【ヒエログリフ文法語り(3)】基本も基本の名詞編


こんにちは。


今回はヒエログリフ文法のファーストステップ「名詞」にお話します。


古代エジプト語はたしかに難解な言語です。
ただ、名詞の規則性はそれほど複雑ではありません。
ヒエログリフのエキゾチックな見た目に惑わされがちですが、大学の第二外国語よりも易しいです。

そう、名詞はね、名詞は……フフ……。


というわけで、今回も面白くて分かりやすい部分を見ていきましょう。



ヒエログリフ入門~古代エジプト文字への招待 ~

外国語の文法を勉強するときにはおなじみ? ヒエログリフにおける性と数による名詞変化

ヒエログリフの名詞には2つの性(男性名詞・女性名詞)と3つの数(単数・複数・両数)があります。順番に見ていきましょう。

男性名詞と女性名詞

古代エジプト語全ての名詞は、男性名詞、女性名詞(言語によっては中性名詞にも)のどちらかに割り振られています。
「姉妹」や「父」などの性別が明らかな言葉はもちろんそれぞれの性別になります。
一方、「海」や「建物」など性別がない概念を示す言葉も男性か女性かどちらかの属性が与えられています。

ドイツ語やフランス語などを勉強した方はイメージがしやすいでしょうね。

さて、ヒエログリフでの男性名詞と女性名詞の見分け方は簡単です。

語尾にtがついたら女性名詞。それだけ!

例を見てみましょう。

言語学習につきまとう例外はもちろんあるんですけど……。
まあ、そういうややこしいことはまた後で!

名詞の数(単数・複数・両数)

さて、続いて「数」です。

英語と同じですね。数に応じて名詞の語尾が変わります。

ヒエログリフでは三つの区別があります。
1つのものは単数。
3つ以上のものは複数。
複数の場合、語尾にw(発音はuの音)が付きます。
英語のsと同じですね。
※以下、wはuの音を表します。エジプト語界のお約束だと思っていただければ。

女性名詞は語尾にtが付いているので、
女性名詞複数形の語尾はw tになります。



さて。ここまでは特に難しくないと思いますが、残る一つが問題です。
両数って……なんじゃ……?

両数とは目や手、足など2つで一組になるものを示します。
対になるものだけに使われます。
2つのものを指すときでも関係性がない場合は複数形を使います。
語尾は男性形の場合はwy、女性形の場合はtyです。


今までの話を表にまとめると、こんな感じです。


両数・複数の表し方(語尾を変化させない方法)

実は両数と複数に関しては、語尾を変化させないでも表す方法があるんです。

とっても簡単ですよ。

同じ文字を繰返し書くだけなんですから。

両数形で「家」を表したいなら家の字を2回書き、複数形で「家」を表したいなら3回書きます。

こちらもおなじみの文法パターン? ヒエログリフにおける属格の表し方

「神官の息子」という言葉を表したいとき、ヒエログリフでは「息子」が先にきます。
つまり、「息子・神官」と書くのです。
キング・オブ・ハート的なというか、英語にもあるパターンですね。


ただし、「息子・神官」には書き方が2パターンあります。

1,そのまま「息子・神官」と書く(直接属格)
2,息子と神官の間に「n」を挟み、「息子・n・神官」と書く。(間接属格)


そして、間接属格の場合、支配される(意味を限定されてしまう)名詞の性・数に応じて「n」が変化します。

さらっと見ておきましょう。

「ああ、こういうものなんだな」と思っておけば十分です。
ただ、これだけではイメージが湧かないと思うので例文も見てみましょう。

家の女主人で主婦なんですね…。
なるほど確かに、という感じです。きっとエジプトにも肝っ玉お母さんがたくさんいたんでしょうね……。



さて、そろそろ集中力が尽きる頃合いでしょうか。


では、最後に一つだけ面白い例外を。
さきほども語りましたが、「神官の息子」と書きたい場合、「息子・神官」の語順になります。

ただし、「息子」にあたる意味を限定されてしまう名詞が「王」や「神」になる場合だけ書く順番が逆転するんです。




不敬ですよ!




…ということなんでしょうか。






さて、いかがでしたでしょうか。

何か間違い等ありましたらご指摘いただけると嬉しいです。


次回は、形容詞について語りたいと思います。

それでは、また。

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