こんにちは。
古代エジプト語は大変古い言語です。
勉強していると日本語と英語の差とは比べ物にならないほどの違いを感じることた多々あります。
ただ、その違いが面白いですよね。知らない遺跡を探検しているようなワクワク感があって。
でも……、面白い文法という世界に入るためには、まずはヒエログリフの文字について理解しなくてはいけません。
というわけで、ヒエログリフ文法のいろはについて語りたいと思います。
分かりやすいところからゆっくりと見ていきましょう。

今回も引き続きヒエログリフ入門を参考にさせていただきました。興味のある方は読んでみてください。
1子音文字(ヒエログリフへの第一歩)
ヒエログリフは母音を表わしません。
…いきなり、意味が分からないですよね。
なので、日本語に例えてみましょう。
日本語をローマ字で書いた場合を考えます。
・亀と猫
という言葉をアルファベットで表すと
KAME TO NEKO
になります。これをヒエログリフ風に表すと、
KM T NK
になるわけです。
母音となるaiueo(アイウエオ)が表記されないんですね。
現代日本人からにとっては、驚くべき文字の書き方です。
欠けているaiueo(アイウエオ)の部分は古代エジプト人にとっては読めば当たり前に分かる部分であり、敢えて書く必要がなかったということらしいです。
ちなみに、現代でもアラビア語は母音を書かないんですよ。そんなに奇妙な文字体系というわけではないんです。
では、さっそく1子音文字のアルファベット表を見てみましょう。

これがアルファベットの一覧表です。
(www.egyptabout.comより引用させていただきました。)
一番右の欄に書かれているのは文字が何から由来しているのかです。
Bは足、Dは手、Mはフクロウから発展して感性した文字なんですね。
さて、これをじっくりご覧になったところで、気になることがありませんか?
さきほど、古代エジプト語は子音しか表わさないとお伝えしました。
ただ、この一覧もう一度よく見てください。
母音、あるんです。
A(ア)とI(イ)とU(ウ)はあるんです。
ないのは、E(エ)とO(オ)だけなんです。
あるじゃん、母音!
ただし、この A(ア)とI(イ)とU(ウ) は厳密には母音じゃないらしいです。
…どういうことなんでしょうね?
はい。難しいことは後で考えましょう。
ヒエログリフにはE(エ)とO(オ)が表わす文字がない。
今はそういう風に理解しておきましょう。
それから日本語にはない母音もいくつかあります。
でも、難しく考えなくて大丈夫です。
なにせ、相手は1700年近く前に滅んだ文字。
会話で発音が通じるかどうか考える必要はありません。
カタカナ発音で大丈夫! 今はね!
2子音文字 3子音文字(ヒエログリフっぽい文字だと思います)
1つの文字に2つあるいは3つの音が表わされている文字もあります。
というか、2子音文字と3子音文字のほうが圧倒的に使用頻度が高いです。
現代のアルファベットにはないシステムなので、少し混乱しちゃいますね。
ただ、実際にはJという文字にJの音だけでなく、JBという2つの音が表わされているだけのようなものです。
代表的な例は下記のあたりでしょうか。

最左列最上にある眼の文字はir(イレと読むのかな)を表しています。
右から2番目下から2番目のもじは、nfr(ネフェル)を表しています。
一度腑に落ちてしまえば、簡単です。
表意文字としてのヒエログリフ
(ヒエログリフ文法理解への道に立ちふさがる難関)
今まで見てきたヒエログリフは音を表しています。
日本語のひらがなやカタカナのようなものです。
ただし、非常に厄介なことに表意文字として機能することもあります。
漢字と同じです。「鳥」という字が「とり」「ちょう」とも読めるように音ではなく意味を表すのです。
ヒエログリフは文字が象っている対象と文字が表わす意味が違うことのほうが多いです。(腕を象っている文字がアという音だけを表したり)
ただし、一致した場合はその文字は音だけでなく意味を表わすこともあります。
要するに「ア」は「腕」を表す発音でもあるので、「腕」を表したい場合は音としての「ア」を表す文字を、「腕」という意味を表わすためにも使えるよ、ということです。

めちゃくちゃ適当ですよね…。
また、2子音文字や3子音文字を表意文字として使う場合は、日本語でいうところの送り仮名がつきます。

語尾にfとrが入っていますが、nfrfr(ネフェルフェル)とは読みません。
nfr(美、美しい)という表意文字の意味を確定させるために、フリガナfrがついているというわけです。
1文字が2つ以上の意味を持っているケースでは、非常に意味を取りやすくなるのです。
決定詞(ヒエログリフ文法の珍しい特徴です)
ヒエログリフは母音を表しません。そのため、綴りが同じなのに意味が違う文字が多くなってしまいます。
つまり、ネイティブの古代エジプト人にとっても意味が取りにくい文字なのです。
感覚としては、同音異義の多い日本語をひらがなだけで書くと意味が分かりにくくなるのと似ているかもしれません。
日本人が単語の意味を確定させるために漢字に多くを拠ったように、古代エジプト人は決定詞に頼りました。
決定詞とは文字通り、単語の前か後ろにつき、単語の意味を決定する文字です。発音はされません。
太陽を表すRaに神を表わす決定詞が付くと太陽神ラーになったり、

書記用道具を表す文字に「男、男の職業」を表す決定詞がつくと「書記」になり、「巻物・手紙」等を表す決定詞がつくと「書く、文字、書物」になります。

これは合理的ですね。
ただし、決定詞の数が非常に多いことや、決定詞が付く音によって現代日本人からすると理解しにくい変化を起こすこともありなかなか厄介なんです。
今回はこんなところでしょうか。
いかがでしたでしょうか。何だか未知の文化に触れてる感じがしませんか。
僕も素人の身です。もしも詳しい方がいらっしゃいましたら、ご指導ご鞭撻をいただけると嬉しいです。
次回は名詞について語りたいと思います。
それでは、また。

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