめるアルバムです。
(4th)Fluidify

4作目にあたる本作Fluidifyは2010年に無料配布されました。
サブスクリプションが普及した現代ならまだしも、当時は珍しい試みとして受け止められていました。
(2020年1月現在、公式サイトからはダウンロードできません)
本作の特徴はコンパクトでテンポのやや速い曲が増えていることでしょう。
今までのEuphoriaはゆったりとした曲が多かったので、疾走感を感じる本作は異色作と言えます。
エレクトリックギターの力強い旋律、
低音部を疾駆するベースライン、
シンプルで力強い響きのドラムス。
素朴な日常性はふんだんに残しながらもビート感が増したことで、祝祭的な高揚感がほんのり漂うようになりました。
また、轟音を用いていないのも本作の特徴です。「静」「動」の切り替えに頼らずとも躍動感を打ち出すことができたからでしょう。
エレクトリックギター、ベース、ドラムス。
シンプルな編成で、切れ味鋭くも自然体な世界観を構築しています。
日常の一コマを吹き抜ける一陣の風のような、日々のさりげない美しさを感じられるアルバムです。
主要参考サイト
https://www.cinra.net/interview/2010/02/05/000000.php?path=%2Finterview%2F2010%2F02%2F05%2F000000.php&page=3 https://www.cinra.net/interview/2008/08/29/212000.php結びに代えて Euphoriaというバンドについて。
Euphoriaの特徴は自然体であることでしょう。
いわゆるポストロックやインディーロックのバンドのように幻想性や日常性を介さずに、日常の中に潜む美しさを照らす街灯のような魅力があります。
どこにもであるような、だけど見過ごしている何かを、そっと見つめているような。
そんな気持ちになる音楽です。
それでは。
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